記憶操作
いよいよ記憶操作について、細かいことがわかってきます。
ほぼ涼村単体の回となりました(笑)
各々記憶操作に関する情報を集めること3日。
ー裕子の家ー
「3日間ありがとうございました!」
「いえいえ。また来てね。京介のこと、頼んだわ。」
「了解です。次会う時は、朝月を取り戻したときに。」
「それを願ってるわ!また何かわかったら連絡するね。」
「お願いします。」
ー王宮ー
「さて、各々集めたもん説明してくれる⁇」
宇佐美と涼村とカツエと使用人を代表して依田が集まり結果報告を開いた。
まずはカツエから。
「王宮の書物の中に記憶操作に関するものはたくさんありましたが、人間性そのものを作ることについては全く手がかりなしです。」
「うーん…そっかー…。依田は⁇」
「街のいろいろな場所をあたりましたが、全くです…。」
「やっぱそーなるか…。凪沙ちゃんは⁇」
「私もみなさんと同じような結果です。結果なのですが…。」
と、一冊本を取り出した。
「それは⁇」
「これは、記憶操作ではなくて、二重人格に関わる本です。」
「二重人格⁇」
ワケがわからなくて、宇佐美も他の2人もハテナを浮かべる。
「はい。私と裕子さんが2人で出した一つの考えなんですけど、記憶操作に人間性を作るものまであるのではなく、別の人格形成の魔法を併用したんじゃないかと、思ったんです。」
「ふーん。なるほど。で、なんで二重人格⁇」
「自我を奪ったとしても、元の性格がなくなるワケじゃないです。そこで、もう一つ別の人格を植え付けることで、アイスラーの手の内に収めたんじゃないかと思って。」
「つまり、元の性格のままだと何かの拍子に自我を取り戻したり、都合が悪かったりするから、もう一つ植え付けて完璧に自分のもんにしようという考えか。」
「そうです。禁忌魔法の一つに人格形成の魔法を見つけました。しかもこの魔法、記憶操作の魔法とすごく似てるんで、アイスラーにとっては使いやすいと思います。」
涼村がかなりよく調べてあったため、全員が感心して、聞き入っていた。
「…。凪沙ちゃん。僕この前アキラに会って来たんや。」
「記憶操作の調査でってことですよね⁇」
「うん。凪沙ちゃんみたいなしっかりした話は持ってこれへんだけど、一つ有力な情報をつかんだ。それを凪沙ちゃんにしてほしいんやけど…」
「やけど⁇」
「…僕ら凪沙ちゃんに負担かけすぎちゃうかなって思って。今回もめっちゃ調べて来てくれたし、あちこち飛び回ってくれてるし…。」
「何言ってるんですか!私はやりたいからしてるんですし、やらなきゃならないからやってるんです。こうやっていろいろな所に行けるのは、みなさんのおかげですし、やれることならやります!」
涼村が語調を強くした。
「…。無理、してへん⁇」
「大丈夫です!で、有力な情報って⁇」
「…。元本部にアイスラーの使ってた資料とかが残ってるかもしれへん。行ったことのある、凪沙ちゃんにお願いしたいんやけど…」
「まかせてください!ようやく、晴のおかげで、緑明先生のおかげで、ここにいるみんなのおかげで、ここまで来れたんです。あと一歩ですべてそろう。もう少しで朝月を取り返せる。多少の無理は大丈夫です。今も全然苦になってません!」
「…その言葉、信じんで?」
「はい!元本部、行きます!」
「じゃあ、明日出発やから、用意しといて。…頼むで。」
ー翌日ー
「それじゃ、行って来ます。」
涼村が挨拶をしてヘリに乗り込んだ。
「なんかあったらいつもみたいにして連絡してや。」
「わかってます。」
「じゃ、気いつけてな。」
「はい。」
ー元本部ー
再び元本部にやって来た涼村。
「さて…」
前と同じように入り口から入り、2階へ。
(この前来た時、記憶操作の本なんてあったかな…?)
