1話①
始まり
来世はいい人生になりますようにとそうおもいながら俺は飛び降りた。死のうと思って飛んだんだ。でも助けられたんだ。…………死神に。
そうして助けられた後、死神はなぜ知っているのかは分からないが俺の住んでいる家に行き俺を自室のベットに横にしてくれた。
俺は今の状況が分からない。
自室にいるのだが、目の前には同い年に見える女の子が座ってる。あれ目が悪いのかな?羽?尻尾?……コスプレかな?いや、本物?てかそういうのって存在するの?……頭痛くなってきた。
「えーと助けてくれてありがたいんだけどそろそろ自己紹介しないか?」
俺が言うと待ってましたとばかりに話し始めた。
「待ってましたよ!その言葉を!私の名はネロント・フューゲル・バブリント!魔界の誇り高きエース死神!あ、呼び方はネロでいいですよ。よろしくお願いします!」
うん?今死神って………いやそれより名乗られたら名乗るのが礼儀だな。うん。
「俺の名前は皐月 16歳だ。」
「はいよろしくです。皐月、我が主人?いえ、マスター!」
「マ、マスター??ちょっと待て何を言っているんだ?」
女の子にマスターって呼ばれた………なんか感動。それよりこいつ今死神?とか言ったか?
「はいえっとですね私は死神。そこはOK?」
「No! 信じられないね。今のところ俺のお前に対する印象は頭の痛いコスプレっ子だ。」
「……ちょっとイラッとしますが信じられないことはお察しします。そうですね………私達死神は特別な能力をそれぞれ持っています。そして私ネロの能力は水を操れることです‼」
それ死神にいる?必要なくね?っておお!!本当に死神だったのか……。そういや俺を助けたときも飛んでたな。記憶が戻ってきた感覚がある。
「マスターみてくださいこれが能力ですよ。こんな風に水を操ったり、……むん!!凍らせたりもできるんですよ。信じてもらえますか?」
信じるも何も……そんな能力、人間が持ってるわけないし……
「分かった信じるよ。で俺は関係あるのか?関係ないならこのまま帰ってくれると嬉しいんだけど?それとも君に殺されるのかな?」
殺される……??さっきまで死のうとしたやつが…?
「殺しませんよ?あなたには私と契約してマスターになってもらいます。」
「契約のメリットは?俺に何の得がある?」
人はみな欲を持っているものだ。だからまずメリットから聞こうではないか。
「えっとですね……死神の基本的な能力と自分だけの能力が覚醒するかもですね。」
はい即決。特別な能力貰えるとか聞いたらやるしないな。
「契約しますします。やらせてください。それで俺はなにをすればいいわけ?」
「目をください(上目遣いで)。」
……………………………………はい撤収~
一瞬。瞬き一つもしない内に俺は走り出す、しかしすぐに捕まってしまう。
「おいまて待ってくれ!」
「なんでですかぁ?契約するって言ったじゃないですかあ。」
今の状況はこうだ。死神以下ネロが馬乗りで爪をたてて俺の目を奪いに来てる。俺みたいなやつにとってはこの状況はにやけるくらい嬉しい。しかし、急に目をくださいと言われて素直にはいどうぞってなるわけない。
「目を奪うって?俺の目が見えなくなるってことじゃないか!」
「そうですよマスター。あっでも奪うと言っても物理的じゃないんです。あとネロでいいですよ。」
物理的じゃないの?……早くいえよそういうことは。地味にビビっちまったじゃねぇか。
どど、どういうことだ...
「えっとですね。死神との契約契約には何か捧げ物が必要なんです。捧げ物は死神ごとに異なっていて私の場合は目なんです。私は目ですけど死神によっては腕や足とかあるんですよ?だからマスターはラッキーな方ですねー。」
いや目も目できついぞ?だが重要なのはそこじゃない。その捧げ物である目をどうするかだ。物理的じゃないとか言ってたな……
「さっき物理的じゃないとか言ってたけどどういうことなんだ?」
「マスターの目と私の目を交換するんです。」
交換かよ!
「では参ります。目を瞑っていて下さい。」
いや、まだ返事も何もしてないんだけど
「魔族の皇サタン様に忠誠を誓う死神が願う 我が目を他方に他方の目を我に……」
こうして俺は死神と契約した。この契約がどれほど愚かだということにも気づかずに。
※※※※
私の名前はネロント・フューゲル・バブリント。人に恋した死神です。その人の名前はサツキ。
あれは私がまだ新人の死神だったころの話です。私たち死神のお仕事は人を殺すこととかではなく、死にそうな人を助けたり寿命を少しだけあたえて未練を残さないようにさせたりするのが使命なんですが、そのとき彼に出会ったんです。助けました。
……二度。一度目は飛び降りてまっ逆さまに落ちている時です。私は助けた後に彼に言いました。
あなたはまだ死ぬべきじゃない。命は一つだけしかない大切な物だから……と。すると彼は言いました。
「俺は助けれなかった。俺は………あいつのいない世界なんて……」
私はこの時点で少なからず彼に興味が湧いていたのでしょう。なぜなら私もその気持ちが 理解できる から。そして言葉を放ちました。
「だからって死んだらあなたの負けでしょう?それにあなたは生きたいと思っている。 そのまま死んで朽ちていくくらいなら自分の好きなように生きなさい。」
口調が乱暴になっていくことに私は気づきもしなかった。
「何があっても、辛いことがあろうが………」
「 生きろっ!! 」
感情を表に出した私の目に映ったのは頬を静かにつたう涙でした
「そうだ……そうだよな。俺は、俺は生きたいんだ。…………負けたくない。 …ありがとう。 ありがとう。君はいい人だ。君はあいつと似ている。あいつの言葉と似ている。」
彼はそういうと気を失ったように私の胸の中で眠りました。
こんな風に簡単に恋に落ちてしまう私はあさはかでしょうか。
これが私のマスターに初めて会って恋した時のお話です。
※※※※
「なぁネロ?俺達一回会ったことないか?」
「いいえ?初対面ですよ?」