朝月へ
やっと朝月に行きます!
着実に終わりに近づいているのが
嬉しいのやら悲しいのやら(笑)
現在王宮にいる、晴、凪沙、瀬賀、浅瀬、桜原の5人はすぐに仲良くなった。
模擬戦や食事、遊び等いろいろを通して、晴と瀬賀のようにあっという間にみんな名前で呼び合う仲になった。
「さて、いよいよ明日は晴くんと亮太くんが朝月行く日やな。」
12月3日晩御飯。作戦の確認とラストスパートへの応援を兼ねて豪華な食事が並んでいた。
宇佐美がお誕生日席に座り、左手に晴、凪沙、石里、右手に瀬賀、桜原、浅瀬、宇佐美の正面にカツエの順で座る。
「はじめ、緑明先輩から話聞いたときはどーなるんかと思ったけど、僕の予想をはるかに超えてみんな頑張ってくれた。」
宇佐美が食事の手を止めて話す。
「絶対朝月取り戻すで。僕も頑張るし、みんな頑張って。無理したアカンってゆーのはそれこそ無理な話かもしれんけど、ホンマに死ぬような無理だけは絶対しやんといてや。」
全員が深く頷いた。
「朝月取り戻したら、パーティーしよな!」
みんな一度顔を見合わせる。
『…はい!』
夕食の後、それぞれが自室に戻った。晴も自室に戻り明日の流れを確認している時だった。
「…晴。入ってもいい?」
凪沙の声だ。
「いーよ。」
凪沙がそっと部屋に入ってきた。
「どした?」
凪沙は少し黙っていたが、もう一度晴が名前を呼ぶと、話し始めた。
「私、晴がいたからここまでこれた。晴が消えた時はどうしようもなく不安で、落ち込んで、どうしようもなかった。戻ってきてくれたから、今こうしていられる。だから、私が朝月に行くまで、間違っても死んだりしないでよ。」
晴は目を丸くした。そして、目をつむりかるく笑った。
「…凪沙。俺こそお前に感謝しねーとな。」
「…え?」
凪沙が少し驚いたような声を出す。
「凪沙と一緒だったから、俺も今こうしていられる。だから礼を言うのは俺のほうだよ。」
「…そっか。」
「そうだよ。」
凪沙の顔には喜びと安堵と驚きと様々な感情が入り混じっているが、至って幸福に満ち溢れた表情が浮かんでいた。
「これで終わるんだよね?」
「一応な。」
「…頑張ろうね!」
「おう!頑張ろーな!」
2人は改めて朝月奪還に向け、お互いの気持ちを確認し合った。
-王宮の出口-
「それじゃ、行ってきます。」
晴が鞄を肩に背負った。
「気いつけてな。…亮太くんは?」
「寝坊ですよ。多分もーすぐ来ます。」
その予想通り、ドタバタと瀬賀がやってきた。
「やー、悪い悪い!」
「緊張感なさすぎだろ(笑)」
「いやー、なんかドキドキしてなー。寝れなかったんだよ。」
「ったく。行くぞ。」
晴がみんなをぐるりと一回見回した。
最後に凪沙と目が合い、笑いあった。
-移動中のヘリの中-
「晴」
「何?」
瀬賀が少しニヤニヤした顔で聞く。
「お前ってもしかして、凪沙ちゃんのこと好きなの?」
「は!?」
晴の声が裏返った。
「な、なんでそんな急に…?」
「いや、最後の2人で笑い合ってるの見てそーなのかなってさー。昨日夜も、なんか2人でしゃべってたみてーだし?」
「お、お前、なんでそれ…」
「だって、凪沙ちゃんが晴の部屋入ってくの見たし。」
「…別にやましいことはなんもないからな。」
「ふーん。で、どー思ってんの?凪沙ちゃんのこと。」
晴は少し間を置いた。
「…恋愛感情ってことで言うと、どうかはわからねーけど、好きだよ。」
「ようするに、今はフツーの友達としてってことか?」
「多分。」
「へぇー。ま、晴がそーだって言うんなら別にこれ以上は何も詮索しねーよ。」
晴はその後しばらくなんとなくその事を考えてしまった…
ー朝月ー
正確には朝月へ入るための入り口の前にいる。
「亮太。入り方わかんのか?」
「コードがかわってなけりゃな。」
と、瀬賀が扉に手を触れる。
ブツブツとコードを唱えた。最後に魔力を送り込む。
「…ダメだ。変わってやがる。」
「ダメか…。何か他に方法ってあるか?」
「うーん…あるにはあるけど、多分それしたら今日1日分の魔力使い果たすことになるだろーな。」
瀬賀が少し困ったような声を出す。
「今日1日ですむなら全然大丈夫だろ?その方法でいくしかない。」
「…そーだな。オマケに晴の魔法力はハンパなく多いからな。もしかしたらフツーにいけるかもしんねーし。」
と、晴の提案に応じて瀬賀が扉の開けた方を教える。
「おっけ。やってみるよ。」
「じゃあ、俺がアシに回るから、そっちは頼むぜ。」
と、瀬賀は扉から少し離れた。
「ふぅーー…。」
晴は深呼吸する。
(…よし!)
扉に手を触れ、魔力を注ぐ。ここで使う魔法は上書きの魔法。
この扉は魔法によって開いたり閉じたりするため、その都度、決められた魔法を唱えて魔力を少々流し込んで開けなければならない。
唱える魔法はパスワードのようなもので、書き換え可能。
つまり、おそらくアイスラーが帰ってこない瀬賀たちを疑って、パスワードを変えたと思われる。
アイスラーは扉の管理をしている張本人なので、簡単にパスワードを変えられるが、部外者が無理矢理変えるには膨大な魔力を流して、強制的に変えるしかない。晴はとにかく魔力を流し込んだ。
少ししてMAXで晴が魔力を流し込んでいるとき、瀬賀が後ろで魔法を唱え、扉へ向かって放った。
「晴!もーいーぜ。」
瀬賀の合図が聞こえ、晴は魔力放出を止めた。
止めると、扉がゆっくりと開き始めた。
「お、成功だな!」
瀬賀が扉に近づく。
やがて完全に開き、いよいよ2人は朝月へ潜入した。
ー朝月ー
約一ヶ月ぶりに朝月に帰ってきた晴。見た目は朝月を離れたときと大して変わってはいなかった。
「晴。こっち。」
瀬賀が、安全な場所へと向かう。
5分ほど歩いたところで、一軒の家に着いた。
「ここだよ。」
フツーの家だ。どこが他と違うのかわからないくらいに。
「いろいろしなきゃなんねーからとりま、入ろ。」
瀬賀が家に入り、晴も続いて入った。
「亮太。ココが安全な理由って ?」
晴が家の中を見回しながら、荷物を床に置いた。
「実はここ、俺が見つけた隠れ家。」
「隠れ家?」
「あぁ。アイスラーに操られてたころ、ここを見つけた。この家、地図に載ってねーんだ。」
「つまりは、ノーマークってことか?」
「そ。俺以外この家の存在は誰も知らねー。誰にも言ってねーからな。」
「まさにうってつけってワケか。」
「うん。さ、準備はじめよーぜ!」
こうして2人は着々と偵察準備を始めた。
次回は偵察と、子ども5人揃っての行動になると思います。
次回もよろしくお願いします!