なかったように思えるが、まあ探してみようと、一部屋づつ調べていく。
(確か、2階って歴史資料ばっかで、そーゆー類の本はなかったと思うんだよね…)
涼村の記憶通り、ほとんどが歴史に関するもので、記憶操作などという文字は一つもなかった。
3階へ上がる。
3階は非常に資料の数が少ない階だった。
大きな会議室がボンッとあるため、机とイスばかり。
(やっぱりないよね…)
他の部屋にはない、大きな絵が1枚飾られているだけで、あとは何もない。
(絵の裏に何か仕掛けがあったりして。)
と、絵の裏を覗いて見たがらしきものは一つも見当たらず。
(やっぱり、そんなカンタンにはないか…)
そのまま4階へ向かった。
かれこれ3時間近く作業をしているので、お昼を回っていた。
4階の適当な部屋に入り、イスに腰掛けて持ってきたお弁当を広げる。
(やっぱり何にもないなー…)
ぼーっと考えながらお弁当を食べ進める。
食べ終えて、お茶を飲み、気持ちを切り替えて勢いよく立った。
立った瞬間少しよろけてしまい、再びイスに座りこむ形に。
(あれ⁇なんだろ…?最近寝てないから、疲れてるのかな?)
思えば少し体がだるかった。
(…早めに探して切り上げよう…)
涼村は急ぎめに資料探しを再開した。
ようやく、記憶操作に関する本が出てきた。
コレか⁉︎と思い、本を開くとそれは裕子の家にあったものと同じもの。
(…ま、そうカンタンには見つからないよね…)
本をパタリと閉じて、次の部屋へ向かった。
5階。結局4階でも何も見つけられず、最後の階となってしまった。
(ヤバいな…ラストか…)
5階は半分がデッキになっているため、部屋が二つしかない。
(こんな残り二部屋にあるとは思えないな…)
などと考えながらも調べる。
しかし、涼村の予想通り記憶操作に関する本は一冊も出てこなかった。
(あーあ…やっぱりないかー…フツーそんな大事なものこんな所に置いて行くわけないもんね…)
がっかりしながら部屋を出た。
ボーッと階段を降りる。
(このままだと、完璧に私の勘で朝月に行くことになるし、どうしよう…)
4階、3階と降り、2階に行こうとしたとき、ふと頭の中で何かが引っかかった。
(…あれ⁇なんだろ…。3階…と…5階…?)
何の共通点かわからないがふと3階と5階が頭の中で繋がった。
(…⁇もう一回見てみよう…)
涼村はまず3階の大きな会議室に入った。
机とイスとあとは…絵…⁇
うーん。と、考えたが答えは見つからず、とりあえず5階へ。
5階の二つあるほうの片方の部屋に入った。
(…)
部屋を見渡してみる。
(…。!絵だ…)
5階のこの部屋には3階と同じような絵が飾られている。部屋の大きさは5階のほうが小さいのに、絵の大きさは同じような大きさだ。
(…絵の裏…?)
3階でしたのと同じように絵の裏を覗いて見た。
(うーん。何もないか…)
と、絵から手を離したときだ。
(⁉︎今何か書いてあった!)
もう一度絵の裏を見る。涼村の手で隠れていた部分を見ると、そこにはカンタンな魔法式が書いてあった。
(…ここで発動しろってこと…なのかな⁇)
涼村はその魔法式を唱えた。
バァァン!
下から何かが倒れたような音が。涼村は急いで階段を降りた。
涼村の予想通り、3階の絵が落ちていて、絵のかかっていた場所には、どこかへ入れそうな入口が。
(ビンゴ!)
