表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

120/124

異界決戦 ― リィナ・クロニクルIII ―

前回までのリィナは?

第五章 黎明の創造者ジェネシス・アーク


 灰の空に、静かに風が流れていた。

 音のない世界――星々が堕ちたあの日から、既に七日が過ぎていた。

 すべてを終わらせた戦いの後、リィナは生き残った。

 ただひとり、虚神の滅びを見届けた者として。


 崩れた神殿〈アーク・クレイド〉の中心に、彼女は膝をついていた。

 指先には、あの男――カインの残した黒き結晶が、まだ温もりを保っている。

 その中には、かつての彼の声が微かに響いていた。


『お前に託した。世界を創れ。俺の罪を、超えてゆけ。』


 リィナは目を閉じ、祈るように呟いた。

「……あなたの想いは、確かに私の中にある。

 今度こそ、滅びではなく――創造のために、この手を使う」


 彼女の体から、柔らかな光が零れ始めた。

 それは女神の残滓でも、虚神の力でもない。

 “人の祈り”から生まれた、純粋な再生の魔力だった。



◇ 静寂の大地、再生の芽吹き


 リィナはまず、地を歩いた。

 かつて王都があった場所は黒く焦げ、建物の影も残らない。

 けれど、足元の瓦礫をどけると、小さな芽がひとつだけ生えていた。


 その瞬間、彼女は微笑んだ。

「……そうね。世界は、まだ死んでいない」


 彼女はその芽に手をかざし、光を注いだ。

 すると、大地がゆっくりと息を吹き返すように震え、地平の彼方で淡い緑が広がった。

 それは一瞬にして丘を覆い、枯れた森を蘇らせていく。


 リィナの頬を、涙が伝った。

 それは悲しみではなく、確かな希望の涙だった。

 もう誰も、神にすがらずともよい。

 この世界は、彼女――“人間”の手によって生まれ変わりつつあった。



◇ 眠る胎動


 夜が訪れた。

 再び見上げた空には、星の代わりに、静かな光が瞬いていた。

 それは彼女の胸元から零れたもの――

 カインの残した結晶が、やがて淡く脈打ち始めていたのだ。


 リィナは驚き、結晶を胸に抱いた。

 そこには、小さな鼓動があった。

 まるで、新しい命が宿っているかのように。


「……カイン? まさか……」


 けれどそれは、彼の意識ではなかった。

 カインの力と、リィナの祈りが融合し、新たな創造の核となっていたのだ。

 やがてそれは彼女の体内に吸い込まれ、淡い温もりを残した。


 リィナは天を仰ぎ、呟く。

「あなたの命は、私の中に生きている。

 この世界がまた光を取り戻すまで――私は、母として歩む」



◇ 虚界の残響


 だが、すべてが終わったわけではなかった。

 虚神の残した影が、世界の裂け目にまだ潜んでいた。

 異界の残響――“アビスの残滓”が、光の欠片を喰らいながら形を成していた。


 その中心に立つ影がいた。

 黒い外套をまとい、虚ろな双眸を持つ男。

 その声は、どこかで聞いたような響きを帯びていた。


「リィナ……創造を始めるのか。

 ならば、我らも“破壊”で応えよう。

 ――再び、輪廻の鎖を回すために」


 その男の足元から、数百の亡霊が立ち上がる。

 過去の戦士、滅びた王、そして虚神に仕えた者たち。

 彼らは再びこの世界に侵入しようとしていた。


 リィナは剣を構え、静かに目を開いた。

 瞳の奥には、炎のような決意が宿っている。


「あなたたちがどれほど過去を引きずろうと、私は前へ進む。

 これは――私と、カインの子が生きるための未来だから!」


 その瞬間、夜空が白く光り、再び“黎明”が生まれた。

 リィナの剣は光を帯び、亡霊たちを一閃する。

 その斬撃は、まるで新しい創世の一撃のようだった。

次回も楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