誰もしなない学校 〜永遠の学び舎〜
School
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校門をくぐると、そこはまるで別世界のようだった。
風に揺れる古びた木造校舎、校庭の芝生に響く子供たちの笑い声、そして空気に漂う穏やかな温もり――すべてが、日常の中でありながらどこか非現実的だった。
「……ここ、本当に学校なのか?」
転入初日のミナトは、目の前に広がる光景に戸惑いを隠せなかった。
「うん、ここが『誰もしなない学校』よ」
隣に座った少女リナがにっこり笑う。髪の先まで輝くような純粋な笑顔だった。
「誰もしなないって……どういうこと?」
「怪我しても病気になっても、絶対に死なないの。だから安心して勉強も遊びもできるの」
校舎の中を歩くと、壁の時計の針はゆっくりと回るだけで、誰も慌てず、誰も焦らない。授業中に転んでも、ぶつけた膝はすぐに元通りになる。風邪をひいても一晩眠れば完全に回復する。教室に漂うのは緊張や恐怖ではなく、笑い声と好奇心だけだった。
ミナトは体育の授業で、初めて全力疾走を経験する。
「走れ、走れ!」
仲間たちの声に押され、転んでもすぐに立ち上がる。痛みも恐怖も存在しない世界。勝っても負けても、誰も泣かず、みんな笑顔だ。
昼休み、校庭でリナや新しい友達と話す。
「ここって、本当に平和すぎるくらいだね」
リナは遠くを見つめ、小さくうなずく。
「でも、だからこそ学べることもあるんだよ。命を心配せずに、思い切り挑戦できる場所――それが私たちの学校」
放課後、図書室に入り込んだミナトは、古い書物の山に囲まれて一冊の厚い日誌を見つける。
ページをめくると、この学校の創設者たちの記録、誰もしなない奇跡の秘密、そして過去に起きた不思議な事件の数々が綴られていた。
「なるほど……この力は偶然じゃない」
ミナトはつぶやき、窓の外に広がる夕焼けを見た。校庭は金色に染まり、子供たちの影が長く伸びる。
夜の帳が下りても、校舎の灯りは暖かく、誰一人恐れずに学び舎を後にする。
怪我も死も恐れる必要のない場所で、子供たちは夢を追い、友情を育み、未来への希望を紡いでいく。
ミナトは小さく笑い、深呼吸した。
「ここなら……何があっても大丈夫だ」
誰もしなない学校――それは、単なる学び舎ではなく、命の重みを恐れずに挑戦する力を育む場所。
そして、今日も新しい物語が、校庭に響く笑い声とともに始まったのだった。
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