涼村は迷うことなくそこへ入って行った。
もちろん、入ると真っ暗で何も見えなかったため、火の魔法で辺りを照らした。
(…けっこう長い…)
ゆっくりとはいえ、かれこれ5分ほど歩いている。しかし、全くたどり着く気配がない。
(暗いし、なんかちょっと怖いな…)
恐る恐る歩いて行くと、急に地面が平坦になった。魔法を強めて、辺りをより明るく照らしてみた。
「着いた…⁇」
広い空間に出たようだった。
しばらく辺りを探るとランプが置いてあった。そこに火を灯す。
(これで、明るくなった)
ランプは魔法がかかっており、部屋全体を明るく照らした。
まさに秘密の部屋とでも言うべきか、大きめの机に豪華なイスが一つ。壁には本棚が並んでいて、本がズラリと収めてある。
少し小さめのガスコンロや流しがあったり、食器棚があったり、お手洗いもあった。お風呂は流石になかったが、ココで生活しようと思えば、充分できる。
(とりあえず、探してみよう)
涼村は早速本棚を調べた。
もちろん涼村は記憶操作に関する本、もしくは人格形成についての本を探しているのだが、珍しい本が多いためそちらに興味を惹かれることもしばしばあった。
1番興味を持ったのは、この世の始まり という本。一見どこにでとありそうな感じだったが、開いてみると様々な仮説が述べられていて、それを読むだけで1日を潰すことくらい容易だと感じるほどだった。
そちらに気を奪われかけると、我に返り、目的のものを探す。また、気を奪われ、我に返り…という行動を5、6回繰り返したとき、ようやくお目当てのモノが見つかった。
机に座り本を広げた。今までの本と同様に、記憶操作についての説明、魔法の発動方法、注意事項などなどが続いており、そのまま最後のページに。
(あれ⁇結局何もなかった?)
ガクリと肩を落とした。
(なかったかー…。コレ絶対なんかあると思ったのになー)
残念と思って本を閉じた。
涼村は机に伏せて、本を睨む。
「…あれ?ここ、なんか膨らんでる…」
本の表紙がわずかに膨らんでいた。なんとかして取り出そうと上から見たら表紙の隙間が空いていて、そこに紙が入っていた。
涼村はその紙を取り出して読んだ。
(えっと、完全支配の方法…?)
あまりよくわからなかったが、とりあえず読み進める。長い前置きがダラダラと書いてあり、その最後に
(これから示すのは記憶操作と人格形成の2種類の魔法について。)
「⁉︎これだ…」
ついに見つけた。アイスラーの使っている魔法がついに解明される本を見つけた。
その紙の1番最後には、
(人格形成の本もチェックする)
と、書き記してあった。涼村が大急ぎで人格形成の本を探す。
探すと言っても記憶操作のすぐ近所にあった。
そちらの本も広げて紙を探す。今度は裏表紙の合間にあった。
(この二つを組み合わせれば、完全支配が成り立つ。)
と、結論付けられていた。
(…私の考え、あってたんだ…)
そうとわかればすぐに王宮に戻ろうと、2冊の本を鞄に入れ、最後に本棚を一通り見て他にはヒントになりそうな本がないことを確認し、秘密の部屋を後にした。
元本部を出る頃にはもう空は暗かった。時刻は午後8時くらい。お腹も減ったし、体もだるいし、とりあえず近くの街まで歩こうと思い、歩き出した。
(とりあえず、この2冊があれば、解除方法もわかるはず。)
早く王宮へ帰ろうと、少し急ぎ足で街へ向かう。
しかし、少し歩いただけで、息が切れる。体も熱い気がするが、寒気もする。頭もかなり痛い。
コレは絶対ヤバいと思い、より一層足を速めた。
こんな所で倒れてしまうと、人通りもほとんどないため、まず助からない。
(それだけはなんとしてでも避けないと…。天気も悪くなってきたし…)
もうほぼ気力のみで歩いた。が、ついに限界が来てしまった。
(…ダメ…しんどすぎる…。でも、ココで倒れたら…)
歩け、歩けと心の中で念じるが、意識も相当朦朧としていて、視界が急激に暗くなる。
(だ…め…)
抗うことも出来ず、ついにその場に倒れてしまった。同時に激しい雨が降り始めた。
いかがでしたか⁇
次で中盤の物語は最後です。
いよいよ終盤に向かいつつありますが、なかなか話が前に進みませんね(笑)
終盤はすごいスピードで進むので、多分大丈夫だと思います。
…何が大丈夫か自分でもよくわかってないのですが…(笑)
ではまた!




