分岐点
さて、これを言うのは何度目だろうか?
「は、ははは、俺、……俺、生きてる!!」
いやー、マジで死ぬかと思ったよ。
もうあんなデレ成分0%でヤン成分100%の人は来なくていいよ。
怖すぎるからね。
「で、ここどこ?」
見渡す限りの暗黒。
真っ暗なんですよ。
まあ、月明かりがあるから夜目の聞く俺は見えるっちゃ見えるんだけど。
周囲には神殿みたいなのがたくさんあって人はいないし篝火なんてもちろんない。
「マジで何もいないよな?」
この年で幽霊は信じたくないがスケルトンというものがいるこの世界。
幽霊くらいいてもおかしくはない。
という訳で透視しつつ移動しようと思います。
怖けりゃ見なければいいなんて言うけどな、ここの幽霊は平気で人を襲いに来そうだからな。
「いないよね? ほんとにいないよね?」
と、願ってたらいたよ。
なんか今白いふわーとしたものがすーっと通って行ったよ。
…………。
幽霊っていたんだ。
「別の道を行こう」
なっ! ……振り向いたらいたよ。
建物の陰からこっちを見ているこれぞ幽霊ですって感じの幽霊が!
例えるなら某配管工のおじさんがお姫様を助けるゲームで見てる間だけ動きが止まるあいつだよ。
「や、やあ幽霊君」
「ヒョォォォォォ……」
やばいなこれは。
別の道を行こう。
九十度振り向いたらまたいたよ。
首なし騎士様的な奴が錆びた剣片手にこっちに来てらぁ。
「く、来るんじゃねえ」
びびってなんかないからな。
百八十度、周れ右でまたいたよ。
まんま人魂のような……四方塞がり?
…………。
いやちょっと待って。
さっき死の恐怖から逃げてきたばかりだよね?
こんなところで幽霊の仲間入りはごめんだよ。
「カタカタカタカタ」
「…………あんたは来なくていいよ。スケさん、あんたは来なくていいのよぉーーー!!」
俺は全力で逃走を開始した。
だって今までのパターンからして、スケルトンは一体いたら百体はいるの。
御器噛り並みにしつこいの。いや、今はゴキ○リのほうが正式名称か。
って、そんなことはどうでいいんだよ!!
---
「はぁっ……はぁ……。逃げた、逃げ切った」
やっと篝火とか屋台の明かりが遠くに見える場所まで帰ってきた。
てか人がこんなにいる場所に魔物はいたらアカンでしょ。
まだ、近くに神殿のようなものがあるけどこの位置からなら十分に走って逃げられる。
ちょっと休憩だ。
柔らかい下草の上に倒れこむ。
「すぅー、はぁー」
深呼吸一回。
これで大分落ち着ける。
ああ、結構運動したあとのこの時間は気持ちいいな。
ランナーズハイだ。エンドルフィンの出すぎなのだ。
「ほんとにこんなところでやるのか?」
誰の声だ?
「いいって。どうせ誰も来ないし」
「いやでもな、誰かに見られた場合は不味いだろ」
何だい、野外プレイでもしようってカップルの会話かい?
……という冗談はさておき、レイズの声だよ片方は。
すぐそこの陰から聞こえてくるんだけど。
「いいからさっさとやれって。どうせお前はこういうのは慣れてるんだろ?」
「……慣れてるけどな、野外でやれって言ってくるのはテメェだけだぞ」
「ああ、そう。どうでもいいからさっさとしてくれ。オレもこのままの関係じゃ嫌なんだよ」
「言いながら脱ぐな!」
「なんだ? 着たままのほうが良かったのか?」
「……やりにくいから全部脱いでくれ」
「嫌そうだな? 嫌ならやめるが」
「で、やらなかったとしたら何を要求する気だ?」
「そうさな………」
「やっぱいい。大方予想はできる。誰も来ないうちに済ませてしまおう」
……マジでそっちの会話だったりする?
覗くか。
俺の忍び足はあの靴を履かなくてもかなり消音できるのさ。
そして神殿の角へ。
そこから覗けば……お相手はスコールか!?
