13 ポーションを作ろう
薬草採集の翌日の午後のこと。
「昨日採ってきた薬草で、今日はポーションを作りましょう」
ルシールの呼びかけでポーション作りをすることになった。
「薬草はお庭で干してあるから、ソフィはお父さんと二人でまた籠に集めてきてね」
「はーい」
ソフィと二人で庭に出ると、薬草が一つずつ風で飛ばされないように石で重しをされて並んでいた。
俺が籠を持って、ソフィが薬草を一つずつ籠に入れていく。
「お母さん、全部集めてきたよー」
ソフィが元気よくルシールに報告。
食堂のテーブルの上にすり鉢とすりこぎが三個ずつ並べられている。
「あれ? これって二個ずつしかなかったんじゃ?」
「この前、街に行った時にソフィの分も買ってきたのよ」
確かによく見ると一つだけ新しい。
「わーい、わたしの分もあるー」
自分の分もあると、そりゃ嬉しいだろうな。
「それでは、今日は薬草を使ってHPポーションを作りましょう。
このやり方だけちゃんと覚えておけば、他のポーションも材料を変えるだけだからね」
「「はーい」」
ポーション作りは久しぶりだな。
ルシールは暇な時にいろいろな素材を混ぜ合わせて研究しているようだ。昔からマッドアルケミストの疑いがある。
「それでは、すり鉢に薬草を五個くらい入れますね。
普通くらいの大きさの薬草なら五個くらいだけど、大きかったら四個、小さかったら六~七個って感じで調整してね」
「「はーい」」
「では、薬草をすりこぎですりつぶしましょう」
三人揃ってせっせとすりこぎに集中。
すりすりすりすり すりすりすりすり
すりすりすりすり すりすりすりすり
すりすりすりすり すりすりすりすり
ルシールは、もうすりつぶし終わったようだ。慣れてると早いな。
すりすりすりすり すりすりすりすり
すりすりすりすり すりすりすりすり
「ジェラルドはそのくらいでよさそうね。ソフィはもうちょっとがんばって」
結構、力が要るからソフィには大変だよな。
がんばれ!
すりすりすりすり すりすりすりすり
「ソフィもそのくらいでいいわ。よくがんばったね」
「ソフィ、偉いぞ」
「えへへ」
褒められてソフィは照れ笑いしている。
「次にすりつぶされた薬草と同じくらいの量の水を混ぜます。
そして棒でかきまわすんだけど、普通にかきまわすだけだと」
くるくるくるくる くるくるくるくる
まぜまぜまぜまぜ まぜまぜまぜまぜ
「このとおり、特に緑色のまま何も変わりません。
では、どうしたらいいかと言うと、棒に魔力を流せばいいんです。
この前、魔力を手の間に集める練習したのと同じように棒に魔力を流せばいいんです」」
「「はーい」」
「では、これからお父さんに悪い見本を見せてもらいましょう」
俺が失敗例かよ。しかたないな。
「魔力を一気に棒に流して混ぜてみてね」
くるくるくるくる くるくるくるくる
まぜまぜまぜまぜ まぜまぜまぜまぜ、えい
すり鉢の中の液体が真っ赤に変わった。
「ほほぉぉ」
色が変わったのでソフィは驚いたようだ。
「これが失敗例なんだけど、HPポーションとしての効き目は問題ありません。
何が失敗かと言うと、ソフィ、ちょっと舐めてごらん」
俺は棒の先に付いた液体をソフィの手に一滴垂らした。
ソフィはその液体をペロリと舐めると、
「にがーい」
と、すっごく変な顔をした。
「そう、魔力を一気に流すととっても苦いHPポーションになっちゃうの。
ソフィはこれ飲みたいと思う?」
「絶対にイヤ!」
「そうよねー」
「では苦くないHPポーションはどうしたらできると思う?」
ソフィが懸命に考えてるようだ。
「魔力をちょっとずつ流すの?」
「ソフィ、大正解」
「やったー」
ソフィはすっごく嬉しそうだ。
「じゃ、ゆっくり魔力を流しながら、混ぜていってみましょうか」
「はーい」
ソフィは元気に返事をして、真剣な顔で混ぜ始めた。
俺の分は失敗作になってしまったので見てるしかない。
くるくるくるくる くるくるくるくる
まぜまぜまぜまぜ まぜまぜまぜまぜ
くるくるくるくる くるくるくるくる
まぜまぜまぜまぜ まぜまぜまぜまぜ
ソフィとルシールの混ぜていた液体が薄いピンク色に変化する。
「はい、上手に混ぜれたわね。
それが、どんな味になったか舐めてみてね」
ソフィはさっき俺がやったやり方を真似て、棒の先に付いた液体を手のひらに垂らしてペロリと舐めた。
「あまーい」
と、嬉しそうに答えた。
「飲むのならどっちのHPポーションがいいかな?」
「あまい方がいい」
「そうね、お母さんもあまい方がいいわ。
それじゃ、あまいHPポーションをいっぱい作りましょうか」
「はーい」
「俺の作った苦いやつはどうしよう?」
「そっちは薄めて畑に撒きましょう。肥料の代わりになるはずですし」
「そうするか、それじゃ先に撒いてくるぜ」
「お願いしますわ」
俺が畑から戻ると二人は真剣な顔でポーションを作り続けてる。
並んでポーションを作るその姿は、血も繋がってないし種族すら違う二人なのに、親子になってきてるなって思えて、なんだか嬉しくなった。
「ジェラルドもニヤニヤ笑ってサボってないで、ポーション作るんですよ」
おっと、ルシールに怒られちゃったぜ。
おやつの時間まで三人揃ってHPポーションを作り続けたのであった。




