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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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前世編 ―

前世編 ― 誕生しなかった世界の影


王子は静かに目を閉じた。

瞬間、視界は光に包まれ、まるで別の時空に引き込まれるようだった。そこに広がるのは――自分が存在しなかった世界。


大地は荒れ果て、街の瓦礫は風に舞い、人々の顔は恐怖と絶望で歪んでいた。

王城は崩れかけ、異世界の侵略者の旗が掲げられている。


「……これは……」

王子は震える声でつぶやく。胸に突き刺さるのは、前世の記憶。

倒すべき相手を間違え、孤独のあまり道を誤ったあの日々。

そのすべてが、今この光景に繋がっていたのだ。


民衆は助けを求める目を王子のいない空に向ける。

英雄も勇者も存在せず、ただ魔獣や異世界の軍勢が支配する。

森は魔獣の咆哮に満ち、地平線の向こうでは火柱が上がる。


王子の心に、恐怖と罪悪感が押し寄せる。

「もし、あの時……俺が違う選択をしていたら……いや、俺が生まれなかったら、すべてはこうなっていたのか」


しかし、光の中で時の神の姿が現れる。

銀色の髪と瞳は変わらず静かで、王子を見つめる。


「王子よ、君は本来生まれるべきではなかった。それでも、君はここにいる」

神の声は深く、柔らかく、しかし確かに胸に届いた。

「偶然に生まれた君の存在こそ、この世界を変える可能性の根源なのだ」


王子は光の中で前世の戦友たちを思い出す。

孤独の中で倒していった者たち、背負った罪、そして失った絆。

そのすべてが、今の自分に力を与えると知る。


「俺は……俺の存在が、この世界を救う鍵なんだな」

剣を握る手に力がみなぎる。胸に渦巻く恐怖と後悔も、決意へと変わる。


王子は前世の戦場に立つ自分を思い浮かべる。

孤独だったあの時、仲間を失い、道を誤り、すべてが破滅に向かっていた。

だが今は違う。偶然に生まれた存在として、全ての後悔を背負い、世界を救う道を歩むのだ。


光が消え、王子は荒廃した王都の瓦礫の上に立つ。

周囲の風は冷たく、かつての栄光は影も形もない。

しかし、王子の瞳には恐怖はなく、決意の炎が燃えていた。


「前世の孤独も、存在の偶然も、すべて今の俺の力になる」

剣の刃が微かに光を反射し、地面の砂利が震える。

「俺は戦う。生まれた偶然を、使命に変えてみせる」


王子の歩みは、荒廃した街を進むごとに確かな力を帯びていく。

前世の敵や魔獣、異世界勢力――すべてが待ち受ける未来でも、恐れるものはない。

孤独を知り、存在の不確かさを知った者だからこそ、王子は揺るがない。


遠くで魔獣の咆哮が響く。

城門は裂け、影のような異世界の軍勢が押し寄せる。

しかし王子はただ剣を握り、前だけを見つめる。


「この世界を救うため、俺は歩む」

その声は風に乗り、瓦礫を蹴散らす。

前世の過ちも、偶然も、孤独もすべて糧となり、王子の存在は希望となった。


王子は進む。

荒廃の街を抜け、魔獣の森を突き抜け、破滅の淵を越えて――

すべては、王子の新たな戦いの始まりであった。


― 王都決戦と復活の力


瓦礫の山を越え、王子は王都の中心部へと歩みを進める。

かつて賑わった市場も、今は無数の魔獣の足跡と血で覆われ、静寂と死臭が支配していた。


「……ここまでか」

王子の言葉に、自分自身を奮い立たせる力が宿る。剣の柄を握る手に汗はなく、冷静さの中に熱い決意が燃えていた。


闇の中、影が揺れる。魔獣か、異世界の侵略者か。

王子の目には、前世の記憶が一瞬よぎる――あの孤独の戦場、失った仲間たち、倒し切れなかった敵。

その記憶が、今の力となり、王子の体を震わせる。


「来い」

力強く呟き、王子は剣を構える。


闇が裂け、魔獣の群れが現れる。

巨大な体、爬虫類の鱗、鋭い爪と牙。異世界の兵士たちも混ざり、王子に迫る。

しかし王子は動じない。前世で鍛え上げた経験と、今の決意が彼を支える。


最初の一撃が飛ぶ。

鋭い刃が魔獣の鎧を切り裂き、血が舞う。

