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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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リィナ・クロニクルVI ― 創世の継承者 ―

前回までのリィナは?

第二節 ― 鏡の王国




 風が止んだ。

 凍てつくような静寂の中で、アルヴェインは〈大陸の門〉を見上げていた。

 黒曜の門が開かれ、光と影がせめぎ合う。

 その向こう――別の“世界”が確かに広がっていた。


 「……ここが、“もう一つの大陸”……」

 セリアが呟いた声は震えていた。

 足元の大地は同じ形をしていながら、どこか違う。

 空の色は灰を帯び、太陽は双つ。

 生き物の気配がなく、風さえ“逆に”吹いているようだった。


 門をくぐった瞬間から、時間の流れが乱れている。

 先ほどまで立っていたはずの兵士が、一歩後ろではもう姿を消していた。

 ここは――“鏡の王国ミラリア”。



 迎えに現れたのは、若き女王の姿をした「もう一人のリィナ」。

 だがその瞳は、慈しみではなく、冷ややかな決意を宿していた。


 「ようこそ、異界の王。あなたが“こちら側”の脅威ね。」

 「……あなたは、母上ではない。」

 「そうね。私はこの世界のリィナ。

  あなたの母が滅ぼした“虚神”を、こちらで封じ続けた存在。」


 彼女の声は落ち着いていたが、その言葉の裏には深い怨嗟が潜んでいた。


 「あなたたちの世界が安寧を得た代償として、こちらの大陸は“凍りついた”。

  虚神の残滓を閉じ込めるために、我々は季節を捨て、命を凍結したのよ。」


 リィナ(鏡の)はゆっくりと玉座の階段を降り、アルヴェインの前に立った。

 「あなたの母、リィナ=ルミナリアはこの門を封じた。

  だがその封印は、こちらの犠牲の上に築かれていた。

  ――あなたが生まれるために、こちらの大陸は“死んだ”のよ。」


 アルヴェインは息を呑んだ。

 「……そんな、ことが……」

 「信じられない? ならば見なさい。」


 彼女が指を鳴らすと、城の壁が霧のように溶け、幻影が広がった。

 そこには、氷に閉ざされた街。動かぬ人々。

 時間が止まったように、笑顔も悲鳴も、そのまま凍りついている。


 「これが“代償”よ。

  あなたの世界が光を取り戻した瞬間、こちらは闇に沈んだ。

  あなたが母の血を引く限り――その罪もまた、受け継がれている。」



 セリアが一歩前に出た。

 「ならば、どうすれば償える? 我々が何をすれば――」

 「償う? 簡単よ。」

 鏡のリィナの唇が、悲しげに笑った。

 「“世界を一つに戻す”。

  だが、そのためには片方を――滅ぼさなければならない。」


 静寂が、時間を切り裂いた。

 アルヴェインの胸に重くのしかかる言葉。

 “どちらかが滅ぶしかない”――それは、彼の誇りを根こそぎ奪う呪いだった。


 「……俺は、どちらも救う。」

 「不可能よ。」

 「不可能でも、母上はそうしてきた!」


 怒りのままに剣を抜くアルヴェイン。

 しかし、鏡の女王も手を掲げた。

 空間が震え、二つの光が交錯する。

 白と黒、二つのリィナの血脈が、時空を超えて激突した。


 剣が閃き、世界が裂ける。

 その一瞬、アルヴェインの瞳に“母の面影”が映った。


 ――『アル、やめて。彼女は私なの。』


 母の声。

 かつて消えたあの光が、心に流れ込む。

 刃が止まり、アルヴェインは地に膝をついた。


 「……母上……?」

 「ええ、聞こえる?」

 鏡のリィナが微笑んだ。

 「私はあなたの母でもある。

  ――だって、“創世”は一つだったのだから。」


 彼女の背後、崩れかけた空間から、無数の光球が舞い上がる。

 それは魂。かつて凍りついた命たちが、光に還っていく瞬間だった。


 「さあ、アルヴェイン。

  選びなさい。

  世界を一つにするのか、それとも――全てを失うのか。」



 門の彼方では、現実世界の空が裂け始めていた。

 異界の光が流れ込み、二つの大陸が“融合”を始めている。

 どちらの世界も生き残る道は、もう残されていなかった。


 セリアが叫ぶ。

 「陛下――!」

 アルヴェインは剣を握りしめたまま、目を閉じた。


 ――母上、俺はもう迷わない。

 ――この命が消えても、どちらの世界も……守る。


 剣が再び光を放ち、門の中心へと突き立てられた。

 世界が揺らぎ、空が白く燃え上がる。



 次の瞬間、

 門は崩壊し、全てが光に包まれた。


 彼が選んだ“答え”は、まだ誰にも知られていなかった。

次回も楽しみに

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