〜第2章〜「不穏な空気」
またまた長くなってしまいました……ご了承下さい
「じゃあ席は…っと高岡の隣が空いてるな!あそこに座って貰えるかい?」
「は、はい!分かりました!!」
「えっ!?」
まだうつむき加減だった俺には反論する暇も無く、霞麗奈は俺の横の席にちょこんと座っていた
と、言うのも実はこのバレにくい席が気に入っていた。クラスの一番後ろかつ、窓際、さらに隣に誰も居ないというこの場所は、授業中居眠りするのに最適だったからだ。
面倒な事になった……と頭を抱えていると、霞麗奈の方から話しかけてきた。
「あのっ!今朝はありがとうございました!!」
「あぁ〜、それもう三回目!別にいいって言ってるだろ」
「は、はい…すいません……」
何を言ってるんだ!俺は!!転校して来たばかりだというのに…
あ〜もう!と後悔しつつ、挽回しようとある事を思いつく。
「そうだ、霞さん!まだこの学校の事、あまり知らないんだよね?昼休みにでも案内しようか?」
大樹は必死だった。大抵ここで
「ありがとう!でもちょっと用事が…また今度」
などと、断られるだろうと思っていたが、霞は違った。
「えぇ!本当?私も出来ればお願いしたいと思ってたところなんだ!!ぜひぜひ、お願いします!!!」
わざわざ席を立ち、ペコリとお辞儀をする。この子可愛いけど、いちいちアクションが大きいな〜。そんなことを考えながら、昼休み校内を案内することになった。
「さってと、昼休みか…ちゃっちゃと飯食って麗奈さんを案内しないと……」
俺が
「麗奈さん」
と呼んでいるのは、本人の志望からだ。呼ぶなら名前の方がいいそうだ……
「あれ?そういえば、麗奈さんどこに行ったんだろう?」
あくび+伸びをしている間にどこかに行ってしまったようだ。
「う〜ん、まあいいや!今のうちに!!」
持参(奄美作)の弁当を数分で平らげ、まずは隣のクラスの千草に聞き込みをする。
「なあ千草、俺のクラスに転校してきた……」
「ああ!麗奈ちゃんね!!さっき他の女子と歩いてるのを見たけど?」
情報早!!いや、それより他の女子と歩いてたってどういうことだ?今日一日俺以外の人とは話してないはず……
どこかの推理小説のように、謎が解けていく。そして、ある結論に達した時、
「まずい!!!」
と、自慢の足の速さで猛スピードで走る。
実は大樹のクラスでは教師が知らない裏があった。いわゆる
「いじめっ子」
達によるいじめだった。
男子は至って平和なのだが、女子の方は、そのいじめっ子によって泥沼と化してした。
「あいつらにきっと…くそっ!!」
存在を知りながらも、なぜ注意してやらなかった!!と、自分で自分を責める。
そうしてるうちに、案の定いじめっ子に囲まれた麗奈を見つける。
「なぁんかむかつくんだよねぇ〜その感じぃ〜。大樹君といちゃついちゃってさ〜」
「やっちまいましょうよ!!こいつっ」
「や、やめて下さい……」
「止めると思ってるのかぁ〜?ばぁ〜か」
言葉で責め続けるいじめっ子達。麗奈は今にも泣き出しそうだ。
我慢しきれなくなった大樹は、
「おいっ、そこで何をしてるんだっ!!!」
思いっきり先生の声に似せて叫ぶ。
「ヤバイっ、先公だっ」
ぱたぱたと逃げ出す不良達。すかさず座りこんでいる麗奈に駆け寄る。
「おいっ、大丈夫かっ!何かされてないか?」
「は、はひ!大丈夫です……大樹さんっ!?怖かったですぅ〜」
半べそかいて抱きつかれて思わず赤くなる。
「ばっ馬鹿!一人になるからこういう事になるんだよ!!もう離れるなよっ」
言葉の意味を深く考えない大樹は、今発した言葉が何を意味するのか、全く知るよしもなかった。
そして、物影からこちらを伺っている存在にも……………