次々に魔獣が襲いかかるが、王子は一人で立ち向かい、戦いの渦を切り裂く。


「まだまだ……!」

前世の敵の顔が浮かぶ。倒しきれなかったあの者たち――今、王子の力で清算する時が来たのだ。


魔獣が吹き荒れる炎と共に襲いかかる。王子は剣を掲げ、闇を斬り裂き、炎を受け止める。

体中に痛みが走るが、王子の目は揺らがない。前世で味わった孤独と絶望が、今は力の源となっている。


戦場の中心で、王子は一瞬立ち止まる。

目の前に、前世の記憶を宿す影――かつての強敵が現れたのだ。

その姿は以前よりも巨大で、異形の力をまとっている。


「……前世の敵……」

王子の心に恐怖がよぎる。しかし、それ以上に覚悟と力が溢れる。


剣を握り直し、王子は叫ぶ。

「俺は、必ずこの世界を守る!」


影との戦いが始まる。

剣がぶつかり、炎と魔力が交錯し、瓦礫が砕け散る。

王子は前世の記憶と今の力を融合させ、一撃一撃を確実に敵に叩き込む。


戦いの果てに、影が消える。

しかし王子は倒れず、剣を掲げたまま立つ。荒廃した王都の空に、希望の光が微かに差し込む。


「これが……俺の力、俺の存在の証……」

王子は静かに息を整え、次の戦いに備える。


前世の記憶を力に変え、王子は孤独でも、前に進む。

王都に残された者たちの未来を、この手で切り開くために――。


― 王都再起と仲間の絆


王都の荒廃した中心部で、王子は立ち尽くしていた。

戦いの傷は深く、体中に痛みが走る。瓦礫の隙間から微かな風が吹き込み、焦げた煙と埃を運ぶ。だが、王子の目には光が宿っていた。前世の敵を打ち破った達成感だけではなく、まだ戦いは終わっていないという確信があった。


「……ここで終わるわけにはいかない」

王子は低く呟き、剣を肩にかけた。

荒廃した街の中、微かに動く影が見える。小さな足音、かすかな息遣い。

それは生き残った者たちだった。王子の前世の記憶にあった孤独ではない、仲間たちの気配。


「王子さま……」

かすれた声が呼びかける。

そこに立っていたのは、前世で王子を助けた少女と青年。彼らは疲弊していたが、目には決意が宿っていた。


王子は深く息を吸い、仲間たちに手を差し伸べる。

「共に戦おう。俺たちはまだ、この王都を取り戻せる」


その言葉に仲間たちの表情が変わる。恐怖と絶望を経て、希望の光が微かに戻ってきたのだ。

王子と仲間たちは瓦礫の間を縫い、王都の外れにある地下神殿へと向かう。そこには、異世界の侵略者が潜伏しているという情報があった。


地下神殿に到着すると、空間は異様な光に包まれていた。壁に刻まれた魔法陣が微かに光を放ち、異世界の魔力が渦巻く。

王子は剣を握り、仲間たちに指示を出す。

「散開しろ。罠には気をつける」


その時、天井の裂け目から巨大な魔獣が飛び出す。

爬虫類のような鱗、複数の頭、火を吐く口。前世で王子が倒した敵の能力の一部を思わせる異形の魔獣だ。


「これが……異世界の侵略者の尖兵か」

王子は剣を振るい、魔獣の前に立ちはだかる。仲間たちはそれぞれ魔法や弓、槍を用いて戦線を支える。


戦いは熾烈を極めた。

魔獣の攻撃は鋭く、仲間たちの防御も完全ではない。しかし王子の指揮と覚醒した力により、徐々に戦況が変わっていく。

剣の一閃で魔獣の鱗を裂き、仲間の魔法で動きを封じる。互いに連携し、前世での孤独を知る王子もまた、仲間の存在で力を増していった。


戦闘の最中、王子は思い出す。前世で一人きりで戦った時の絶望。あの時の恐怖と孤独は、今の仲間たちとの絆によって初めて力に変わる。

「俺たちは、共に戦う」

心の中で強く誓い、王子は最後の一撃を放つ。魔獣は轟音と共に崩れ落ち、地下神殿の静寂が戻る。


戦いの後、仲間たちは王子の周りに集まり、互いの無事を確認する。

「王子さま……本当に、あなたがいてくれてよかった」

少女の目には涙が光る。


王子は微笑み、疲れた体を支えながら答える。

「まだ戦いは続く。だが、俺たちは共に立ち上がれる」


その瞬間、王子と仲間たちの間に固い絆が生まれた。

前世の孤独、失った者たちの記憶、それらすべてが力に変わり、王子と仲間たちは新たな王都奪還の道を歩き始めるのだった。

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