王国再建編 ―
王国再建編
王国再建編 ― 第四章:陰謀の芽吹き
王都の復興は着実に進んでいた。崩れた城壁には石工たちが昼夜を問わず槌を振るい、焼け落ちた街区には新しい木組みの家々が立ち並びはじめていた。市場には徐々に人々が戻り、かつての賑わいを取り戻そうとしている。
しかし、その裏側では静かに陰謀が芽吹いていた。
宰相代行を務めるエリオット卿は、王の代理として復興の指揮を執っていた。彼は忠誠心厚く、民からの信頼も厚い男だったが、一方で「強すぎる忠誠心」はしばしば盲目となる。王国の未来を憂うという名目で、彼は民の声よりも「王家の権威」を優先していたのだ。
一方、地方の領主たちは戦乱によって疲弊し、王都復興のための重税に反発を強めていた。
「王都の石ばかりを積み直すより、我らの村々の畑を守ってくれ!」
そう叫ぶ農民たちの声が各地で高まり、やがて一部の領主は密かに結託を始める。
――その動きを察知したのは、密偵頭に任じられたセリナだった。
彼女は再建の象徴として人々に知られるリュウたちとは別に、影の存在として王国の暗部に潜んでいた。
ある夜、彼女は王宮の地下室にて、リュウとひびきを呼び出す。
「領主の一部が裏切りを企てている。放置すれば、再建は砂上の楼閣となる」
ひびきは険しい表情で問いかける。
「反乱……ですか?」
「まだ芽の段階よ。だが芽は放っておけば、やがて大樹となる」
リュウは決意を込めて頷いた。
「なら、俺たちがその芽を摘む。だが力でねじ伏せるだけじゃ、また新しい芽が生える。……どうすれば、皆の心をひとつにできるんだろう」
その問いに答えを出せる者は、まだ誰もいなかった。
翌日、リュウは復興の現場へと足を運ぶ。
瓦礫を片付ける老人、石を運ぶ若者、炊き出しを担う女たち――皆が疲れ切りながらも、未来を信じて働いていた。
リュウの胸に、ひとつの考えが芽生える。
「……料理だ。人は食を共にする時、心を通わせられる。俺の魔法料理なら、きっと人々をひとつにできる」
そうしてリュウは、復興の象徴として「大饗宴」を開くことを提案する。
王都に戻ったすべての領主を招き、民と共に同じ料理を食すことで、王国の未来を語り合う場を作る――それは剣ではなく、料理で国を結ぶという前代未聞の試みだった。
しかしその陰で、領主の結託を操る黒幕が、着実に動きを広げていた。
王国の再建は、希望と陰謀が交錯する新たな戦いの舞台となろうとしていた。
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