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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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異世界魔王の本格侵攻 ―

前回のお話は?

異世界魔王の本格侵攻 ― 王都総力戦


宰相ルデリックを討った直後、王都全域を震撼させる大地鳴動が響き渡った。

鐘の音が鳴り止まぬまま、空は赤黒い裂け目に覆われ、雷鳴のような異界の咆哮が轟いた。


「……来るぞ」

アレンは震える大地の上で剣を握りしめ、呟いた。


裂け目から、黒き軍勢が雪崩れ込む。

異形の魔獣、獣の骨を纏った戦士、燃え盛る炎を纏った騎士――異世界魔王直属の精鋭軍団だ。

彼らは整然とした軍列を組み、王都を完全包囲しつつあった。



「殿下! 南門が突破されます!」

「東の城壁も持ちません!」


次々と報告が届く。

王都の兵士たちは必死に防戦するも、異世界の兵力は質も量も圧倒的だった。


「全軍に告ぐ!」

アレンの声が、魔力を通じて響き渡る。

「これは王国の存亡を賭けた戦だ! 誰一人退くことを許さぬ! 我らが民のため、この地を守り抜け!」


兵士たちの目に、炎が灯った。

彼らは王子の覚悟を受け止め、再び剣を構えた。



最前線。

魔法師団が炎と氷を放ち、弓兵が矢の雨を降らせる。

王子部隊――カイネル、セリス、そしてステイシアが率いる騎士団――が前線を突破し、敵の指揮官を次々と討ち倒していった。


「殿下、背後を!」

セリスの叫びと同時に、巨大な魔獣の爪がアレンに迫る。

振り返る間もなく、光の剣がその腕を切り裂いた。


「殿下は私が守ります!」

ステイシアが盾を構え、血を吐きながらも立ちはだかった。


「ステイシア……!」

アレンは彼女の背を見つめ、拳を強く握った。



戦いは熾烈を極めた。

だが、それはまだ序章に過ぎなかった。


赤黒い裂け目から、漆黒の影が姿を現す。

無数の翼を持ち、眼だけで兵を屠る存在。


「……ようやく顔を出したか」

アレンは唇を噛む。


異世界魔王。

幾度ものループの果てに、ついに真正面から相まみえる時が来たのだ。


「王子よ。幾度夢を繰り返そうと、結末は同じ。お前は敗れる」

その声は、空気を震わせ、兵たちの心を砕くほどの威圧を持っていた。


アレンは剣を掲げ、叫ぶ。

「いや――俺はこの国を、未来を、仲間を……必ず守り抜く!」


雷鳴と共に、王子と魔王の最終決戦が始まった。


冷たい契約


祭壇にひびきが立っていた。

黒衣をまとった彼女の瞳には、かつての温かさは微塵もない。代わりに、氷の刃のような冷ややかな光が宿っていた。


「リュウ。お前はまだ、私を取り戻せるとでも思っているのか?」


リュウは返答できなかった。胸の奥が、押し潰されるように痛んだからだ。

エリカが前に出る。


「ひびき! あなたは《闇の盟約》に囚われているだけ。本当のあなたは――」


しかし、ひびきは小さく笑った。

その笑みは、まるで世界を拒絶するように冷酷だった。


「盟約? 違うわ。私は選んだのよ、自分で」

「ひびき……」


彼女の手が宙に舞うと、祭壇全体が震え、闇の紋章が浮かび上がった。

バンが息を呑む。


「こいつ……完全に《暗黒の契約》と同化してやがる」


契約の力を纏ったひびきの周囲に、黒炎の鳥が飛び交った。翼の一振りで石柱が砕け、重苦しい響きが広間を満たす。


「リュウ。お前と戦うのは、これで最後だ」


その声音には、涙に似た揺らぎが一瞬だけ混じっていた。

リュウはそれを見逃さなかった。


「……最後じゃない! 俺は必ず、お前を取り戻す!」


叫ぶ彼の手に、《始源卵》から生まれた光の刃が再び灯る。

仲間たちは、震える足を押さえながら彼の背を守るように立ち並んだ。


冷たい契約の闇と、ひとすじの希望の光が、ついに正面から激突しようとしていた――。


決戦の調理台


轟音とともに広間の床が割れ、巨大な調理台がせり上がった。

石に刻まれた魔法陣が輝き、まるで「ここで決着をつけよ」と告げているかのようだった。


「料理で……決着を?」

エリカが目を見開く。


ひびきは静かに頷いた。

「そう。契約の掟。命を奪う代わりに、魂を懸けて料理で争う――勝者はすべてを手にし、敗者は存在を失う」