「全部脱いで壁に手をつけ。なるべく痛くないようにはしてやる」
「なるべくってなぁ……オレも初めてってわけじゃないんだからさぁ……」
レイズが壁のほうを向いて目を閉じる。
スコールはズボンに手をかけ……違う、ポケットから何か……。
「ぐっ」
レイズの口から苦痛の声が漏れる。
あれって、ナイフか?
「おい! 何やってんだ!」
「チッ、なんでこう運がないかな。ハティ! そいつを抑えてろ」
「えっ? うお!?」
いきなり真後ろから何かが伸し掛かってきた。
首だけ動かしてみれば、さっきの犬じゃねえかよ。
「放せよ!」
「悪いな小僧。主の命には逆らえないのが我の運命だ」
「っ! この!」
「無駄な足掻きだ」
俺が犬をどかそうともがいている間にも、スコールはレイズを突き刺してゆく。
そしてついにレイズが倒れても刺すのをやめない。
「やめろ! やめろよ!」
あ、なんか頭痛が……。
前にもこういうことがなかったか?
誰かを守ろうとして何もできずに終わってなかったか?
もうそんなのは嫌だぞ。
なにか手段がないか?
このままもがくだけじゃどうにもならない。
魔法? いやダメだ。スコールは魔法を無力化できるっぽいからな。
何か、何かないか?
今の俺には召喚獣がいない、使えそうなスキルもない。
助けを呼ぶか?
でも近くに人はいないし、屋台がある場所までは距離がある。
叫んでも声は届きはしない。
そもそも勝てそうなやつに心当たりがない。
なら……あ、試しにやってみるか。
「なあ、あんた。さっき願いを一つ叶えるって言ったよな?」
「くくっ。小僧、何を望む?」
「俺がスコールを倒すまで俺に手を出すな、ってのはいいか?」
「よかろう。その願い、聞き届けたり」
犬の顔はにぃっと笑っているように見えた。
もうネタはどうでもいいよ。
「ついでにスコールの弱点とか教えてくんない?」
「願いは一つまでだ」
「そうかよ」
犬が俺の上から離れる。
立ち上がりながらリュックから杖を引き抜く。
「レイズから離れろ!」
水のレーザーを思い切りぶちかましてやった。
死ぬとかそういう考えは一切ない。
「無詠唱者か。厄介な」
高速の一撃を難なくかわしてスコールは立ち上がる。
なんか威力が落ちていたような……今はどうでもいいか。
片腕が血で真っ赤になったスコールが紙切れを取り出す。
「なんでだよ。なんでそんなことしたんだよ!」
「テメェには、関係ない……!」
きらりと一滴流れ落ちた。
泣いてる? なんで泣いてるんだよ。
「お前、やりたくてやったんじゃないのか?」
「……当たり前だろ。やりたくはないけど、やらないとアイツを守れない。だからやったんだよ!」
バサバサと音を立てて紙切れが舞い始めた。
見える範囲に白い光が浮かび上がる。
「テメェは誰か一人を助けるために何回やり直せる?」
「はっ?」
「その一人のためにどれだけ仲間を殺せる?」
一歩、一歩、ゆっくりと近づいてくる。
「その一人のためにどれだけ裏切れる?」
「何が、言いたいんだ?」
「助けると決めた一人のためにどこまで自分を殺せる?」
スコールが斬りかかってくる。それを杖で弾く。
「変えられない未来を変えるために何回生きられる?」
紙切れの一つから火炎がまき散らされる。
「いくら過去に戻れても意味なんてない、それを受け入れられるか?」
水を噴射して消火する。
「過去で何をしたところで、確定した運命は変えられない。それで諦められるか?」
すべての紙切れが燃えながら迫る。
「二百五十六、まだほんの始まりだ。テメェは何回まで耐えられる?」
分厚い水の壁で俺を囲んで防ぐ。
「何言ってんだよ。何のことを言ってんだよ!」
「テメェだって守りたいと思ったろ? 青い髪のあの子を」
青い髪、のあの子?
