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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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約束の破片

今回の章では、影がついに人ならざる存在として姿を現し、戦士がそれに立ち向かう場面を描きました。

仲間たちの声が影に混じって響くという描写は、「絶望の中でも背負うものがある」という戦士の覚悟を際立たせるために入れています。

光と闇が交錯する瞬間は、ほんのわずかな希望の象徴でもあり、同時にその儚さを示しています。

崩れ落ちた楼閣の残骸を踏み越えながら、タクマは足を止めた

胸の奥に残るのは、かつて交わした約束の断片だけ

「最後まで共に生き抜く」

そう誓い合ったはずの仲間の顔が、炎の残光に浮かんでは消えていく


だが、今は敵として立ちはだかっている

刃を交わし、血を流し、互いの命を奪い合う

それが現実となった


「タクマ」

名を呼ぶ声は、憎しみではなく痛みに満ちていた

振り返れば、剣を構えたかつての戦友がそこにいる

その瞳に揺れるのは涙か、それとも決意か


「お前を斬らねば、俺たちは進めない」


タクマは剣を握りしめた

背後には、守るべき者たちがいる

前には、かつて守り合った仲間がいる


約束は砕け、信頼は血に染まった

それでも彼は選ばねばならない

剣を振るうのか、それとも――


夜風が炎を煽り、灰とともに誓いの破片を空に散らした


冷え切った夜が続いていた

空に星はなく、風は大地を削るように吹き荒れる


誰かが声をあげようとしたが、その声は喉で途切れた

沈黙は重く、息をするたびに胸を締め付ける


足元に広がるのは、乾いた灰だけ

そこに埋もれた過去を掘り起こす術もなく

ただ立ち尽くすしかない


遠くで、崩れた塔の残骸が音を立てた

それはまるで、最後の警鐘のようだった


「……まだ、終わっていない」


誰ともなく洩れたその言葉に

かすかな視線が集まった

しかし答えはない

ただ、闇が濃くなるばかりだった


夜明けは訪れなかった

東の空は永遠に閉ざされ、黒い雲が地平を覆っていた


人々は歩くことをやめ、ただ膝をつき、灰の大地に沈み込む

その瞳には光がなく、ただ揺れる影だけが映っていた


どこからか、鈍い鼓動のような響きが地を伝った

それは心臓の音か、それとも世界そのものの断末魔か


「聞こえるか……」

誰かが囁いた

その声に応える者はなく

ただ大地の震えだけが続いていた


大地の裂け目から、赤い光が滲み出した

それは炎ではなく、血のように重く、鈍く揺らめいている


裂け目は広がり、灰に覆われた世界を二つに裂いていく

足元が崩れ、誰かが悲鳴をあげて落ちていった

しかし助けを求める声は、すぐに闇に呑まれた


風が止み、代わりに耳を裂く沈黙が訪れる

やがて、その光の奥から――

巨大な影が、ゆっくりと姿を現した


裂け目からあふれ出したのは光ではなく、闇そのものだった

黒い奔流は夜空を塗り潰し、星なき空をさらに深く沈めていく


戦士の足元で大地が砕け、赤熱した亀裂が走った

熱と冷気が同時に吹き上がり、皮膚を焼き、肺を凍らせる


影は言葉を持たず、ただ存在するだけで全てを侵食していった

声も、祈りも、剣さえも無力であることを告げるように


それでも戦士は剣を掲げた

揺らぐ刃に映ったのは、崩れゆく世界と、なお抗おうとする自らの姿だった


影はさらに巨大化し、夜空と地平の境を呑み込んでいった

もはや人の形を留めず、幾千の口が開き、呻きとも嘲笑ともつかぬ声が木霊する


戦士は耳を塞がなかった

その声の中に、確かに仲間たちの断末魔や、失われた者たちの名が混じっていたからだ

それは彼を縛る鎖であり、同時に立たせる杭でもあった


一歩踏み出す

大地は割れ、闇が足を飲み込もうとする

それでも剣を振り上げ、影の中心へと突き出した


一瞬、闇が裂け、眩い閃光が走った

その光は夜を切り裂くかのように広がり――だがすぐに、再び闇が覆い尽くした



戦士の一太刀は、果たして意味を持ったのか、それとも闇に呑まれたのか。

物語は佳境に向かっていますが、彼が抱える「後悔」と「希望」がどう交わるのかが次の展開の鍵となります。

次回は、その一撃がもたらした結果と、さらに深まる闇の正体に迫っていく予定です。


次も、緊張感を保ちながら続きを描いていきます。

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