リュウの胸が締めつけられた。

「存在を……失う?」


バンが小声で言う。

「つまり、負けたら消えるってことだな。肉体も記憶も、ぜんぶ」


リュウの手が震えた。

ひびきを救いたい、その想いだけでここまで来た。だが――彼女を倒せば、彼女は消えてしまう。

救いと滅びが、一本の糸の上に並んで揺れている。


「リュウ」

ひびきが彼を見つめる。その声は冷たいが、わずかに震えていた。

「迷うな。さあ、食材を取れ」


祭壇の光が、彼らの前に二つの食材を投げ出した。

ひとつは《闇の心臓果》。

もうひとつは《星の涙晶》。


ひびきはためらわず闇の果実を掴む。黒い汁が彼女の指先を汚し、契約の紋章が輝きを増した。


リュウの目の前に残されたのは、澄み切った蒼光を放つ《星の涙晶》――ひびきを救える唯一の光。


「……勝ってみせる。お前を、取り戻すために!」


リュウは結晶を胸に抱き、調理台に立った。

闇と光の料理対決――ひびきとの最終決戦が始まろうとしていた。


闇と光、料理対決の幕開け


調理台の上に立つ二人を、祭壇の周囲に集まった幻影の観客たちが見下ろしていた。

それは王都の人々の「祈りの残響」であり、同時に契約を見届けるための神々の眼差しでもあった。


「……始めよ」

時の神の声が轟くと、空間に鐘の音が響き渡り、対決の幕が上がった。



ひびきの前に広がるのは黒き果実《闇の心臓果》。

切り裂くたびに血のような果汁が滴り、空気さえ淀ませる。

彼女は素早く調理器具を並べると、黒炎を呼び出し、果実を焼き始めた。


「闇は力。喰らう者の魂を焼き尽くし、新たな器を与える……」

ひびきの唇から零れ落ちた言葉は、もはや彼女自身のものではなく、契約に縛られた呪詛のように響いていた。


リュウは深く息を吸う。

目の前の食材は《星の涙晶》――冷たい光を放つ結晶体であり、触れるだけで心の奥底に眠る「優しさ」を呼び覚ます不思議な力を宿していた。


「……大丈夫だ。俺は迷わない」

震える指を抑え、包丁を構える。

結晶は硬く、普通の刃では割れもしない。

だが、リュウは魔力を刃に流し込み、ゆっくりとひびきを見つめながら切り込みを入れた。


カラン――。

結晶は静かに割れ、その中から透明な雫が滴り落ちる。


「これが……星の涙……」


それはまるでひびきの心が流した涙のようで、リュウは胸が締めつけられた。



料理の匂いが混じり合う。

ひびきの闇の料理は濃厚で甘美だが、同時に毒のように重く、周囲の空気を黒く染める。

リュウの料理は清らかで爽やかだが、その光はまだ弱く、闇に押し潰されそうだった。


「リュウ……お前では私に勝てない」

ひびきは低く囁く。

その目には涙の影が揺れていたが、すぐに黒炎に覆われてしまう。


リュウは包丁を握りしめ、叫ぶ。

「勝つ! たとえ消えようとも、お前を取り戻すまで俺はあきらめない!」


その言葉と同時に、《星の涙晶》がさらに光を放ち、調理台全体を包み込んだ。

光と闇が渦を巻き、料理勝負はもはや「魂の決戦」へと変貌していった――。


魂を賭けた試食


渦巻く光と闇の中、観客の幻影たちは息を呑み、誰も声を出せなかった。

ひびきの闇の果実は、まるで夜そのものを凝縮したかのように妖しく輝き、食べた者の心を重く締め付ける。

一方、リュウの《星の涙晶》を使った料理は、淡く清らかな光を放ち、優しさと温もりを同時に伝えていた。


時の神が静かに歩み出る。

「さあ……食すのだ」


まずは、ひびきの料理が供された。

一口食べた者は、身体中の血が凍るような感覚に襲われ、心の奥底に潜む暗黒が暴れ出す。

しかし、リュウはその目を逸らさず、ひびきをまっすぐに見つめた。


「……まだ終わらない」

その決意は、料理の闇を押し返す力となり、まるで闇の炎が光に変わる瞬間のように、周囲に微かな温もりが広がった。


次に、リュウの料理が差し出される。

口にした者たちは、心に眠る痛みや悲しみを一つずつ思い出しながら、それを受け入れ、許すことができた。

そして、ひびきの瞳にも、長い間閉ざされていた感情の扉が少しずつ開かれていく。


「……リュウ……」

ひびきは震える手で黒炎を押しやり、涙を零す。

その涙は光となり、闇の果実の毒を浄化していく。

光と闇が溶け合い、料理勝負はただの戦いではなく、二人の心の対話へと変貌した。


リュウは深く息をつき、包丁を置く。