なんのことだ?
エアリー、のことではないだろうし。
だいたいこいつとの会話は最初の時からして大前提の共通する主語がない。
「誰の、ことだよ?」
「……これで思い出さないってことはゼロの封印か。いくら忘れられ易いからってこれはないからな」
「初めっから話せよ! こっちはなんのことかさっぱりなんだぞ」
「黙れよ。こちとら黄昏時に備えて準備してんだ。
それが間接的とはいえテメェの運命変えてしまった大失敗で余計な時間を浪費してんだよ。
……ああ、くそ。次は北極のほうも手を打っておくべきか」
スコールはバックステップで大きく距離を開けた。
「歪んだこの世界の運命は変えられない、だがその中で生きる者の運命は変えられる。
世界の理から外れてしまえば本来起こり得ることさえもなかったことにできる」
「はっ?」
「テメェはこの世界の空に輝く星を見たか?」
「ああ、綺麗だと思ったよ」
「それが次元の壁の向こうにある死んだ世界だったとしても同じことを言えるか?」
「…………」
なんか話がどんどん変わるし、内容がでかすぎて理解できねえよ。
「まあ、どうでもいいな。これ以上、無駄な時間は使えない。不確定な因子は排除するに限る」
「はぇ? ちょっと待てよ」
スコールの周りに白い光が集まる。
「フォーシングチャント……フレア!」
詠唱? と同時にレイズが作り出す例の小さな太陽が現れた。
今の俺にあれを防ぐ手はに特にないし、例の死を肩代わりするスキルも消えてるし、手詰まりか?
「もっと”早い”周回でこうして会えていれば何か変わったかもな」
スコールが腕を振り上げて、一際強く小さな太陽が輝いて……消えた?
あれ?
「…………え? 助かった?」
「……嘘だろ」
スコールが首を振って後ずさった。
例の犬がすっと俺の横を通り抜けてスコールの下に行く。
「なんで止めたんだ?」
「止めてない、止められたんだ……ほんとに今回はイレギュラーが多すぎる。
なんでこんなときに特異点が出現するんだよ」
スコールが俺の後ろを見つめながらさらに後退る。
後ろを振り返れば、
「なんだよ……今は夜だろ?」
遥か彼方から、空が朝焼けをすっ飛ばして真っ青に染まっていく。
その中心には穴があった。
酸素のない黒くなった血のような色に、紫や茶色が混じりかけたような気持ち悪い色の穴だ。
「なんなんだよあれは?」
「テメェが理から外れた時点で起こることは確定済みだ……」
あっという間に星が消えて、真昼のように明るくなってゆく。
「ああ、くそ! ほんとについてねえ、毎度毎度節目の周回でイレギュラーが多発しやがる。
ハティ! 行くぞ」
「御意」
スコールたちは俺やレイズには目もくれずにさっさとどこかへ消えていった。
なにが起こってんだよ?
もしかしてあれか? 物語の中心は主人公たちだけが知っていて脇役は何も知らないってあれか?
で、俺はその脇役のほうか?
「どこで狂った? あの北極の時点でもう狂ってたのか?」
訝しげに顔をしかめ、唐突にレイズが喋り始めた。
「そういや、おかしかったんだよ。
なんでクズ野郎がバハムートを盗んだのか。
なんで北極でクロードが現れるようにテロ攻撃なんかしたのか。
なんで今回はこんなに早く表舞台に出てきたのか」
「レイズ?」
「そもそもなんでオレの記憶にない神があっちに大勢出てきたのか」
全身から鮮血を吹き出しながらレイズが立ち上がる。
「まあ、あの場所に行ってみれば分かるか」
脱ぎ捨てていた服を着て、覚束ない足取りで進み始めた。
「おい、レイズ?」
「お前も一緒に来る……か……ぁ」
ドサリ、と糸の切れた人形のようにレイズが倒れ掛かってきた。
さっと腕を脇に入れて支える。
体は冷たい。鼓動も弱い。死にかけだ。
俺はすぐに回復魔法を使おうとして、
「無駄、だ。こ、の傷は、魔法を、砕く」
「何言ってんだ。やってみないと分からないだろ!」
手の中に生属性の緑色を光らせ、レイズに触れると霧散してしまった。
肌が露出しているところの傷を見れば何か規則性があった。
ただめった刺しにしてただけじゃない。
「はぁ……メティ、お前の呪いはどんだけ強固なんだよ」
レイズの体がうっすらと光り始め、粒子になって消え始める。
「おい、レイズ? これどういう……」
「お前が邪魔しなけりゃ完全に呪いを砕けたんだけどな」
え? 俺のせい? 勝手に猟奇殺人と勘違いして止めようとした俺のせい?
