〜プロローグ・第1話〜
初投稿作品です!この作品を作るに当たってお世話になった方々、ありがとうございました!
読者の方に少しでも響くような作品が作れたらいいなと思ってます!
よろしくお願いします(*ˊᵕˋ*)
『花霞の夜に』
プロローグ
真っ白な雪が街を染めていく。
周りには幸せそうな顔をして歩いていく男女で溢れていた。
私には程遠い世界。
しんしんと白銀が街を埋め尽くし私を取り残していく。
そんな冬が終わって満開の桜が咲く。
そんな日の話をしよう。
第1話「きっかけは…」
「夢叶!あんた冬休みどうすんのよ」
名前を呼ばれて、朝食を食べながら開いているのかわからないまぶたを持ち上げる。
「え、どうするのって…」
日に日に寒さは増すばかり。本当に春なんて来るのかとばかり思う。
「まさかまたゴロゴロしてるんじゃないでしょうね」
「いや、まぁバイトしようとは思うけど、」
朝から元気な母親に対して適当に返事をする。それと同時に目の前に広げられた求人の広告。
最高に嫌な予感がする。
重い足取りで学校の校門を通る。
冬休み前ともあって浮かれている生徒が多い。
楽しそうな生徒、朝練終わりの生徒、本を読みながら歩く生徒…。
それを眺めながら昇降口に向かう。
いつもと変わらない日常。
「あ、おはよ!夢叶!!」
高くしばったポニーテールを揺らして近づいてくる友達の夏奈。
「おはようかな〜」
「うわわ!どうしたの?元気ないね」
ぐったりと体重を預ければ頼りないながらもしっかりと支えてくれる。
「夏奈は冬休みどう過ごすの?」
「私?私は…やっぱり部活になっちゃうかな〜」
バレー部に所属している夏奈は休みがないくらい忙しいらしい。
「そっか…」
「何かあったの?」
「いや、お母さんにバイトしろと言われまして…」
「冬休みバイトかぁ!カッコイイね!」
私とは正反対に目をキラキラさせる夏奈。
「私、バイト出来ないから羨ましいな〜
もうどこにするか決めたの?」
教室に向かって2人並んで歩く廊下はひんやりとしていて、どこか心地よさを感じる。
冬の寒さは嫌いじゃない。
「ぜんぜん…」
「そっか!こっち来て!!!」
「え、ちょっ!?」
帰宅部の私にとって運動部と廊下を全力疾走するのは決して楽じゃない。
「神さん!おはよー!」
必死に息を整えながら神さんこと神谷雅さんを見つめる。
隣のクラスはまだまだ人が登校してきていないようだった。
「あら、夏奈さんおはよう」
「えーっと、そちらの方は…」
「あ、私の友達の」
「山崎夢叶です…」
現代には珍しい綺麗な日本語で微笑む雅さん。サラサラとして腰まである長い髪が彼女の華麗さをいっそう引き立てる。
「夢叶さんですか、おはようございます」
ふわりと目を細める。そんなほんの少しの仕草だけでもこの人の育ちの良さが分かるようだった。
「んで、神さんさアルバイトとか募集してない?」
「アルバイトですか…夏奈さんが?」
「ううん違う!夢叶が!」
「ん?え?なに?」
急に名前を呼ばれるとこちらを見る二人と視線があう。
「夢叶さ、バイト探してるよね」
「うんまぁ…」
「そういうことでしたか…」
「え、なに…?」
「もしよろしければうちで働きませんか?」
「う、うち?」
「神さんのお家は神社なんだよ!」
なんだか…
とても嫌な予感がする…
私の気持ちも意図しれず軽快にチャイムがなった。
#アイリス恋愛 F 大賞 9
ご覧頂きありがとうございました!
少しでも興味が湧いた方はこれからも見ていただけると嬉しいです(*ˊᵕˋ*)