1話②
前回死神と契約しました。
家に帰り、明日のために体を休める。大抵の人がそうしているだろう。そして明日また同じ生活を繰り返す。良い子はとっくに寝ているであろう……そんな深い深い夜。
「まだ目を開けちゃいけませんよー。」
現在、契約中だ。あんまり実感がわかないな。死神とかいう異質な存在に出会い俺は今某異世界系の主人公みたいな能力を受けとるというのに。
それにしても目を瞑っているから真っ暗だなあ……というか…近い、目を開けているわけじゃないから感覚でしか認識できないけど。ああ、吐息がかかる距離に少しどきどきする。ネロ……よくみれば可愛いかったり…するのか?いや、そんなことより…
死神と契約すると基本的な能力と特別な能力が開花するらしい。実に楽しみだ。能力といえば人に乗り移れるとか、全身がゴムになるとか、雷や炎を操るとかがマイナーだけど俺の能力はいったいなんになるのか………。
「いいですよ。ゆっくり目を開けて下さい。」
俺は目を開ける。
……っ!!熱い、腕が焼けるように熱い。太陽の光を虫眼鏡で写されているような感覚だ。
「マスターどこか感じる所がありますね?そこが能力のキーポイントですよ。」
腕…か?
「この模様は………?」
俺の左腕から手にかけて黒と赤で彩られた模様…いや、紋様?が出ていた。
腕を振れ。 そう聞こえたような気がした。俺は思い切り腕を振った。
ガタガタガタガタガタガタガタドッゴングッシャバッコン
腕を振っただけでタンスや机などの部屋にある家具が倒れたり浮いたりした。
「これは……??」
ネロを見る。
「これは念動力。カッコよくいえばサイコキネシス!!ですね。」
サイコキネシス。いいじゃないか!本音を言えば手から何か出るとか身体能力上がるとか期待したけどさ……。
「なぁネロ、これどうやったら上手く使えんの?コントロールとか、もっと便利に使いたいんだよ。」
集中力とか精神力とかが必要なんだろうな…………
「サイコキネシスを使いこなすなら集中力と精神力が重要ですよー!」
はい。だと思った。
「ようするに集中だけしてりゃいいんだろ?……まぁ見てろ」
「おっとマスター、ビックマウスも大概にしてください(笑)死神から受け取った能力は使いこなせるのに1年、進化するのに5年はかかりますよ?(笑)ま、私がいればそれを半分の時間でできますけどね‼」
はーっはっはっは、という風にネロが高らかに笑っていた。数秒前までは。
「なっ……………。嘘でしょ……。」
ここをこーして.....なんだ簡単じゃないか。
「残念ながら集中力だけは自信があるんだ。」
俺は自分に念動力をかけている。要するに浮いている。てか、これ想像以上に楽しい。ナニコレ、ヤバイ (語彙力)……集中力はあっても語彙力はないことは自覚した。
これは面白くなりそうだ。
※※※※
想像以上!!これならあなたと私で世界を救える……!!
でも、世界を救う前にあなたを救わないとね。マスター。
私は明日のことで頭がいっぱいだった。
口角が少しだけあがる。
サイコキネシスの力をあんなに早く使いこなせるようになるなんて。
やはり私の目に狂いはなかった。
さすが、死神界1のエリート死神ネロント・フューゲル・バブリント!
ん?……………………「あ、やばい、この気配」
※※※※
「あー、サイコキネシス楽しすぎなんだけどーネロー見てみろよ、これは完璧にコントロールできてるだろ…………ネロ??」
ネロが真っ青な顔でブルブル震えている。しまった どうすれば 早く言い訳を それとも逃走?
等と呟いている。
フォン 「しつれい。」
壁を通り抜けてまた、新しい死神が入ってきた。
「ひぃいい、センパイ!」
「油売っている暇があったら働いて。」
「いやー、これには深い深い事情があっry」
「制裁パンチ受けたいの?」
「あっえっとその受けたくないですし働きたくもないというかなんというかえーーーと……おさらばっ!」
「つかまえ。」
あ、ネロ捕まった。
「では、しつれい。」フォン
あ。
1分もしないうちに連れ去られてしまった。てか、あの死神……。
まぁいいや、もう寝よう。
そうして俺はサイコキネシスを駆使して部屋を綺麗にし、すぐに眠った。
※※※※
「センパイ!お許しをぉぉぉぉ」
「ダメ、今回はおしりペンペン。」
「ひぃぃぃ」
後輩 勝手なことした 罰 おしり……ぺんぺん!
※※※※
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