呆然とする俺に弱々しい声音で告げる。
「まあ、仕方ないさ。お前は知らなかった、これは単なる事故だ」
「でも……」
「最後に面白いものが見れた。ありがとう。
これでスコールの企みがやっと分かった。次はうまくやってやるさ」
「嘘……だろ?」
レイズの体はどんどん光の粒子に分解されて消えてゆく。
「おい……消えるなよ……」
また守れなった?
俺はなにもできないのか?
自然と涙が溢れ出てきた。
俺は前にも、こうして勘違いで、よく考えもせずに動いて誰かを傷つけなかったか?
「レベル1000だろ? それくらい治せるだろ? なぁ?」
「さっき言ったろ。この傷は魔法を砕く」
レイズの体はもう反対側が透けて見えるほどに消えかけている。
だんだんと触れる感触も薄く、薄く……。
「あぁ……好きなやつも死んだし、仲間も大勢死んだし、オレも……」
瞬間、ぱぁーっと光が綿のように飛んでレイズが完全に消えた。
さっきまで触れていたほんの僅かな温もりまで消えてしまった。
そして俺は茫然とその場に立ち尽くした。
---
「おいこら、いつまで突っ立ってんだ!」
クロードの一声と後頭部に走る重たい一撃で意識が引きずり戻された。
俺のすぐ前には死体の山があった。
全身を布で包んだ、アルクノアとかいうやつらのだ。
背後でずさっと音がして、振り返れば、たった今クロードが一人殺したところだった。
「レイズはどこ行った?」
「……消えたよ」
「消えた? ……あーもう! なんでだよ」
瓦礫の上から飛びかかってきたやつを斬り伏せながらクロードは警戒を続けている。
てかエアリーはどこだ?
辺り見回せば……瓦礫と死体しかねえ。
地面は爆発でもあったかのように抉れて、茶色一色。
…………?
なんで瓦礫と死体?
神殿は? 闘技場は? 屋台は?
なんで何もないんだ?
「な、なあクロード。エアリーは? ほかのみんなは? なんで何もなくなってんだ?」
「……悪い。他を助ける余裕はなかった」
「嘘……だよな? 何があったらこんな状況になるんだよ?」
「見て分からねえか? あれからの爆撃だよ」
クロードの指さす方向。
例の不気味な穴から光の線が大地に向かって放たれていた。
それが落ちた場所は真っ白な爆発が起こって、粉々に砕かれて、巻き上げられたすべてのモノが穴に吸い込まれていた。
「まさか……あれに?」
「恐らくな。俺は重力場で防いだが、……他は、な」
「……そんな」
あんな爆発受ければ誰だって死ぬだろう。
俺やレイズみたいな無詠唱の魔法使いじゃないと詠唱が終わる前に巻き込まれる。
ってことは、もう……もう、俺たち以外に誰もいない?
「行くぞ、二射目がきたらさすがにどうしようない。逃げるぞ」
「逃げるってどこに?」
「どこかだ」
ぶっきらぼうに答えて歩き出すクロード。
俺もさすがに一人じゃ生き残る自信がないので追いかけた。
そしてすぐに止まった。
なぜか?
