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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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瓦礫の中の約束

前回のお話は?

夜明けが近づくころ、街はまだ瓦礫と灰に覆われていた。

しかし、そこに小さな灯りが一つ、また一つとともっていく。

生き残った人々が、壊れた家のそばに火を焚き、互いを励まし合っていた。


戦士は剣を背に収め、娘と許嫁を連れてその光の中を歩いた。

人々の視線が集まる。

英雄として、救い手として。

だが戦士の表情は誇りではなく、静かな決意に満ちていた。


「俺たちはもう一度、この街を立て直す。

二度と闇に呑まれぬように――」


その言葉に、沈黙していた群衆が少しずつ頷き、やがて大きな声となって響いた。

瓦礫の中に、確かに新しい息吹が芽生え始めていた。


娘は戦士の腕にしがみつき、震える声で囁いた。

「……また、壊れてしまうの?」


戦士はその小さな手を包み込み、柔らかく答えた。

「壊れても、何度でも立ち上がる。

それが生きるってことだ」


許嫁は二人を見つめ、胸の奥で小さく微笑む。

その瞳には、悲しみと希望の両方が宿っていた。


夜が明けると同時に、三人と人々は瓦礫を片付け始めた。

そこには血の跡も涙の跡も残っていたが、確かに未来を築く手が動いていた。


そして戦士は、心に深く誓う。

――どれほど闇が迫ろうとも、この手で守り抜く、と。


「再建の影」


陽が昇りきった頃、街には槌音が響いていた。

崩れた壁を積み直し、折れた梁を縄で縛り、まだ動ける者たちが必死に働いている。

だが、どれほど声を張り上げても、失われた者たちの空席は埋まらなかった。


戦士はその中心に立ち、人々と共に瓦礫を運んでいた。

英雄であろうと労働者であろうと関係ない。

彼にとって剣と同じくらい大切なのは、この街に再び息を吹き込むことだった。


しかし――その影で別の動きが蠢いていた。


瓦礫の中から見つかったのは、黒い結晶の欠片。

それは蜚蠊の王が砕け散った時に残したものだと噂され、手にした者は次々と奇妙な悪夢に悩まされていた。


「これは……封じねばならぬ」

許嫁の一人が眉をひそめ、結晶を布で包む。

娘は怯えたようにその欠片を見つめ、戦士の手を強く握った。


さらに、遠くの森で新たな影が目撃されたという報せが届く。

それは王を失った蜚蠊たちが集い直し、次なる主を求めている証だった。


戦士は拳を握り、瓦礫の上で立ち止まる。

「戦いは……まだ終わっていない」


再建の音に混じって、次の戦火の足音が忍び寄っていた。


「黒き結晶」


夜半、街の片隅にある仮設の倉庫に、戦士と二人の許嫁、そして娘が集められていた。

粗末な机の上に置かれているのは、黒い結晶の欠片。

それはかすかな脈動を放ち、まるで生き物の心臓のように震えていた。


「……聞こえる?」

娘が小さな声で呟いた。

その目は結晶をじっと見つめている。


「何がだ」

戦士が問い返すと、娘は首を傾げ、耳を塞ぐように肩をすくめた。

「泣いてる声。すごく遠くから……助けてって」


沈黙が落ちる。

許嫁の一人は結晶を睨みつけるようにして言った。

「これは災いそのもの。すぐに砕いて埋めるべきだわ」


だがもう一人は首を振る。

「待って。もしこの力を制御できれば、次に来る戦いを凌げるかもしれない」


言葉はすぐに衝突へと変わった。

二人の許嫁の視線が絡み合い、空気は鋭い刃のように張り詰める。


戦士は二人の間に立ったが、結晶の脈動がその決断を嘲笑うかのように強まり、倉庫の壁さえも震わせた。


その瞬間、外から轟音が響いた。

誰かが街の防壁を破壊したのだ。

扉が開かれると同時に、影の軍勢が押し寄せてきた。


黒い結晶は、その闇に呼応するように光を放ち始めた。


「影の侵入」


防壁の崩れる音は、街全体を震わせた。

瓦礫を押しのけて姿を現したのは、黒い影の軍勢。

蜚蠊の王を失ったはずの彼らは、なおも統率された動きを見せ、結晶の気配に惹かれるかのように一直線に倉庫へ迫ってきた。


「来るぞ!」

戦士が叫び、剣を抜いた。


許嫁の一人は娘を庇いながら後退し、もう一人は短剣を握り締めて前に出る。

「結晶は私が守る!」


しかし結晶は勝手に輝きを増し、倉庫の床に黒い紋を広げ始めた。

それは影の軍勢を導く灯台のように街を照らし、さらに敵を呼び寄せていく。


「こんなものを残しておけば、街が飲み込まれる!」

前に出た許嫁が叫ぶ。


「違う、これは力だ! 利用できれば……」

後ろで娘を守る許嫁が言い返した。


二人の声をかき消すように、倉庫の壁が破れ、影が雪崩れ込む。

その瞬間、娘が結晶に手を伸ばしていた。

小さな掌が光に触れると、脈動は一気に加速し、影たちが一斉に怯むように立ち止まった。


戦士は驚愕しながら娘を抱き寄せた。

「お前……何を……!」


娘の瞳は赤く光り、震える声が漏れる。

「……この声、私を呼んでる……」


結晶の鼓動は、もはや娘と同調していた。

次回も楽しみに

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