解除
22話目です!
わりとこの後にも重要になってくるキャラが出てきます!
桜原は石里の魔法で軽く拘束されている形で、晴と戦った男は気絶したまま、宇佐美のところまで戻ってきた。
「え、扉、壊しちゃったの⁉︎」
「ちょっと、やりすぎたな(笑)」
「いや、笑い事じゃないでしょ!」
「でも多分大丈夫。石里先生がなんとかしてくれるよ。」
と、言いながら宇佐美を見た。
「ん?まだ誰とも遭遇してへんみたいやで。扉壊れたんも気ぃついてへんっぽい。」
「流石に今すでに戦闘に入ってたらいくらなんでも早すぎですからね。先にこっちのことやりましょう。」
「そやな。」
こっちのこととは記憶操作の解除。
あらかじめ宇佐美にある程度まで用意はお願いしてあった。
「凪沙はその女の子。俺がこっちのヤツでいーよな⁇」
「うん。」
「じゃあ宇佐美さん。始めてください。」
こうして、初めての記憶操作解除が始まった。とは言っても、人格形成の魔法もかけられているので、まずはそこから紐解かないといけない。
人格形成の魔法は、標的の体内に石里が解読した古代魔法にある対抗魔法を唱えて、流し込むだけ。
古代魔法は現代魔法と違って、全ての魔法式を唱えなければならない。簡単な日本語が羅列しているだけで、唱え終われば後は魔力をひたすら流すだけだが、唱えるのに失敗すれば、また一から唱え直しだ。
現代魔法にももちろん魔法式はあるが、必要な魔力を放出すると同時に、魔法式の一番最後の文字を言うだけで発動する。全てが英語なのが弱点といえば弱点。
使い慣れない古代魔法を2人ともなんとか発動させ、しばらく魔法を流し込んだ。
「よし、2人とも。もーえーで。次行こ。」
宇佐美が指示を出す。次は記憶操作の解除だ。これがかなり厄介。
「これが、多分解除の仕方。あってるハズやけど、ごめん。試してる時間なかった。」
「ほぼほぼ大丈夫だと思います。」
晴が宇佐美から何かを書いた紙を受け取った。
「1、2、3…15!全部で15種類、間違いないですか?」
「うん」
「じゃあ、やります。凪沙」
晴が凪沙にも紙を渡した。
「ーーーー。おっけー。」
「宇佐美さん、お願いします。」
宇佐美が桜原と男に感覚刺激の魔法をかけた。
「準備できたで。」
2人は頷き、お互いの担当者の耳に手を当てた。
発動したのは音波魔法。記憶操作を解除するには15種類の音波を連続で途切れることなく流し続け、宇佐美の感覚刺激でそれを増幅させることで、ようやく完成する。
音波魔法自体はそれほど難しくないため、凪沙にもカンタンに発動できた。晴においては得意分野の一つだ。
5分ほど音波を流し続けたときだ。
「…んん…」
桜原が少し苦しそうに声を出した。
「⁉︎理菜⁇理菜⁇気づいた⁇」
「…んん…。な…ぎさ…」
「!そうだよ!凪沙だよ!」
桜原がもう一度確認するように凪沙を見た。
そしてまた目を閉じてしまった。
「晴」
「あぁ。成功だな!」
晴がニコッと笑って答えた。
結局15分ほど音波を流し続けたところで、一応記憶操作の解除は終わった。
2人ともまだ眠ったままなので、本当に解除出来ているかどうかはわからかいが、一応念のため、軽い拘束の魔法をかけておく。
「2人ともご苦労様!」
「宇佐美さんこそお疲れ様です。」
「いやいや。2人に比べたら僕はまだマシやで。」
宇佐美が笑いながら手を横に振る。
「石里先生から連絡まだないんですか?」
「ないなー。ちょっと2人のどっちか様子見てきてくれへんか?」
「じゃ、俺が行きます。」
晴が立ち上がった。
「え、晴が行くの…?」
「うん。何か問題ある⁇」
「いや、もしこの2人が起きて記憶操作が上手く解除出来てなかったら…さ。」
「…大丈夫だよ。凪沙は強いし、宇佐美さんもいるしね。それにもし何かあったら連絡して。」
「…わかった。」
「じゃーな。行ってきます」
晴が部屋を出て行った。
「中結くん、ちょっと見ーひん間にかなり大人になったなー。」
「ですよね…」
「なんや凪沙ちゃん、えらい寂しそーやん。」
「え、そーですか⁇」
「うん。」
「…うーん…。自分でもあんまりよくわかりませんが、もしそう見えるのなら、それは私が晴においていかれてる気がしないでもない、ってトコですかねー。」
「…そっか。でも昨日も言ったけど、凪沙ちゃんはまだまだ強くなれるよ。だってこの短期間でこんなに成長したんやから。」
「…なんかこう…、一つ大きな壁が前にあるって気分なんですよね…。晴はそれを乗り越えた感じがするってゆーか…」
「凪沙ちゃん。それは多分、実戦経験や。」
宇佐美が待ってましたと言わんばかりの速さで答えを返したため、凪沙は驚いた。
「…え、実戦経験…ですか…?」
「そ!多分、中結くんは消えた間にどんな形かはわからんけど実戦経験をしてきたんちゃうかな⁇」
「実戦経験…」
言われてみると、思い当たる節がいくつかある。今だってそうだ。
「やから、凪沙ちゃんも実戦経験積んだら、爆発的に力延びると思てる。」
「…」
なんとなく次の目標が見えかけたとき、2人のうちの男のほうが目を醒ました。
ー旧入り口ー
(出てこないな…)
かれこれ30分が過ぎたが、誰も出てくる気配すらなかった。
(…一旦出直したほーがいいか…?)
