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8 ソフィの体力測定

 夜、ソフィを寝せてから、リビングでルシールと二人でのお茶の時間。


「とってもいい子ですわね」

「あぁ、とても頭のいい子だな」

「えっ?」


「グレゴワールは普段の言動があれだからごまかされそうになるが、極めて頭がよく計算高い人間だ」

「そうでしたわね」

「きっとここまで来る途中で散々仕込まれたんだろうな。あれこれと一ヶ月間どういう態度をすれば俺たちに気に入られるか教えられたんだと思う。

 あの歳でちょっと教えられただけであれだけできるんだから、たいしたものだよ、ソフィは。

 まぁ少しあざとすぎだとは思ったけどな」


「ジェラルドがそれだけ観察できてるってびっくりですわ」

「まぁあんなにがんばってるんだから、騙されてあげないと可哀想だからな」


「あのままでいいんですの?」

「即席の親子なんだからお互いに努力して親子らしくなるしかないんじゃないかな。

 そのうち自然と努力しないでも親子になれるよ」

「そうなれるといいですわね」


「グレゴワールはどう判断したんでしょうね」

「わからんな。あいつは嘘は言わないが、何を考えてるかはもっと言わないから。

 あいつが漏らした言葉からだけでは想像もできない」

「どうしてここに連れてきたんでしょう?」

「ここが一番安全と考えたことは確かなんだろうな。

 魔族も絡んでそうだし、そこらに置いていく訳にはいかないだろうから」

「それだけじゃないですわよね」

「あぁ、どうせ監視するのならまとめて監視できるようにしてるんじゃないか?」

「あら? わたしたちも監視されてましたの?」

「そりゃ俺たち二人も王国から見れば十分に危険因子だろう。監視もなくほっておくはずがないと思うぞ」


「それでどうしますの?」

「別にどうもしないよ。普通にのんびりと。

 今までどおりでいいんじゃない?」

「そうですわね」


 ルシールに口づけして俺たちも寝ることにした。

 寝室をどうするかについてもゆっくり考えないといけないな。

 このままじゃずっとお預けになってしまう。




 翌日、ルシールが街まで買い物に向かった。

 ソフィの着替えがまったくないので、その購入が主目的だ。

 出かける前にソフィをせっせと採寸してた。

 他にもいろいろソフィの生活用品を見繕ってくるのだそうだ。

 俺もついていこうかと思ったが、ソフィと二人で留守番ということになった。

 まだあまりソフィを連れ回さないほうがいいかなってことで。


 ということで、俺はソフィのスペックがどのくらいなのかを調べることにした。

 これからソフィを育成するにしても、現在のスペックがどのくらいかわからないことには計画も立てられやしない。


「よーし、ソフィ。

 まずは攻撃力を測定するぞ」

「うん」

 ソフィもワクワクしてるようだ。


「まずは俺の手に向かってパンチだ。

 グーで思いっきり殴ってこい」

 俺は殴りやすいようにソフィの高さに合わせて腰をおろして、両手をソフィの方に向けて構えた。

 ソフィがパンチをしてくる。

 もしかして、すごいパンチが飛んで来るかと思ったけど、可愛らしいパンチだった。

 それでも思ったよりはいいパンチかな?


「疲れるまでどんどんパンチしておいで」

 ソフィは楽しそうに続けてパンチしてくる。

 なんとなく要領を覚えてきたのか、特にアドバイスもしてないのに、最初の頃より手首の返しとかがよくなってる気がするぞ。


 十分ほどそのまま続けたら、少しソフィの動きが鈍くなってきたから疲れたんだろう。

「よーし、パンチはこのくらいだ。

 それじゃちょっとだけ休憩な」

 やっぱり疲れていたようだ。

 俺の声でソフィはその場にへたりこんだ。

「頑張りすぎなくてもいいからな」

「はーい」

 相変わらず、いい返事だ。


 しっかり休憩できたようなので、次に行こう。

「次は足の速さを見るぞ。

 昨日のお花畑まで全速力で走るんだ。

 あっと、フレイヤは置いていこうな」

「はーい」

 ソフィの走るのについて俺もいっしょに走る。

 思ったより速いぞ。


「ぜーぜーぜー」

 本気で走ったんだな。

 花畑まで着くと、しゃがみ込んで息を切らしてる。

 このまま少し休憩したほうがいいか。


「最後に持久力を調べるぞ。

 池の周りを三周するんだ。

 さっきみたいに速く走らなくてもいいからな」

「はーい」

 勢い良くソフィが走り出す。

 おいおいそんなにスピード出したら絶対途中でばてるだろ。

 思ったとおり、一周目ですでに速度ががっくり落ちた。

 こういうペース計算とかは苦手みたいだな。

 二周目の終わる頃にはもう限界に近いみたいだ。

 もう走るっていうより、歩く速度になってきてる。


 それでも諦めないんだから、辛抱強そうだな。

 でも池の反対側まで来る頃には完全に限界だった。

 足を引きずり始めてる。


「よーし、ここまでだ」

「でも……」

 ソフィはすっごく悔しそうだ。

「別に最初からなんでもできる必要なんてないさ。

 ソフィはがんばってここまで来た。

 今日はここが限界だったけど、すぐにもっと走れるようになるさ」

「だって……」

「ソフィは頑張りすぎ。

 頑張る子は好きだけど、意地を張っちゃダメだぞ」

「うん……」

 俺はソフィを抱き上げて家まで戻った。


 結論。

 ソフィは五歳児にしては運動能力は高い。

 とはいえ、ずば抜けてるわけでもないから、村の十歳児には遠く及ばない。

 瞬発力は高め、でも持久力は普通。

 ペース配分とかは苦手の様子。

 頑張り屋さんだから限界を超えないように注意が必要。


 こんなところかな。

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