小話 キャラと並行世界 その1(世界観注意)
読み速にてたくさんのご意見を頂きました。
本当に感謝しております。
ここから修正をしていくので、投稿できたとしても小話になると思われます。申し訳ありません!
あと、今回の小話は世界観注意です。
「私たち、キャラが立っていないそうです」
「唐突だな……。何かあったのか?」
「この物語の読者様からのコメントで、そういったご意見が多くありました」
「へぇ。で、キャラって何だ?」
「人物像と言いますか、その人を象徴する特徴ですかね」
「ふぅん。でも特徴なら僕にだってあるぞ。この銀髪にこの紅目。特徴的だと思わないか?」
「そんな身体的な特徴なんて意味がありません。もっと内面的な部分で何か無いんですか? 情熱的とか、冷静沈着とか……」
「雑学が好きだな」
「いやー、弱いですねー。弱くて弱くて弱々しいですねー。
雑学が好きなのは良いですけれど、特徴ってほどでもないでしょう」
「駄目なのか……。でもロミア、魔法瓶の中が鏡になってる理由を知ってるか?」
「いえ、知らないです。そもそも魔法瓶の中が鏡だって事を今初めて知りました」
「何でも、鏡は光だけじゃなく、熱も反射するらしい。だからずっと温かさを保てるんだそうだ」
「はぁ、すごいですね……って違いますよ! 何を言っているんですか? 何を口走っているんですか? 血迷ったんですか?
少し感心しかけましたが、私たちの世界に魔法瓶なんてありませんから!
あるのは魔法だけですから!」
「まぁ、でも魔法があるなら魔法瓶を作るのなんて簡単だろうな」
「私、ノアさん=雑学とか、ノアさん=魔法瓶とかふざけたイメージが定着しても知りませんからね……」
「キャラが立っていないよりマシな気はするけどな」
「おい、人間」
「何だ、黒猫?」
「黒猫と呼ぶな。私にはベルという立派な名前がある」
「何の用だ?」
「読者様からのご意見で、テンプレの中でいかにオリジナリティを出すか、が問題だと言われていたぞ」
「それを僕に言われてもな……」
「お前の行動の動機が薄いとも言われていたな」
「僕、主人公なのに一番あやふやなキャラじゃないか?」
「知らん。作者の技術不足だろう」
「うーん。どうにかならないのか?」
「お前、目標とか無いのか? 金持ちになるとか、女を侍らせるとか」
「目標……? そりゃ、新しい人生を歩みたいってのが大きな目標だけど」
「馬鹿かお前は。新しい人生歩むなんて事、誰でも出来る。そいつが自分で『これから新しい自分になる』と宣言するだけだからな」
「なるほどな。じゃあ、ベルの夢は何なんだ?」
「悪魔の王になる事だ」
「猫の王か……応援するよ。ベルならきっとなれるよ」
「猫じゃない、悪魔の王だ」
「まぁ、どっちでも良いけど。
しかし、ベルが悪魔の王になったらオリジナリティの塊みたいなキャラになるな。猫で悪魔の王様とか、見たことも聞いたことも無い」
「お前もなれば良いんじゃ無いのか?」
「王様に?」
「ああ、裸の王様に」
「それなら僕の目標は、“他人の助言に耳を傾ける”にするべきだな」
「主人様、憑依についてお褒めの言葉を頂きましたよ」
「お、それは喜ばしいな」
「はい。ですが、描写が稚拙で語彙が少ないとのご意見も……」
「作者にはもっと本を読んでもらわないとな」
「主人様は読書をなさる事はあるのですか?」
「ああ。たまに薬学についての本を読む事がある」
「私も本を読む機会があれば読んでみたいのですが、どうしても時間が無くてですね……」
「ずっと僕の精神世界にいるもんな。あそこ、暇じゃないのか?」
「主人様と会話していない時は、他の者たちと喋っております」
「え? そんなこと出来るの?」
「はい、私はよくシルフと喋っていますよ」
「ああ、あの元気っ子か。どんな会話をするんだ?」
「それがですね、あの子の話は基本的に主語や目的語が無いんです。ですから、ほとんど言葉の投げ合い、投げつけ合いになっているのです」
「それ、シルフと会話してるから僕にも影響が出てるって事はないよな?」
「……それはわかりませんね」
「おい、エイル? 何故、目をそらす? こっちを向こうか」
「で、ですが従者は主人様に似るって言いますし……」
「それじゃ、フォローになってないだろ! 全然カバー出来てないよ!」
「フォローとかカバーとか、急に語彙を増やさないで下さい!」
「エイル、ここは物語の世界とは似て非なる世界。いわゆるパラレルワールドってやつだ。つまり、パラダイムシフトをしっかりと認識してタイムパラドックスが起きないように注意しないと。パラソルとパスカルをカスタムしてカルパスとカルピスに分けて…………」
「いや、もう横文字を並べすぎて訳がわかりません。何ですか、パラソルとカルパスをカスタムって。並行世界だとしても主人様の頭が危険なのでは……?」
「これで語彙は増えたな」
「語意は滅茶苦茶でしたけどね」




