表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24

再び、会う

 ぎちぎちとぎこちない動きをしながら、橋姫が背後を振り返った。

 三人の目線も橋姫の背後へと動く。

 その視線に気づいているのかいないのか、二人の足音が止む気配はなかった。

「誰、ぞ?」

低く低く、おぞましい声で、橋姫は問うた。

 足音はもうすぐそこまで来ていた。煙々羅の霧が少しずつ人影を写し始める。

 一人は背の高い男のシルエット。

 もう一人はさほど高くない、しかし同じく男のようだ。

 橋姫が首をぎしりと動かし、袖を振った。

 その瞬間、霧がふわりと晴れた。

 そこにいたのは。

「嘘、だろ。」

龍風が驚いて呟く。そのせいで刀が霧散した。

「なんで、ここに・・・」

雀景も唖然として口を開けていた。

 唯一、虎瞬だけがにこりと笑顔だ。

「無理聞いてくれてありがとう。玄清。」

背の高い男、玄清がむすっとして答えた。

「本当に無理な話だったな。」

「でも、そのお陰でこうして来て頂けた。感謝するよ。」

ちらりと玄清の隣の人間を見て、深々と頭を下げた。

「今宵は現世に起こし頂き、恐悦至極に御座います。藤原済時様。」

そこにいたのは、光洋であった。

 だがその顔はまったくの別人の顔。悲しみを湛えた、優しげな表情を浮かべ、こくりと頷いた。

 その目は、無惨に変化した橋姫を見つめながら。

 一歩前に出た光洋、いや、済時を、玄清が制した。

「済時様。あまり前へ出られては危のう御座います。」

やんわりと首を振る。その仕草はとても優美で、いかにも雅な貴族の感じがした。

「・・・よいのだ。」

顔を歪め、一筋の涙を流しながら橋姫を見つめていた。

「徳子殿・・・」

その声に、橋姫がぶるりと震えた。

 橋姫に変化が生じた。

 崩れかけていた顔からびちゃびちゃとどす黒い肉塊が落ちた。そこから覗いたのは、先ほどまであった美しい橋姫の顔。

 長くぬめっていた髪の毛がずるりと落ち、そこから再び美しい艶やかな黒髪が揺れていた。同時に、角もぽろりと落ちた。

 まるで生まれ変わったように、美しい橋姫がそこに立っていた。

 その目は今までにない、優しい光が灯っていた。

 もう一度ぶるりと体を震わせ、その目から涙を流した。

「済、時・・・様・・・?」

済時は深い悲哀の色を浮かべ、しかし、驚くほど優しく微笑んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