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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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暁月の煌き

Mure of the ladle

暁月の煌き


王国の空が淡い紫色に染まる頃、街は静かに、しかし確実に祭りの準備に包まれていた。暁月の季節――王国全土で一夜限りの光の祭典が開かれる時期だ。街路には燭台が並び、空には光る飾りが吊るされ、人々は期待と興奮に胸を躍らせていた。


王子とステイシアは、王城の広間で行われる開会式に備えて装束を整えていた。彼らの娘も肩を弾ませながら、父母の手を取り、初めての暁月の祭りに胸を膨らませている。


「今日は特別な夜になるわね」ステイシアが微笑む。

「祭りだけじゃない……暁月の光は、古の魔法を封印する儀式とも関わっている」王子は静かに言葉を継ぐ。過去の戦いの傷跡が蘇るような思いで、王子は夜空を見上げた。


街の広場では、屋台が並び、人々の笑い声が響く。しかし、その喧騒の中で、闇の気配が静かに忍び寄っていた。古代の魔導書の力を狙う者たちが、暁月の力を利用しようと画策しているのだ。


「父様、危険な予感がする……」娘が手を握りしめ、王子を見上げる。

王子は頷き、ステイシアと共に警戒を固めた。

「だが、今日は楽しむのも大事だ。人々の笑顔を守るのも、我々の使命だ」


暁月の夜、光が月と星の間で輝き、空に薄紫の光の帯が走る。王子は剣を手に、ステイシアは魔法の杖を構え、娘は父母の間に立ち、祭りの中に潜む影に備える。


突然、空から黒い影が舞い降りた。漆黒のマントを纏った魔導師――古代の禁術を操る者だ。手には暁月の魔力を吸収する魔導書を持ち、祭りの光を歪めようとしている。


王子は剣を高く掲げる。

「来い……家族も民も、俺たちが守る!」


ステイシアが魔法を唱え、光の盾を広場全体に展開する。娘は恐怖に震えながらも、父母の側に立ち、光の盾の中で小さく手を合わせた。


闇と光がぶつかり合う瞬間、暁月の光が広場を満たす。光の帯が空から降り注ぎ、黒衣の魔導師の影を揺らす。王子の剣が魔導師の杖を砕き、ステイシアの魔法弾が禁術の力を反射させる。


「これで……終わりだ!」王子の叫びと共に、光の剣が闇を切り裂く。魔導師は消え、魔導書も光に包まれ、力を失った。


街の人々は驚きと歓声を上げる。王子とステイシア、そして娘は互いに手を取り、祭りの夜空を見上げた。暁月の光は、戦いの痕跡を包み込み、街に平和と希望をもたらしていた。


「これからも、私たちは共に歩むのね」娘が微笑む。

「その通りだ」王子は娘を抱きしめ、ステイシアと互いに見つめ合った。


暁月の光は、ただの祭りの光ではなく、家族と民を繋ぐ希望の光――そして、次なる冒険への序章でもあった。


― 電機蛙の反撃


暁月の祭りが終わった後、街は静寂に包まれていた。しかし、王子とステイシアは直感で何かが潜んでいることを感じ取っていた。


「まだ……終わってはいない」王子は剣を握り直す。


その時、地面が震え、空気が金属のような臭いで満たされる。広場の中央、破れた屋台の陰から、不気味な輝きを帯びた巨大な蛙が姿を現した。


体表は青緑色の電気鱗で覆われ、口から放たれる稲妻が空気を裂く。眼には知性と冷徹さが宿り、全身から発する電流が地面を震わせ、近づく者の武器を痺れさせる。


「電機蛙……?」ステイシアが声を震わせる。

「まさか、暁月の光に反応して現れたのか……」王子は警戒を固め、娘を背に隠す。


電機蛙は跳躍し、空中で電撃を溜め、地面に叩きつける。轟音と閃光が広場を包み、瓦礫が散乱する。王子は光の剣でその衝撃波を受け止め、ステイシアは風魔法で巻き起こる電流を逸らす。


「娘を守れ!」王子は叫び、娘を抱えて後退する。

しかし電機蛙は執拗に追い、跳躍と電撃を繰り返す。地面に残された金属片が雷を導き、周囲の街灯や屋台を通じて無数の電流が跳ね返る。


「私が支えるわ!」ステイシアは魔法の盾を展開し、王子を援護する。娘も小さく手を合わせ、父母の力を少しだけ引き出す。王子の剣が光を帯び、電気をまとった蛙に斬りかかる。


