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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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異界決戦 ― リィナ・クロニクルIII ―

前回までのリィナは?

第四章 星々の落日せいじつのらくじつ


 世界は焼けていた。

 虚神〈アトラ=オメガ〉との戦いの余波で、大地は裂け、空は紅に染まった。

 太陽は雲の裏に隠れ、空を覆う亀裂の向こうに、黒い星々が流れている。

 それはかつての“天の秩序”が崩壊し、新たな夜の支配が訪れつつある徴だった。


 リィナは膝をつき、焼け焦げた地面に剣を突き立てる。

 光の翼は既に霧散し、全身の魔力は限界を超えていた。

 遠くでカインの黒衣が揺れる。

 彼の周囲を黒い霧が漂い、まるで虚神の残滓が宿ったように、その体を変貌させていた。


「……お前は、まだ立ち上がるのか。リィナ」


 カインの声には疲労と、微かな哀しみが混ざっていた。

 だがその手には、虚神核から取り込んだ“闇の結晶”が脈動している。

 それは命を喰らう代わりに、無限の力を与える禁断の源。


「私は……倒れてなんていられない。

 この世界を……父の願いを……あなたに、壊させはしない!」


 リィナはふらつきながらも剣を構える。

 その背に、亡き仲間たち――リオ、メリア、アリュスの声が重なった。

 彼女を導くように、微かな光が剣に宿る。


 カインは静かに笑った。

「ならば、終わらせよう。この無意味な運命を。

 俺たちが“創造神の罪”そのものだと知った今――もう帰る場所などない」


 黒い風が吹き荒れ、地平が裂ける。

 世界の中心〈アーク・クレイド〉――神々が最初に降り立った大地が、崩壊を始めた。

 空には幾千もの星が堕ち、尾を引きながら燃え落ちていく。

 それは“星々の落日”。世界の最期を告げる光景だった。


 剣が再び交錯する。

 リィナの光がカインの闇を切り裂き、カインの影がリィナの心を蝕む。

 互いの力は拮抗し、もはやどちらが勝っても滅びが訪れるしかない。


「なぜ……お前は戦う? 愛する者たちは皆、もういないのに!」


「……いる。心の中に。

 そして――この世界の未来に、まだ希望は残っている!」


 リィナの叫びが天を突く。

 その声に応えるように、地の底から光が溢れ出した。

 星核〈セレス・コア〉が反応していた。

 それは、リィナとカイン、両方の存在が持つ“創造の因子”をひとつに戻そうとしていた。


 カインは目を見開く。

 彼の中で、虚神の力が暴走を始める。

 黒い血が流れ、肌にひびが走る。

 それでも彼は笑った。


「そうか……これが、神が見た夢の終わり、か……」


「やめて! もうこれ以上、命を削らないで!」


「遅いさ。俺もお前も――“はじめ”から、終わりを刻まれて生まれた存在なんだ」


 カインの体が光に包まれる。

 彼はリィナの胸に手を伸ばし、静かに囁いた。


「リィナ……この力を、お前に託す。俺が壊した世界を……もう一度、創ってくれ」


 その言葉と共に、カインは光の粒子となって崩れ落ちた。

 闇が晴れ、虚神の胎動が止まる。

 だがその代償に、空の星々はすべて消え去り、世界は灰のような静寂に包まれた。


 リィナは一人、広がる廃墟の中に立ち尽くす。

 空は黒く、風は冷たい。

 だが彼女の胸には、確かに新たな鼓動があった。

 カインの残した光が、彼女の中で生きている。


「……この手で、創り直してみせる。

 たとえこの身が、灰となっても」


 リィナの足元から、淡い光が大地に広がった。

 枯れた草が芽吹き、崩れた街に色が戻る。

 それは小さな再生――けれど確かな希望だった。


 星々がすべて堕ちた後の夜空に、ひとつだけ新しい星が瞬く。

 それは、リィナの祈りが生んだ“黎明の星”だった。

次回も楽しみに

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