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7 ソフィの誕生日

「ソフィって何歳くらいだろう?」

 という俺の疑問にルシールは、

「人間の年齢はよくわかりませんわ?」

 という答えを。ごもっともです。

 なんでもよく知ってるルシールだけど、さすがにこれはエルフには難しい問題でしょう。


 見た感じ貴族の子なら幼年学校に行ってる子たちと比べても少し小さいかな?

 俺は学校とか行ったことがないけどな。

 それなら、

「五歳くらいかな?」

 特に誰もそれで文句はないみたいだから、五歳ということに決めた。

 とは言っても、村の子供も学校とか通ってるわけではないから、特に関係ない話。


「それなら誕生日も決めておきましょう」

 ルシールがふと思い出したように、そう提案した。

 なんていい考えだ!

「別にいつに決めてもいいんですが、せっかくだからソフィが娘になった今日を誕生日にするってことでいい?」

「異議なし」

「うんうん」

 ソフィも嬉しそうに肯いている。


「決まったね、今日はソフィの誕生日よ。

 誕生日なんだから、誕生日パーティーをしましょう」

 いいね、ソフィが娘になったお祝いをしたいって思ってたけど、誕生日パーティーってのいう方がソフィも素直に楽しめるだろう。


「それでは、誕生日パーティーの準備をします。

 わたしは部屋の掃除をしてるから、ソフィはジェラルドと二人でお花を摘んできてくれるかな?

 後でお花を飾り付けましょう。

 一時間くらいで帰ってきてね」

「はーい」

 とソフィは元気な返事。


 さっそく出かけようとしたところ、ソフィはフレイヤを抱えてちょっと困った様子。

「うーん、フレイヤを抱えていたらお花は摘めないし、腰に差すにはちょっとまだ身長が足らないよな。

 俺もガキの頃は背中で背負ってたから、ソフィも背負えるようにフレイヤの鞘に紐をつけて背負えるようした。

「やったー!」

 そんなことでソフィは喜んでる。

「普通にしてても長くて抜くの大変だと思うけど、背負ってるとなおさら抜くのが難しいからな。今度やり方を練習しよう」

「うんうん」

 実際、背負ってからの抜刀は普通じゃできない。コツがあるんだよな。




 池のほとりでソフィと花摘み。

 せっせと花を摘むソフィの姿が可愛らしくてしかたない。

 ぼーっと見てたら、

「お父さん、サボってちゃダメ! ぷんぷん」

 ソフィに怒られちゃったよ。

 お父さんって言ってくれたよ。

 ぷんぷんとか、なんて可愛いんだよ。

「ごめんごめん」

 ソフィをもっと愛でていたいところだけど、サボってて嫌われたら大変だ。

 俺もせっせと花を摘もう。


「こんなにお花摘めたよ」

 籠いっぱいに摘んだ花を俺に見せてくれる。

「おー、いっぱい摘めたな。

 ソフィ、すごいぞ」

 俺が頭をなでてやると、ソフィが満面の笑顔になった。

 すっごく可愛い。


「お母さんが待ってるから、そろそろ帰ろうか」

「はーい」

 籠を抱えてソフィが立ち上がるので、

「籠もってやるぞ」

 って言ったんだが、

「これはソフィが持っていってお母さんに見せるの」

 と言うのでしかたなく、そのままに。

 本当は籠を俺が持つことで、手を繋いで帰りたかったんだけどな。

 しかたないか。




 家に帰ると、ソフィはルシールにお花を見せに行く。

「お母さん、こんになに摘めたよ」

 お母さんって呼ばれてルシールも嬉しそうだな。

「まぁ綺麗。素敵ね」

「えへへ」

 横から見ててもソフィ可愛いな。


「じゃ、これからソフィとお花で飾り付けするから、ジェラルドは森でお肉取ってきてくれない?」

 えー、俺が一人でかよ。

 さっきまでは俺がソフィ独占してたんだから、しかたないか。

「わかったよ」

 俺はしびしぶ返事をしたが、

「お父さん、がんばってね!」

 ってソフィが言ってくれた。

「おー、行ってくるぜ!」

 張り切っていこう。


 すぐにウサギを捕まえたんだが、これ持って帰って大丈夫かな?

 これをソフィが見たら、「ウサギさん可哀想。お父さんなんて大嫌い」とか言わないよな。

 そんなこと言われたら、立ち直れないぞ。

 おそるおそる玄関のドアを開けて、

「ただいま」

 と家の中に入ってみると、すっかり飾り付けが終わってた。

「どうでした?」

 奥からルシールが出てきたので、小さな声で、

「ウサギ捕れたぞ」

 と言ったら、ルシールの影に隠れてソフィもいたようだ。しまったぜ。

「お父さん、すごーい」

 って言ってくれた。

 よかった。マジよかった。

「それより、すっごく綺麗に飾り付けできたじゃないか」

「ソフィといっしょに頑張ったもんね」

「ねー」

 って二人とも可愛いぞ。

 俺はルシールに獲物のウサギを渡して、ソフィを抱き上げた。

「ソフィ偉いぞ」

「えへへ」


「ソフィもお疲れだと思うから、そろそろお昼寝しなさい」

「えー、まだ元気だよー」

「そんなこと言ってると、せっかくの料理が美味しく食べれなくなっちゃうぞ。

 これからウサギを美味しく料理するからね」

「ちゃんと起こしてくれないと、やだよ」

「はいはい」

 ということなので、ソフィを抱き上げたまま寝室へ拉致した。


「お父さんもいっしょじゃなきゃやだ」

 ってソフィがわがままを。そういうわがままなら実は大歓迎だけど、

「しかたないなぁ、ソフィは甘えん坊さんなのかな」

 と俺も添い寝することに。

 すぐにソフィはすやすやと眠りに落ちたようだ。

 そっとベッドを抜け出そうとしたのだが、ソフィが小さな手で俺の服を握りしめている。

 ソフィに添い寝したまま、こまったなぁと思いつつ、ソフィの寝顔を眺めていたところ、不覚にも俺も眠ってしまったようだ。


 その後、ルシールに二人とも起こされて、美味しく夕食を食べながら、ソフィの誕生日会を楽しく送ることができた。

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