ロボットと人間
『アマテラス』が起動して三か月。
大気は既に人間が住めるようになるまでに浄化が完了し、人間が別の惑星から帰ってくることとなった。
ロボットは反乱分子となりうるレガシィ将軍と軍のロボットを解体したが、それ以外は自由に住んでも良いこととした。
――そして、ここはとあるバー。人間とロボットの共存が始まっても、このバーは人が少なくて隠れ家的人気を誇っていた。
「マスター、おかわり」
「そんなこと言っても、もうダメだよ。スロウス? それ以上飲んだらパンクしちまう」
マスターが制したのを見て、スロウスは空になったグラスを見つめる。
「いいのよ、飲ませてよ」
「あのなあ……『アイツ』の記憶を早々に忘れたい気持ちも解らなくはないが、早く受け入れたほうがいいんじゃねえか? 人間も言っていたが、そういうことを乗り越えると強くなる……って聞いたことがあるぜ?」
「うるさいのよ、アンタ……」
スロウスがそう言ったのと同時にドアが開けられた。
「あ、あんた」
「どうも」
やってきたのはレンだった。
「ダメだよ、スロウス。こんな潰れるまで飲んじゃ。アイツが泣いちまうよ」
「アイツはもう……一途なのよ」
スロウスはもう解っていたのだ。
あのロボットが好きなのは、少女だったということが。
「……まあ、スロウスにいいものを見せてあげようと思ってさ。外を見てごらんよ」
そう言われて、スロウスはレンに誘われて外に出た。
そこには、雪が降っていた。
「あ……」
アマテラスが稼働したことによって、気候が正常に回復し、雪が見れることがそう珍しくなくなった。
「……アイツも見ているのかな……」
スロウスは空を眺めて、呟いた。
雲の隙間から、綺麗な星空が覗いていた。