宇佐美
前半の山場を一気に書きたかったのですが
文章量ヤバくなりそうだったので、二つに分けたいとおもいます(笑)
今回説明ばかりなのでちょっとヒマかもしれません…
宇佐美啓。元朝月理事会第3部副会長。
現在35歳。当時は28歳の若さでその座に着くのは異例なことだった。
父親が朝月の人間だったが、母親はこの2国の出身でしかも王宮に仕える優秀な使用人だった。
一つ前の王の死で、新たな王を選ばなければならなかったが、王の子どもは全員他国の優秀な機関に入ってしまったため、有力な人物がいなかった。
が、宇佐美の母がその話を聞いた時、ウチの息子をと紹介し、持ち前の頭脳とルックスで難なく王様となった。
「宇佐美。お前28で副会長に着いた時もキラキラしてたけど、今はそれ以上にキラキラしてないか…?」
「え、そーお⁇」
今はちょうどお昼ご飯の時間。涼村と中結が向かい合い、緑明とカツエが向かい合い、宇佐美がいわゆるお誕生日席に座っている。
次々とお昼ご飯がもてなされ、大人3人はそれを平然と食べていたが、子ども2人はかなり焦っていた。
約半分ほど食事を終えてようやく落ち着いたのを見て、宇佐美が話を始めた。
「さて、改めまして。宇佐美啓です。緑明先輩は一応、理事会にいた時の上司です。」
若干関西弁まじりに話す。
「ってことは、先生はもともと理事会にいらっしゃったんですか⁇」
「あぁ…。あんまり言いたくなかったんだがな…。」
「⁇何かしたんですか⁇」
「実はこの人、僕の一つ前の副会長やったんです。でも、その時の会長さんとエラいケンカして。で、クビになって僕が副会長になったんです。」
『あー、なるほど…』
2人が納得した。そこへカツエのトゲがささる。
「全く。アレはどー考えたってアンタが悪かったよ。勝手に思い込みで話して。きっと宇佐美くんみたいなこんなイケメンが副会長になって、さぞかし女性陣は喜んだだろーね。」
「俺に…味方は…いないのか…。」
「あ、なんか余計な話にそれちゃいましたけど」
と、中結が宇佐美のほうへ向き直ると
「えー!俺の話ってどーでもいい話だったの⁉︎」
と、緑明がツッコム。
「こー言っちゃ悪いですけど、俺も涼村も大方こんなことだろうと思ってましたよ。」
「この場で1番ヒドイのはお前らだ!」
などと、騒いでいるのはおいといて。
「あー、えっと、僕が話してもいーんやんな…?」
「はい。お願いします。」
「じゃあ…。」
と、使用人に何やら説明をすると部屋の窓のカーテンが引かれ、暗くなり、上からスクリーンが出てきた。
「どお、ビックリした⁇」
コクコクと頷く2人。
「普段はあんま使わん機能なんなけどな。今回は大活躍や。」
スイッチを入れるとそこに映し出されたのは会議室のような場所だった。
「…コレは…⁇」
涼村はど近眼なので、スクリーンに近づきつつ、眼鏡をかけた。
「コレは、朝月理事会のある会議室の現在の映像。」
『⁉︎⁉︎』
全員同時に宇佐美を見た。
「どーなってんの⁇って顔やな。実は理事会にいた頃、ゆーても1年くらい前の話やけど、怪しげな部署があったんや。」
「怪しげ…と、言いますと⁇」
「…たまたま、忘れ物を取りに自分の部署へ向かってる時、こんな時間にほとんど誰もおらへんハズやのに、やけにいっぱい声する部屋が一つあって。変やなと思って、魔法使って様子見てみてん。それがこの今写ってる映像にもカンケーしてくるんやけど。」
「宇佐美の魔法はリンクス。典型的な感覚魔法だ。」
緑明が横から説明した。
「そ。僕はいっつもこのスイッチを持ち歩いてる。」
ポケットから普通の黒いポチッとな的なスイッチがいくつか出てきた。
「このスイッチに魔力を注ぐ。で、時計とかの裏にくっつけといたら後は離れたとこでもそのスイッチに魔力をアクセスするだけ。」
「え、じゃあもしかして今、朝月の会議室に直接…?」
中結はもしそーだったら相当なもんだなと思いながら聞いた。
「うん。」
あっさり返された答えに返事すらできなかった。
「いやー、あの部屋だけもしもと思って付けっ放しにしといてよかったー。」
などと、独り言を言っている宇佐美を傍目に中結は考えた。
え、この距離から朝月に直接アクセスって、この人どんだけ魔法力あるんだよ。いや、それだけじゃない。多分使い方も上手いんだ。さすが若くして理事会の上位に入るだけあるんだな…。
「中結くん」
緑明に名前を呼ばれ、ふと我に返った。
「きっと、この人どんだけ魔法力あるんだよとか思ってるんだろーけど、実際、魔法力自体は中結くんのほーが上だから。」
「え…。でも、この距離から朝月までって相当な魔力がないと…。」
「何も、宇佐美自身が直接魔法を発動してるとは言ってないだろ⁇」
「え…⁇つまりどーゆー…?」
ここで、宇佐美が話しだした。
「いやー、実はコレ、最新の通信技術使ってるから、そんな大層なもんちゃうねん(笑)」
言ってる意味がますますわからなくなり、首をひねる。
「電波ってあるよな?あれと原理は似てて、ウチの国が開発した、魔法を電波のようにして一瞬で目的の場所までとばせる装置を作ったんや。コレのおかげで少量の魔力で遠くのもんにアクセス出来るんや。電話と近いかな⁇」
などと説明しているが、その装置の技術自体すごすぎるよ!