しかし電機蛙は反応が早く、稲妻を全身に纏って攻撃を受け流す。空気中で稲光が炸裂し、周囲に青白い閃光を撒き散らす。王子は自らの魔力を全身に流し、パワー・アンプを起動する。体が光で満たされ、剣が雷の力と共鳴する。


「これで……終わらせる!」王子は雷と光をまとった一撃を電機蛙に叩き込む。

衝撃で蛙は空中に跳ね上がり、体から放たれる電流が空中で炸裂する。しかし、王子の一撃は確実に命中し、蛙は轟音と共に地面に叩きつけられた。


広場に静寂が戻る。瓦礫の間から青白い煙が立ち上り、電機蛙は動かなくなる。王子とステイシアは互いを見つめ、娘を抱きしめた。


「まだ油断はできない……」ステイシアが低く呟く。

「でも、俺たちは……負けない」王子は剣を地面に突き立て、街の向こうを見据える。


暁月の夜は再び静かに光を放つ。しかし、電機蛙の出現は、新たな脅威と冒険の始まりを告げる鐘でもあった。王子と家族、そして王国は、再び未知の戦いに立ち向かう準備を整えつつあった。


― お玉杓子の牟礼


暁月の祭りが終わった翌朝、王国の広場には瓦礫と光の残滓が残っていた。王子とステイシア、娘はまだ戦闘の余韻を感じながらも、街の復興に目を向けていた。


その時、街の市場の奥から不思議な物音が響く。

「なんだ、この音……?」王子が警戒しながら歩み寄ると、そこには奇妙な姿の男がいた。


背中に大きなお玉杓子を背負い、手には杓子を操るような棒を持つ。服は古びているが、どこか神々しい雰囲気を漂わせている。目元は鋭く、口元は常に笑みを浮かべている。


「我こそ……お玉杓子の牟礼」男は低く名乗った。

「お玉杓子……?」ステイシアが眉をひそめる。

「そうだ、暁月の光を操る者たちを監視し、この国を守る役目を持つ者……だが、少々奇妙な方法でな」牟礼は杓子を振り回すと、空中に光の弧を描き、微細な稲光のような力が広がった。


「この力で敵を捕らえることができる」牟礼は杓子を空高く掲げると、瓦礫の間に潜む小さな闇の残滓を吸い込み、光に変えていった。まるで掃除するかのように、街の残骸から闇を取り除いていく。


王子は剣を構え、ステイシアは魔法の盾を展開した。

「君は味方……なのか?」王子は警戒を解かずに問う。

「味方も敵も、暁月の光次第さ。だが今日は、君たちと共に戦おう」牟礼は軽やかに杓子を振り、空中で閃光を散らした。


その瞬間、瓦礫の中から新たな影が現れる。電機蛙の残留エネルギーが結集し、再び街に襲いかかろうとしていた。王子とステイシアが応戦する間、牟礼は杓子を振り、影を封じ込める光の渦を作り出す。


「な……この力、杓子で……?」ステイシアが驚く。

「暁月の光を引き寄せ、悪意を打ち消す……お玉杓子はただの調理具ではない、古代の神器なのだ」牟礼の言葉に王子は頷き、戦闘の呼吸を整える。


戦場は一瞬にして光と影の渦巻く光景に変わる。王子の剣、ステイシアの魔法、そして牟礼のお玉杓子が一体となり、闇の残滓を次々と打ち消す。光の閃きが街を包み込み、人々の心にも安堵をもたらした。


「これで……街も、民も、娘も守れるな」王子は娘を抱き、微笑む。

「その通りだ。暁月の光は、まだまだ私たちの力になる」ステイシアも笑みを浮かべる。

「さて、私はまた杓子を背負って巡るとしよう……また困った者が現れたら呼べ」牟礼は軽やかに跳ねるように去っていく。


暁月の空には、まだ光が残り、街の人々はその光に希望を見出していた。王子、ステイシア、娘、そしてお玉杓子の牟礼――新たな仲間が加わり、王国は次なる冒険に備えるのだった。

Looking forward to the next time

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