今日も彼女は、

意味がわかると怖い話的なものを目指しました。

楽しんで頂ければ幸いです。

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　僕は大学二年生。

　僕には付き合って一年、同い年の可愛い“彼女”がいる。

　彼女は笑顔が素敵だ。

　今日も彼女は、僕に微笑みかける。

　彼女は可愛くて笑顔が素敵で、料理が出来て、とにかく、完璧だ。彼女の全てが魅力的だ。

　彼女は、身長は低め、腕も脚も細い。性格は穏やかだ。愛らしい容姿のため、それなりに人気があるのも確かだ。

　今日も彼女は、魅力的だ。

　最近、彼女の様子がおかしい。どうしたのだろうか。

　いつものように微笑んでくれない。

　僕が何か悪い事でもしたのだろうか？

　いや、でも。僕が彼女を悲しませるような事をするはずがない。僕はいつも彼女のためを思っているのだから。

　他に原因があるのだろうか？

　いつからか、彼女は僕と目を合わせなくなり、話さなくなり、会わなくなってきた。

　僕が何をしたって言うんだ。

　ある日、彼女のある噂を耳にした。

　どうやらストーカーの被害にあっているらしい。

　どうして僕に相談してくれなかったんだろう？

　今日も彼女は、僕を無視する。

　彼女が僕を無視するからどうして無視するのか問いかけようとした。

　けど、彼女はすぐ逃げてしまう。

　僕を避けているのだ。

　彼女は電話に出ない。僕に会わない。

　彼女に、会いたい。

　今日も彼女は、僕を避け続ける。

　しばらくたって、大学で彼女を見かけた。

　背のの高い男と話していた。

　彼女は少し困った顔をしていた。

　大分前にもあの男を見たことがある。

　どこで見たのだろうか？

　もしかして会ったことがあるのだろうか？

　どちらにせよ彼女を困らせているのには変わらない。

　僕がどうにかしないと。

　僕は考えた。

　彼女をどうすれば守れるかを。

　僕はある日、彼女にある提案を持ちかけた。

　僕の家に来ないか、と。

　正確に言うなら、僕の家で同棲しないか。その方が安全だと思うよ。そう言った。僕が居れば彼女も安心できる。

　最初、彼女は戸惑っていたように思う。

　けど、僕が説得すれば、諦めたような顔をして、同棲を受け入れてくれた。また、彼女の笑顔が見られるようになる。そう思った。

　その日から、彼女は家事を手伝ってくれるようになった。

　今日も彼女は、家事を手伝ってくれる。

　彼女との同棲生活十日目。

　今、彼女は不安そうな顔をしてニュースを見ている。

　ニュースの内容は、“九日ぼど前から大学二年生の女性が行方不明になっている”。とのことだ。

　不安そうな顔をしている彼女に、僕は、大丈夫。とだけ、伝えた。

　彼女は少し眉をひそめて、微笑んだ。

　今日も彼女は、怯えている。

　最近、彼女は僕に微笑みかけてくれるが、どこか愛想笑いに見えて仕方がない。彼女の笑顔は好きだけど、この笑顔は嫌いだ。

　僕が機嫌悪いとさらに愛想笑いをする。

　今日も彼女は、愛想笑いをする。

　今日、家に帰ると、彼女が、どこにも、居なかった。

　しばらくして、家の近くの川で彼女を見つけた。

　どうして勝手に家を出たのか問いつめても彼女は何も答えなかった。

　それどころか、彼女を泣かせてしまった。

　きっと僕が怒鳴り散らすから驚いてしまったのだろう。

　最近、彼女は少し痩せたような気がする。

　そうだ。彼女に何か美味しいものを食べさせよう。

　自分の手作り料理を食べさせる事にした。

　自分の指を切って台所が真っ赤になったが、彼女がむせかえるほど美味しそうに食べるから、痛みはどこかに飛んでいった。

　また、彼女の笑顔が見られる。

　今度は彼女が僕に料理を作ってくれた。

　彼女も指が切れてしまったらしい。

　彼女の料理はむせかえるほど美味しかった。

　今日も彼女は、笑ってくれる。

　最近、彼女は僕の言うことを聞いてくれない。

　家に帰りたいとか、外に出たいとか。

　訳のわからない事を言う。

　どうして僕の言うことが聞けないのだろう？

　僕の事が嫌いになったのだろうか？

　そんなはずはない。彼女は僕の事が大好きなはずだ。僕だって大好きだ。なら、どうかして僕の言うことを聞かないんだ。どうして僕に微笑みかけてくれないんだ。どうして僕に怯えるのか。わからない。何がなんだか、さっぱりわからない。僕は優しく接しているのに。

　……仕方ない。明日にでも外に出かけるとしよう。彼女もストレスが溜まっていたのだろう。僕も同じだ。

　そうだ。家のそばにある川にでも連れていこう。

　あそこはなかなか落ち着く所だ。

　早速彼女に提案してみた。

　だが彼女は怯えてばかりいる。

　流石に僕にも限度と言うものがある。僕は短気なんだ。

　僕は彼女の笑顔が見たくて、色々な事をしてきた。

　どうして気付いてくれないのか。

　彼女に今までの事を、想いを、全て話した。

　その後、二人で今までの想いをお互いに伝えた。

　川の流れる音が少し、耳障りに思えるほど。

　彼女は僕をじっと、よく、見つめていた。

　その後は二人で子供のように川で遊んだ。

　彼女は少し溺れかけたが何とか無事だった。

　今日は凄く楽しい一日だった。

　数日後、僕の家に背の高い男がやって来た。

　用件は、“彼女”を知らないか。と言うことだった。

　僕は、知らない。誰の事だ？　と聞いた。

　男は酷く窶れた、疲れた顔をしていた。

　そんなことより、最近、彼女は静かになった。

　僕の傍で、静かに微笑んでいる。

　今日も彼女は、静かに微笑む。

　最近、あの男が“彼女”を探して僕の家に押し掛けてくる。

　いい加減にしてほしいものだ。

　そう言えば、あの男が僕の家に来て、何か妙な匂いがする。何かが腐ったような……。そう呟いていたのを思い出す。

　原因は、わかっている。

　数日後。ニュースを見るため僕はテレビの電源をいれた。

　“行方不明だった、大学二年生の女性が川で遺体として発見された”らしい。

　気の毒なものだ。

　君もそう思うだろう？　と言っても彼女は返事をしない。

　彼女は眠っているのだ。

　今日も彼女は、僕を想い、眠る。

　最近、僕の家の周りはサイレンが鳴ってとてもうるさい。

　警察だ。パトカーが沢山うろついているのだろう。

　そう言えば、あの男から手紙を貰った。

　お前はもう終わりだ。

　俺はお前を一生、永遠に許さない。

　もう終わりだ。確かにそうかもしれない。

　それでも、もう、どうでもいいや。

　だって、“彼女”が手に入ったから。

　家のチャイムが鳴る。

　僕は素直に玄関へ向かう。

　そこには、鬼のような顔をした人達が。

　遠くには、あの男がいた。

　僕は、大人しく、その人達についていった。

　そして、よくわからないが、僕は今。

　檻の中に居る。

　“彼女”と共に。

　僕は“彼女”が、今でも……。

「大好きだ」

　今日も僕は、“彼女”を、想う。

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