「勝ちたいんじゃない……守りたいんだ、ひびき」


闇に閉ざされていたひびきの心は、ついに光に満たされ、二人の間に静かな和解と信頼が生まれた。

その瞬間、料理勝負は終わり、観客の幻影たちは満足げに消えていった。


光と闇の狭間で、二人の絆は、以前よりも深く、確かなものとなった。

しかし、この平穏が長く続くかどうかは、まだ誰にもわからなかった――。


異世界からの黒い影


料理勝負で互いの絆を確認したリュウとひびき。しかし、その夜、空は赤く染まり、風は異様なざわめきを帯びていた。

街の外れ、古い森の中から、異世界の裂け目が開く。そこから漆黒の影が地面を這い、闇を纏った魔獣たちが次々と現れた。


「……来たな」リュウは剣を握り、ひびきは短剣と魔法の呪文を同時に展開する。

二人の周囲には、まだ慣れぬ異世界の魔力が渦巻き、呼吸するだけで体力を削っていくようだった。


最初に襲いかかってきたのは、三本の触手を持つ闇の魔獣。触手は異様な速さで振るわれ、森の木々を容易くなぎ倒す。

リュウは体を低くして斬撃をかわし、ひびきの放つ光の魔法が触手を焼き払う。だが、それはまだ序章に過ぎなかった。


「次々と増えてくる……!」ひびきが息を荒くする。

黒い影は森の奥から無数に現れ、まるで森全体が生きているかのように蠢く。

リュウは剣を高く掲げ、地面を叩くと、魔力が空間を震わせ、触れた魔獣を弾き飛ばす。


「油断するな、ひびき!」

二人は背中合わせになり、異世界の魔獣群に立ち向かう。

闇と光の魔法、剣と短剣が交錯し、森は火と煙に包まれる。


しかし、その中で最も恐ろしい存在――黒影の大魔獣が姿を現す。

全身が闇に覆われ、目は赤く光る。大地を踏みしめるたび、振動が街にまで伝わり、周囲の魔獣たちがそれに従い集まる。


「……こいつを倒さなきゃ終わらない」リュウは決意を固め、ひびきと共に全力で立ち向かう。

剣に宿る光と魔法の呪文が交差し、大魔獣の黒い影に切り込みを入れる。だが、その皮膚は硬く、攻撃はほとんど通じない。


「……どうする?」ひびきの声も緊張に震える。

リュウは唇を噛みしめ、心の奥に前世の記憶と勇気を呼び起こす。

「俺たちなら……きっと……」


二人の魔力が共鳴し、光と闇がぶつかり合う中、森は大爆発のように揺れる。

異世界の影は、まだ倒しきれない。しかし、二人の連携と信頼は、今までにない強さを生み出していた。


この戦いの果てに、異世界の脅威を止める鍵が隠されていることを、まだ誰も知らなかった――。


異世界大魔獣との死闘


夜空を裂くように、黒影の大魔獣が吼えた。

その咆哮は森の木々を倒し、地面を揺るがせ、空気そのものを振動させる。


リュウは剣を両手で握り締め、ひびきは魔法陣を描きながら闇の魔獣に挑む。

「ひびき、俺たち……最後まで諦めるな!」

「ええ、リュウ! 二人で絶対に――!」


大魔獣の触手が闇の渦を巻き、二人を押し潰そうと迫る。

リュウは剣を振るい、触手の先端を切り裂く。ひびきの魔法は光の弾として飛び、触手を焼き尽くす。


だが、大魔獣の本体は動じず、体をひねり地面を叩きつける。その衝撃波で森は裂け、周囲の魔獣たちが吹き飛ぶ。

「うわっ!」ひびきがバランスを崩しながらも、剣と魔法を連携させて防御する。


「この力……前世の記憶が……!」リュウは剣に宿る光を解放する。

剣が発光すると、前世の戦闘経験が一気に体内を駆け巡り、動きが研ぎ澄まされる。

リュウは触手をかわしながら大魔獣の弱点を見極め、ひびきの光魔法と連携して狙いを定める。


「今だ、ひびき!」

二人の魔力と剣の力が一点に集まる。

光と闇がぶつかり合い、森全体が閃光に包まれた。


衝撃の後、静寂が訪れる。

大魔獣の体は砕け、闇の魔獣たちも混乱して逃げ惑う。

リュウとひびきは息を切らしながらも、互いの顔を見て微笑む。

「……やったな」

「ええ、やっと……一息つけるわね」


しかし空にはまだ裂け目が開き、異世界の力は完全には消えていなかった。

リュウは剣を握り直し、ひびきと共に次なる戦いに備える。

「これで終わりじゃない……でも、俺たちならきっと守れる」


二人の絆は、戦いを通じてさらに深まった。

異世界からの脅威はまだ残るが、リュウとひびきはどんな絶望にも立ち向かう覚悟を決めていた。

次回も楽しみに

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