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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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異界決戦 ― リィナ・クロニクルIII ―

前回までのリィナは?

第三章 虚神の胎動きょしんのたいどう


夜明けは訪れなかった。

 黒い雲が空を覆い、光の筋がひと欠片も地上に届かない。世界はまるで、永遠の黄昏に閉ざされたかのようだった。


 リィナは崩壊した都〈エル・ヴァリス〉の中央で、剣を杖のように突き立て、息を整えていた。

 周囲には異形の残骸が積み重なっている。

 だが、その奥――街の地下に眠る「虚神核アビス・コア」が脈動を強めていた。

 それはかつて神々が封印した“禁じられた心臓”。世界を創る力と、同時に滅ぼす力を内包したもの。


「……また、動き始めた」


 リィナの声が震える。

 地の底から響くのは、まるで誰かの胎動のような音――ドクン、ドクン、と。

 地面が微かにうねり、周囲の魔力が渦を巻く。


 その時、背後に黒い影が立った。

 振り返るより早く、冷たい刃がリィナの頬を掠めた。

 剣を構えて飛び退く。黒衣の男――カインがそこにいた。

 彼の体からは黒い霧が漏れ出し、瞳の奥にはかつての仲間だった頃の優しさなど、一片も残っていなかった。


「ようやく会えたな、リィナ。お前が“虚神”の器だと知ったときは、皮肉に笑うしかなかったよ」


「……カイン。あの日、あなたはなぜ私たちを裏切ったの?」


「裏切り? 違う。俺は選んだんだ。この腐りきった神の世界を終わらせることをな」


 カインの手の中で、黒い紋章が燃える。

 その中心に、淡い赤光――虚神の心臓の欠片が脈打っていた。

 リィナの胸にも、同じ色の光が反応する。星核〈セレス・コア〉が共鳴していた。


「……まさか、あなたも“星の継承者”だったの?」


「そうだ。俺とお前、二つで一つ。神が造った“創造と破壊”の双極だ。

 リィナ、お前が光なら、俺は闇になるしかなかった」


 その言葉と同時に、地面が裂け、地下から黒い柱が噴き出す。

 柱の内部には、無数の目を持つ巨大な影――虚神〈アトラ=オメガ〉が胎動していた。

 まるでこの世界そのものが、異界へと生まれ変わろうとしているようだった。


 リィナは咄嗟に魔力を解き放ち、蒼い光で柱を押さえ込む。だが虚神の力はそれを凌駕し、押し返してくる。

 空が割れ、雷鳴が落ち、周囲の建物が次々と崩壊していく。

 カインはその中心で、静かに笑った。


「見ろ、リィナ。これが神々の末路だ。祈りも秩序も、何の意味もない。――滅びこそが、救いなんだ!」


「違う! 滅びの先に、何も残らない! あなたが信じた“救い”は、ただの無だ!」


 叫びと共に、リィナの背中から光の翼が広がる。

 星核の力が臨界を超え、彼女の体を純白の炎が包む。

 その姿はまるで、神話の再現――“再誕の女神”と呼ばれた存在そのものだった。


 光と闇が衝突した。

 雷鳴のような衝撃音が響き、世界が震えた。

 二人の剣がぶつかり合うたびに、空の裂け目が広がっていく。

 そこから覗くのは、無数の星々が逆流する異界の夜空。現実と虚無の境界が、ひとつになろうとしていた。


 ――その時。

 リィナの耳に、かすかな声が届いた。

 遠い昔、亡き師アリュスが残した言葉。


 「リィナ……創造の力は、愛する者を護るために使え」


 その瞬間、彼女の瞳に決意の光が宿った。

 リィナは剣を握り直し、虚神の胎動を断ち切るべく、最後の力を解放した。


「アトラ=オメガ――お前の世界は、ここで終わる!」


 蒼白の閃光が爆発する。

 カインの叫びと共に、世界が白く塗り潰された――。

次回も楽しみに

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