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3 聖剣フレイヤから事情を聞いてみる

 ソフィは俺達のベッドでいっしょに寝せることにした。

 夕食を食べ終わる頃にはもううつらうつらしていたから、俺がお姫様抱っこしてベッドまで連れて行く。

 多分一人で寝るのは不安だろうから、眠るまでルシールが添い寝することにした。


 ベッドに寝せてルシールが寄り添うと、ソフィはすぐに寝息を立て始めた。

 こちらも健康そうな寝息だ。

 たぶん大丈夫だろう。


 ルシールもソフィの様子を見ながら、そっとベッドを抜け出してきた。

 さて、あまり疲れとかは関係のないはずのあいつから、最初に事情聴取させてもらうか。


 聖剣フレイヤは風呂の脱衣所のところに立てかけられたままだった。

 聖剣は持ち主以外の他人には持ち運べないはずだから、ある程度扱いも適当になるんだよな。

 俺もそうだった。


 大丈夫かなって思いつつ、俺が聖剣フレイヤに手を添えると普通に持てた。

 持ち主は俺じゃなくなってるはずだが、まだ俺でも使えるようで一安心。

 これでゆっくりと事情を聞けるってもんだ。


 俺は食堂に聖剣を持って移動した。

 ルシールも先に食堂でお茶の準備をしていてくれた。


 俺は椅子に腰掛けて、聖剣を鞘から抜いた。

「おい、フレイヤ。

 聞こえるか?」

「おや? ジェラルドじゃないですか。

 久しぶりですね。

 それにしても老けましたね」

「余計なお世話だ」


「そちらにいるのはルシールですね。

 ルシールはまったく変わりありませんね」

「お久しぶりです」

「それにしても、フレイヤと再び生きて会うことになるとは思いもしなかったぞ」

「そうですね。わたしも、もうしばらくゆっくりするつもりだったんですけどね」


「それでソフィが今のフレイヤのあるじってことで間違いないのか?」

「はい、ソフィがわたしの主で間違いありません」

「それにしても、あんな小さい子に」

「主はジェラルドのときより小さいですが、すでにあのときのジェラルドより優秀なようですよ」


「そのようだな。

 それで、どうしてソフィに仕えることになったんだ?」

「主に呼ばれましたので」

「呼ばれた?

 もしかして俺のときもそうだったのか?」

「はい、そのとおりです」

「俺は別に呼んだつもりとかなかったぞ」

「そのようですね。でも主となる資格を持った人が現れた時わたしは呼ばれるのです」

「資格というとたしか」

「前にジェラルドにも伝えたとおり、主になるべき能力を備え、この世界に対して大きな影響がある者だということです」

「ソフィがその資格があると」

「そのとおりです」


「ソフィはいったい何者だ?

 世界にどのような影響をもたらすんだ?」

「知りません」

「いい加減だな。

 俺のときも何も知らずにいたわけか?」

「その通りです」


「だから何を聞いてもたいして役に立たなかったわけか」

「いえいえ、わたしの知識は使い方次第ではいろいろ有効に使えたはずです。

 ジェラルドが上手く使えなかっただけです」

「生意気なことばかり言ってると、池にでも沈めてしまうぞ」

「それでも主が呼べば、いつでも戻ってきますので問題ありません」


「とりあえず、お前に聞いても今、俺が知りたい有効な情報がないことだけはわかったよ」

「お役に立てませんで」

 俺は聖剣を鞘に戻して、ソフィの寝ているベッドの近くに立てかけておいた。


 食堂に戻ってルシールといろいろ相談することにした。

「どう思う」

「ソフィは勇者なんでしょうか?」

「うーん、それはないはずだ。

 伝承通りなら勇者は世界にただ一名だけ。

 引退して何もしてないとはいえ、俺がこうして生きている限り、次代の勇者は生まれないはずだ」

「最悪の予想としては、勇者の真逆に位置する者……」

「その可能性も否定はできないだろうな」


「それで、どうします?」

「すべては明日、話を聞いてからなんだけど……

 ルシールはなにか意見ある?」

「すべてジェラルドにおまかせしますわ」

「それでいいのか?」

「ええ」

「俺としてはこの家で育ててもいいかなって」

「可愛い子ですものね」

「あぁ、ソフィが望むんなら子供として育てても」

「ジェラルドは子供欲しがってましたからね」

「そうだな。

 まぁなんにせよ、まったく事情がわからないんだから、それを聞いてからじゃないと何も決めれないな」


「そうですわね。

 想像ばかりで、またジェラルドが暴走し始めちゃったら大変」

「俺はすっかり落ち着いたぞ」

「そうですか?」

「あぁそうだ」

「じゃあ、そういうことにしておきましょうか」


 俺達は顔を見合わせて微笑みあった。

 そして口づけすると寄り添って寝室へ。

「ソフィがいるから、これより先はお預けですよ」

「えっ」

 そのことは計算外だった。

 家族が増えるとなると、いろいろ生活も見直さないといけないな。

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