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テガミ  作者: PEACH
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=プロローグ=  『私』を殺した『僕』へ

~テガミ~

大好きです。

…でも、一緒にはいられません。


涙がでます。

…あなたも流していますか?


でも、流してほしくないです。

私も流したくありませんでした。


このテガミは涙で濡れていませんか?


また、あなたの涙で再び濡らしていませんか?


でもそうやって、あなたとこのテガミを共有できているのなら、それは嬉しいです。


このテガミはあなたと私を繋いでいます。


どうか、どうか…

捨ててください。


この手紙を未来に残さないでください。


そうすることで、私とあなたの過去、心のアルバムは


抹消されるのです。


この言葉は直接あなたに伝えたかった…


『大好き』


『さようなら』


伝えない方が、良かったですか?


大事な事は二つです。


泣かないでください。

捨ててください。


そして本当に



さようなら。




ある日僕に届いたのは、ところどころ黄ばんでいて、殴り書きしたような字で…

まるで思いついたように書かれた、この「テガミ」でした。


たった今僕らの心のアルバムは、争いの火で燃やされたのです。


あなたはナニをうらみますか??


全てを失った僕は、憎しみも怒りも失くしました。


でも、肝心な「失くさなければイケナイ」モノを失くしていません。


大丈夫だよ。


テガミは失くしました。いえ、これは君の思う通りに捨てたんだ。

「ココロ」という名の厄介なモノも、とうに捨てています。


ただ、早く失くしたいのに失くせません。

     捨てたいのに捨てられません。


君のテガミは無くなったのに、僕のココロも無くなったのに。


君への気持ちさえも無くなった今。




…君の姿が消えません。


今も僕の偽りの瞳には、君の最後のコトバが映っています。


あの日君は僕に何を伝えたの?


争いの音が消えないその街で見たときは、君のかすかに動く唇しか見えていませんでした。


僕のたった一つの後悔です。


あの時僕がもっと大きな手を持っていれば、君に行くなと言えたのだろうか。

その小さな手を握ってあげることができたのだろうか。


そうすれば君は今頃…僕のすぐ隣でいつものように…


僕の瞳からは、崩れそうになりながら、血色の悪そうな唇をかすかに動かして…


そう、確かアノトキ…


タスケテ…


そうか、君を殺したのは僕だ。


君の手を握ってあげられなかった


僕だ。


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