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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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許嫁編 ―

前回のお話は?

― 絆を守るための決断


城の夜会。

煌びやかなシャンデリアが輝く大広間で、王子アレンは許嫁セリスとともに招待客を迎えていた。二人は幼い頃から婚約を結ばれていたが、その絆は義務ではなく、互いの深い信頼と愛情に支えられてきた。


だが、この夜の陰に潜む影を、彼らはまだ知らない。


――スパイ活動の延長線上で、異世界魔法師団はついに王国の最も神聖な空間へと触手を伸ばし始めていた。

舞踏の最中、アレンは違和感を覚える。王族の警護に混じって、一人の騎士がぎこちなく礼をしている。細かな所作は完璧に見えるが、目だけが冷たく、周囲を観察する猛禽のように動いていた。


(……あれは、ただの騎士じゃない)


アレンはセリスの手をそっと握り、耳元にささやいた。

「今から何が起きても、驚かないで。必ず守る」


セリスは瞬時に彼の真剣さを悟り、小さくうなずく。その瞳には恐怖よりも、アレンを信じる強さがあった。


舞踏が終わり、乾杯の声が響いた瞬間――騎士の影が魔力の刃を解き放った。

だが、その刃はセリスを貫くことなく、アレンの掌に展開された黄金の障壁に阻まれる。


「王家の血を絶やせば、この国は終わる……そう考えているのか」

アレンの声は鋭く、だが怒りに震えていた。


刺客は一瞬たじろぎ、それでも暗黒魔法を操りながら囁く。

「許嫁など、弱みでしかない。守りたい者がいる限り、お前は必ず隙を晒す」


言葉の刃を受けても、アレンは迷わなかった。

「だからこそ――俺は強くなる。守りたい者がいるから、何度でも立ち上がるんだ!」


彼の宣言に応えるように、セリスは背後から小さな短剣を抜き、刺客の動きを牽制する。か弱い令嬢の姿ではなく、未来の王妃としての覚悟を示して。


二人の連携のもと、刺客は瞬く間に追い詰められた。

だが、最後の瞬間に吐き捨てられた言葉が、夜会の余韻を暗くする。


「……お前たちの愛は、美しい。だからこそ……壊す価値がある」


不気味な笑みを残し、刺客は自らの命を絶ち、真実を闇に封じて消えた。



その後、夜会は急遽中止となり、王城全体が厳戒態勢に包まれた。

アレンとセリスは静かな部屋に移され、護衛に囲まれながら互いの手を強く握り合う。


「……私のせいで危険に巻き込んでしまったのね」

セリスの声は震えていたが、瞳には涙よりも怒りが宿っていた。


アレンは首を振り、真剣に答える。

「違う。君がいるから、俺は絶対に負けない。君がいるから、俺はこの国を背負えるんだ」


その言葉は、誓いであり、未来への宣告でもあった。

許嫁という枠を超えた二人の絆は、王国再建の大きな柱となり、敵の狙いを跳ね返す力となってゆく。


――彼らの戦いはまだ続く。

だが、この夜、愛を守り抜いた決断こそが「王国の新時代」への礎となるのだった。


― セリス視点:揺れる心と覚悟


夜会の灯りが揺れる。

王城の大広間は人々の笑顔と音楽に満ちているはずだった。けれども、セリスの胸の奥は、ずっと冷たい影に覆われていた。


(……私は、ただの「許嫁」にすぎないのだろうか)


幼い頃から決められていた婚約。王国を守るための血筋と立場。

彼女自身が望んで選んだわけではない未来。だが、それでも――隣に立つアレンの姿を見ていると、胸の奥に芽生える温かなものを否定できなくなっていた。


「セリス、踊ろうか」

アレンが差し伸べた手。その手を取った瞬間、彼女の心臓は早鐘のように鳴り始める。


舞踏の旋律の中、セリスは小さな声で問う。

「……アレン様、本当に私でいいのですか? 私がいることで、あなたが狙われてしまうのに」


彼は微笑んで答えた。

「君だからいいんだ。君がいなければ、俺はとっくに折れている」


その言葉に胸が熱くなった――だが、その直後、悲劇は始まる。



刺客の刃が向けられた瞬間、セリスは何も考えずにアレンの前へ飛び出そうとした。だが逆に、アレンが先に彼女を庇い、黄金の障壁でその刃を弾いた。


(どうして……どうしていつも、私が守られる側なの?)


無力でいることが、こんなにも悔しいと知ったのは初めてだった。

ドレスの裾を翻し、彼女は袖に隠していた短剣を抜いた。王妃教育の一環として護身術を叩き込まれていたが、実戦で使う日が来るとは思わなかった。


「……アレン様に、指一本触れさせない!」


声が震えても、目は逸らさなかった。

敵の目が驚きに見開かれる。その隙をアレンが逃さず、一撃で刺客を封じる。



戦いが終わり、静寂が訪れた部屋で、セリスはようやく心の奥を吐き出した。

「私……ただ守られるだけの存在では嫌です。アレン様と並び立つ、未来の王妃として……この国を共に背負いたい」


アレンは彼女の手を取り、力強く握り返す。

「その覚悟があるなら、もう君は弱くなんかない。……俺と一緒に、進んでくれ」


セリスの瞳に涙があふれる。それは恐怖の涙ではなく、決意の証だった。


(私はただの許嫁ではない。アレンと共に歩む未来を、自ら選んだのだ)


その夜、セリスは「王妃」として生きる覚悟を決めた。

彼女の心の変化は、この先の戦乱でアレンを支える最も大きな支柱となってゆく――。

次回も楽しみに

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