瓦礫の陰から見渡せばそこかしこにアルクノアの兵士がうようよいるからだ。
赤と白の布、青と黒の布。
この二種類。俺の前で死体の山を作っていたのは青と黒のほうだな。
「どうすんだ?」
「正面突破」
「……あっちのほうに行かね? なんもいないようだし」
「さっき調べたが、あっちのほうはスケルトンの群れがいたぞ」
「…………」
さて、スケルトンの群れと、目の前のある程度は数えきれそうな不気味な奴ら。
どっちを選ぶ?
そう聞かれたらどっちも選びたかねえよ。
「何もするなよ、一気に片づけるから」
「えっ?」
クロードはナイフを十本くらい真上に放り投げて走り出した。
上を向けば……ナイフは落ちてこない。
というか飛んで行ってる。
そしてクロードが腕を振るえばナイフが雨のように敵に突き刺さってあっという間に死体量産。
気づいた端から脳天にぐさり。
敵の接近を全く許さない戦い方。
近づこうとすれば重力場で地面に押し付けられて圧殺。
離れればナイフの雨で刺殺。
ホントに敵に回したくねえ……。
「終わったぞ」
「はやっ!?」
え、今のはまだ秒だぞ、分もかかってねえよ。
なんだろう、どっかのベアラーさんの強化バージョンかなこの人は。
「なあ、クロード。お前の能力って距離は影響するのか?」
「する。遠くなればほぼ干渉は不可能だ」
そうでもなかった。
「あー、それと勢いで変なのもヤっちまった」
「……え?」
「あそこの赤い髪の」
示されたほうには真っ赤な髪の女の人が倒れていた。
赤い刺繍の白い修道服を着た人だ。
なんだろか、レイズの髪の色を変えて胸を大きくした感じだな。
「いったぁ……もうなんなのよ!」
「あ、死んでなかったか」
言うなりクロードはさらにナイフを取り出した。
こいつのポケットは魔法のポケットか。
「死んでなかったか、じゃないわ! ちゃんと相手を確認して――きゃ!」
「避けるな」
「危ないじゃないの!」
「その胸の紋章、アルクノアの指揮官だな?」
「あ、いや、これは……」
「だったら死ねよ」
クロードは両手に四本ずつ、計八本のナイフを取り出して斬りかかった。
「ちょ、ちょっと待って、ねえってば!」
「失せろ」
制止を聞かず、クロードは横一閃。
謎の女性はそれを躱すために一歩下がって、足元に設置された重力場に捕らわれて転倒。
「…………」
「ね、ねぇ、ホントに待って。話くらい」
「じゃあな」
四本の鋭いナイフを腹に突き刺し、トンっと固いものにあたる音が響いた。
「……アーマー?」
「あ……ああああああああああああああ!!」
「うっせえな」
修道服を切り裂きながら突き刺したナイフを抜けば、魔導書に突き刺さっていた。
なんか見たことがあるぞ、あの本は。
……いつぞや俺が持ってた魔導書と同じじゃねえか!
「あ、兄上のために用意した魔導書が……」
「知るか」
クロードが再びナイフを突き出そうとしたところで俺の視界に光が入った。
例の光がこっちに来る!
「クロード! 来るぞ!」
「くそっ、お前は自分で何とかしろ!」
すべてが消える瞬間を俺の目は捉えていた。
空から巨大な光の柱が落ちてくる。
それが地に落ちると同時に、何もかもを巻き上げる光の壁が、その奔流が迫ってくる。
僅かばかり残っていた瓦礫やアルクノアの兵士をも巻き込んで、何もかもを掻き消して。
俺がそれに呑まれる瞬間、クロードは真っ黒な繭に包まれて、謎の女性は俺に飛びついて……。
ああ、フェネ、アル、エアリー、みんな無事だろうか?
今日、この日。
三層からなる世界のうち、ミズガルドやヨトゥンヘイムのある第二層の一部と、それから上が消し飛んだ。
これにて第3章終了。
なんだろう、だんだん一章あたりの量が減ってるような……。
いやいや、これから増やすんだ。
……それにしてもメインのほうが進まない。
それと突然ですが、すみません。
所用で山口まで行くのでまた更新を停止します。
次回更新はワタヌキです。




