また一歩
俺は教室の隅で本読んでいる子に恋をした。
真っ直ぐ顔は見たいことないけれど横顔からでも分かる綺麗な顔立ち。
彼女は安田真子。
少し近づき難い感じのオーラがでているが、彼女の笑顔はとても素敵だ。
俺なんか相手にされないことはわかっているけどそれでも好きだ。
「おーい昂大帰ろうぜ。」
「ちょっと待ってすぐ行く。」
俺の親友の蒼だ。
蒼は唯一俺の好きな人を知っている。
放課後は二人で女子みたいに恋バナだ。
「なぁ蒼どうやったら安田さんとしゃべれっかなー。」
「直接喋れなかったらメールでもしたらいいじゃん。」
「連絡先しらねーし。」
知ってたらもうとっくにアピってる。
「お前が俺に肉まん奢るなら連絡先教えてやってもいいけど。」
「まじで!蒼お前神だよ!」
蒼は軽くはにかんだ。
なんで蒼が安田さんの連絡先を知ってるかはめんどくさいのであえて聞かない。
というか蒼が安田さんの連絡先を知ってるのはなんとなく分かる。
学校1の女好きだからな。
「ちょお前まさか安田さんに手出したとかないよな?」
少しおどおどしながらたずねた。
「俺は学校1の女好きだぞ?女の連絡先知るなんて朝飯前だしな。興味なくてもそんぐらいは知ってるよ。」
俺は内心ほっとした。
それと同時に蒼が女好きを自覚していたことに安心した。
「ほんじゃ肉まんくいにいくか!昂大のおごりでな。」
「わかったよ!」
安田さんとは仲良くなれる自信なんてないけど一歩は近づいた気がした。