と、ツッコミなくなったが、キリがないとと思い直し、心を落ち着かせた。
「そろそろ本題に入りたいんやけど、いい⁇」
宇佐美がニコニコと中結のほうを向いて言った。
「あ、はい…。」
「じゃあ。実はこの会議室。話聞いてたんやけど…」
宇佐美が少し溜める。
「ぜっんぜん言ってることわからんかってん(笑)」
…はい⁇という空気が流れた。
「多分そろそろ今日も会議始まるはずやからまーちょっと聞いてみて。ホンマわからんから!」
全くワケのわからぬままスクリーンを見つめていると、やがて、人が2,3人入ってきた。
「うん、時間ピッタリやな。」
宇佐美がスクリーンを見ながら頷いた。
「いつもこの時間なんですか⁇」
涼村がスクリーンを目の端にとらえながら宇佐美のほうを向く。
「うん。毎日12時30分にココで会議があるんや。もうすぐ代表の人が話し出すと思うで。」
全員スクリーンに注目する。耳を傾ける。
「☆×△◽︎⚪︎…orz」
聞いたことのない言葉が聞こえてきて、全員沈黙。緑明はぷるぷるしていた。
笑うのを堪えているのだろう。
「な、わからんやろ⁇この言語公用語ちゃうらしー。頑張って調べたらこの言語を話せる人は世界に20いるかいーひんからしい。」
「え、それって、要するに解読不可能なんじゃ…。」
涼村の顔が若干青ざめた。
「そー僕も思ってんけど、運がよかったんか1人わかる人見つけたんや。」
「…あのー、宇佐美さん。」
涼村の顔はますます青くなって行く。
「もしかして、そのわかる人をここまで連れてこい、と…⁇」
「せーかい❤️」
これまでにない笑顔で答えた。もはや犯罪的なまでにキレーすぎる顔だった。
「これまた運よく、お隣の国におったんや!涼村さんと中結くんにはそこに潜入してもらいたい。」
ここで、中結が宇佐美の発言の中に引っかかるものを感じた。
「なぜ、潜入なんですか⁇国の王様なら他国に使いを送ることくらい容易いことでは⁇」
「そー。フツーの国やったらな。でも、お隣の国はフツーの国ちゃう。帝国や。」
「帝国…⁇」
「帝国。今から半年くらい前、即位した王様が独裁体制を築いてな。反逆者は牢屋に閉じ込めて、自分の考えのままに動くヤツだけを生かしてるって話や。」
話を聞いていた緑明が思わず返した。
「コイツらまだ中学生だぞ!そんな危ないマネいくらなんでも…!」
「朝月を敵に回してる時点で充分危ないマネちゃうん⁇」
全員昨日のことを思い出した。
「…先生。俺、大丈夫ですよ。もう何回も危険な橋は渡ってきました。今さらです。」
「私もです。」
2人が強い眼差しで緑明を見つめる。
「…なら俺もついていく。」
「それはアカン。」
宇佐美がすぐに止めた。
「でも、コイツら2人じゃ危なすぎるだろ⁉︎そんな国!」
「だからや。なんかあった時、誰か無事な人おらな助けられへんやろ⁇」
この言葉に緑明は納得した。
「…涼村さん、中結くん。」
宇佐美が交互に2人を見つめる。
「明日から行ってきて。」
こうして、潜入することが決まり、その日はゆっくり過ごすこととなった。
この後何がおこるとも知らず…
いかがでしたか⁇
次はホントにホントにホントに前半の山場です(笑)
最近スケジュール通りに行かなくて…
しっかりスケジュールしないといけませんね!