夢、あるいは過去
夢を見た。
広い荒地。やけにごつごつとした荒れた大地の向こう側に、どす黒い雲で覆われた都が見える。地獄かと見紛うほどの不吉さだった。
黒い雲はどこまでも広がりつつある。荒地はすでに抱き込まれていた。
その中に、男が四人いた。
冷たい印象の侍みたいな男と、優美な感じの少年と、倒れている坊主のような男と、それを抱きかかえる男。
立っている二人の侍と少年は、悲しげに座り込んでいる男を見つめていた。
倒れている坊主の顔にはすでに生気はなく、ぐったりと動かない。坊主を抱きかかえ、必死に名前を呼んでいる男は、泣いていた。
坊主の名を叫びながら泣いていた。
龍風、と。
知らず、俺自身も泣いていた。
「どうしてだよっ! 死ぬなよ、死ぬなっ! こんなとこで死ぬなよ! なあ、龍風、龍風ォ!」
後ろの二人も沈痛な顔で下を向いていた。少年も唇を噛んで泣いている。
「俺の、俺のせいで・・・こんな・・・」
と、生気のなかったはずの坊主の手がぴくりと動いた。
「龍風・・・?」
瞼があがり、薄い色の瞳が男を見つめた。
そして、笑った。
「泣くなよ・・・・虎舜。なさけねぇ・・・」
「龍風!」
「俺たちが・・・死ぬのは、普通だ・・・なんで泣く・・・」
「だって、俺の、俺のせいでっ!」
「違う・・・天命だ・・・」
笑ったまま、今度は二人を見上げた。
「玄清・・・雀景・・・」
「龍風・・・」
二人が同時に悲しげに呟いた。
「・・・虎舜・・・」
くす、と声を漏らした。
「また、どっかで、会おうな。」
ぷつり、と音がしたかのように、坊主の瞼は重く落とされた。
「龍風! やだよ、目を開けろよ! 龍風ォ!」
ぶわっ!
坊主の命が完全に途絶えた刹那、凄まじい風が沸き起こった。
その風は辺りを強く揺らしながら、空へとあがっていった。
そこで目が覚めた。
夢だったと理解するまで、かなり時間がかかった。信じられないくらいにリアルな夢だった。
息をついて手を頬に当てると、涙が流れていることに気がついた。
あの虎舜と呼ばれた男の感情がそのまま入ってくるのを感じた。涙が止まらない。
こんな夢を見たのも、吉川が言った言葉が心に強く残っていたからなのだろうか。
それとも・・・?
「んなわけ、ねえよな。」
追い払うように頭を振り、ベッドから身体を起こした。




