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1話④

光希の部屋の前で分かれる。

「じゃあな、俺はこれで…」

俺はそそくさと帰ろうとする。

「うん!じゃ、また明日!」

「いや、明日も何も、俺は家から出ry」

が、しかし。光希は俺の言葉を遮り半ば脅迫の様に言ってきた。

「今日は家から出てたのに明日は出ないんだぁ?そんなこと私が許すと思ってる?夜中に永遠とピンポン鳴らすよ?」

脅迫と言うより悪戯に近いのが光希スタイルなのだろう……。学校行くという強制イベント発生ということか。


俺が険しい顔をしている隙に反論を聞かないようにか光希はスーッと自室へと帰っていった。


右手に飲み物左手に食べ物というTHEニートの買い出し的な恰好のまま我が(アパート)に帰ってきた。いつもは誰もいない部屋も今日は違う。扉を開けて数秒後ドタドタと音をたてながら自称美少女死神たるネロント・フューゲル・バブリント略称ネロが美少女らしいとは言えないお出迎えをしてくれた。

「マスターーー!!お帰りなさいですー!」

そう、おしとやかに「お帰りなさいマスター。」とかではなく大声をあげて飛びついてきたのだ。そんなネロを力を使って押し戻し扉を閉めた。突然のことだったので少し加減を誤ったかもしれない。


「すごいです!そんなに力を使いこなしているなんて!!!!!」

お尻に口があるように喋るネロ。…案の定加減を誤ったらしい。まぁ正当防衛といえなくもないのでこの場はスルーで行こう。しかしこのままでは見えるものが見えてしまう。

「うん。今のネロの恰好も十分すごいと思うけどな……」

俺の指摘を受け姿勢を正す自称美少女死神。まったく何をしに来たことやら…。



「で?何か話があるんじゃないのか?」

まさか用もなしに来るわけもないだろう。何故か直感的にそう感じた。実は感じた瞬間に逃げるべきだったか、と後々思うことになるのだが。

「はっ!そうでした、マスターを死界しかいにご招待しようかと思いましてこの度は来ました!」

「死界ってなんだよ!圧倒的に嫌な予感しかしないってーの!」

「まぁまぁマスターそれは行ってからのお楽しみということで…」


「拒否権は?」「ないです。」「嘘だろ?」「本当です。」「いつ行くの?」「それはもちろん……」


「今からですっ!」


刹那、突如として床に穴が開いた。穴といっても現実的なものではなく例えるなら瞳のような穴。


「うわあああああぁぁぁあぁぁ」

叫ばずにはいられない。さっきまでいつも通りの光景があったというのに気づけばスカイダイビング状態…叫ぶなという方が無理な話だ。


「そろそろつきますよ~っとマスターこちらへ」

ネロにお姫様抱っこされる形で死界に到着。死界についた俺は周りの風景を見て驚いた。なぜなら風景が()()()()()()からだ。それは同じといっても大差はないだろう。


「な、え?ここは?橋の…下?」

ただの橋の下であれば何とも思わなかっただろう。しかしここは今日歩いた道であり光希と遭遇した場所である。

「驚いていますねマスター!そう!死界というのはマスry」

「俺たちの住んでいる場所と同じ世界」

確信したように呟いた。

「その通り!で す が 同じなのは上層部だけ!下層部に行けば死神たちが住む世界となっているのです!!」

大きな動作で説明するネロ。

「どうやって行くんだ?」

「歩いてですね」


歩くこと10分


目の前には大きなパブリックアート調の扉がある。扉と言ってもぱっと見はただの壁だが…。この扉をくぐれば正真正銘、異世界に行くことになることになる。身の安全は……どうだろうなネロを信用するには少し無理がある。


死から助けてもらった。頼んではないが。能力をもらった。まぁこれは面白そうだったからという好奇心によるものだ。助けてもらったのは感謝している。確かにあの時は死のうと思っていた()()()の口癖を忘れて…。忘れてはいけない言葉を。




「では行きましょう!私たちが住む世界へ!」

ネロがそう言った。

が、本能的にナニかを感じた。具体的に表現できない。しかしおぞましいようでドロドロとしたナニのような気がした。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!!聞いておきたいことがある。…そちら側に生きている人間が行っても元の世界に帰れるのか?それに、俺を連れていく理由を聞かないと信用できない。」

ここまで来て今更だが。

そうですね、とネロのトーンが変わった。

「まず1つ目。元の世界に戻れるかという質問に対してですが結論から申し上げますと戻ることは可能です。そして2つ目の質問に対してはあなたのためであり私のためでもあるのです。」


どういうことだ。意味が分からない。

「困惑なさっていますね。率直に伝えましょう。彼女に会いたくはないですか?彼女……そう、マスター自殺しかけた原因の……。」

「会えるの…か!?」

「ええ、会えますよ。一応は。」

一応だと?どういうことだ。

「疑問に思っていますねマスター。行けばわかるでしょう。ですから、行きましょう…。」

その問いかけに静かにうなずき一歩踏み出した。


会いたい。ただそれだけを胸に。


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