などと、どうしようか迷っているときだ。
「先生。何か変わったことありましたか⁇」
後ろから声をかけられる。振り向くと予想通りの好青年が。
「中結…。何もないよ。どうしてココに?」
「連絡が全くなかったんで、様子見に来ました。」
「もうそろそろ一旦引き上げようかと思ってたところだ。」
「じゃあ、あと少しだけ待ってみましょう。」
晴は石里の横に来て、身を隠す。
「…中結。昨日言ってた通りなら、誰か出てくるんだよな?」
「そのはずです…。でも俺が扉壊しちゃったんで、もしかしたらくるったかもしれません…」
「おいおい…」
「でも、おそらく誤差の範囲です。」
きっぱりと言い切ったが、石里は心の中では扉を壊すことは誤差ですむのか…?などとツッコんでしまいたかった。
「とりあえず、あと30分、様子みてみましょう。」
時はいたずらに過ぎ、あっという間に30分たってしまった。
「…中結。人っ子1人いないぞ…」
「やっぱり扉壊したのがまずかったですかね…」
「…もう限界だ!一旦帰るぞ。」
と、石里が立ち上がった。
その場を離れようと少し歩き始めた。そのときだ。
宇佐美からの感覚共有の魔法が発動し、例の黒いのから声がした。
「中結くん。石里先生。聞こえる?」
石里は急なことだったため、反応に遅れたが、晴が反応した。
「聞こえてますよ。どーかしましたか⁇」
「あまりにも遅いからその様子やと、誰も出て来てへんねんやろ?」
「ええ、まあ…」
宇佐美がすべてを理解したような感じで言った。
「1人、協力してくれるヤツが現れた。」
「…え⁇どーゆー…」
「君が中結晴?」
いきなり若い男っぽい声がした。
「…誰…?」
「ん⁇あぁ、俺⁇俺は瀬賀亮太。中結くんが俺の記憶操作を解除してくれたんだよな?」
記憶解除。この二つでもうわかっただろう。
さっき宇佐美の元へ連れて行った2人のウチの男のほう。合成魔法を使っていた人だ。
「…そうだが…、瀬賀くんは、以前の記憶があるみたいだな。」
「ん?あるよ。」
当たり前だみたいな返事をされて晴は少し拍子抜けした。
「そ、そうか…」
「ま、詳しい話は後だ。とりあえず今説明するのは次の段階について。」
瀬賀が一呼吸おいた。
「中結くんの読みは当たってる。確かにそこから出てくる。扉が壊れたことも踏まえて、おそらくもうすぐ少し背の低い男子が出て来るハズだ。」
と、瀬賀が言ったその瞬間だった。
「中結!あっち!」
石里が隠れてヒソヒソと話した。晴も石里の指した方を向く。
「…瀬賀くん。アタリだよ。」
「だろ⁇じゃあ、後のことはまかせたよ。俺はこっちでいろいろ話聞きながら待ってるから。」
と、一方的に通信を切られた。
「…イマイチつかみどころのないヤツだな…」
ボソッとつぶやいて、ふと、目の前の敵のことを思い出し、そちらの方を見る。
「…扉の前から離れませんね。」
石里に話しかけた。が、答えはない。
「⁇先生⁇」
晴は石里の方を向いた。
「…ん⁇あぁ、呼んだ?」
「どうか…したんですか…?」
石里は少し戸惑っているようだった。
「…今扉の前にいる子、あの子が僕がこの前会った、近所の子だ。」
それを聞いた晴がもう一度扉の前の男子を見る。
「名前は浅瀬智哉。彼も僕のことは知っている。記憶操作のせいで、今はわからないだろうけどね。」
石里は何か、ためらっている。そんな感じがした。
「…先生、まさかこの後に及んで、迷いなんてないですよね?」
晴が強い眼差しで石里を睨んだ。
「…。ない。とは言い切れない。」
ここで、息をスッと吐いた。
「でも、やらなければならなこともわかってる。今はとりあえず、目先の敵だろう?」
「…それがわかってるなら充分です。先生、俺がその浅瀬くんを誘導するんで、ポイントポイントで術式を発動させてください。」
「…わかった。」
「…手を抜いてヘマをする。なんてことはナシですよ。」
そう言って晴が立ち上がり浅瀬に近づいて行った。
いかがでしたか⁇
次もおそらくキャラが増えます(笑)
ここに来てキャラがたくさん出てくるので、把握するのがかなり大変ですw
では、また今度!




