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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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― 新たなる戦場へ、リィナの旅立ち ―

かつて世界を救った英雄たちの名は、時とともに風化した。

だが、その血脈と意志は確かに生きていた。

父の剣を受け継ぎ、母の慈愛を胸に刻んだ少女――リィナ。

彼女の運命は、再び新たな“戦い”の渦へと導かれようとしていた。

王国に訪れた束の間の平穏。それは、長い戦いの果てに掴み取った尊い時間だった。

 しかし、運命は再びリィナに牙を剥く。王国の北端、凍てつく大地の向こうから、未知なる“影の軍勢”が迫っていた。

 それは、かつて彼女の父を追い詰めた異世界勢力の残党ではなく、さらに深淵から来た存在――“虚界きょかい”の眷属たち。

 星と星の狭間に棲むというその者らは、魔法すらも歪め、命の記録そのものを喰らう存在だった。


 リィナは、王女であり、戦士であり、そして父の遺志を継ぐ者として、再び剣を手に取る。

 その瞳には、かつての父と母、そして数多の仲間たちの面影が宿っていた。

 彼女はひとりではない。

 かつて父が築いた“王子部隊”の生き残り、そして新たに集った若き戦士たち――

 彼らと共に、リィナは未知なる戦場へと歩を進める。


 だが、戦場はこれまでとは違っていた。

 敵の姿は常に霧の中、味方の記憶が奪われ、名を忘れていく。

 “存在の消失”という新たな恐怖が、王国を、そしてリィナの心を蝕んでいく。

 信じていた仲間が敵になる。

 救おうと伸ばした手が、逆に刃を握っていた。


 それでも――彼女は進む。

 たとえ、この身が何度散ろうとも、父が託した「未来を守る力」を信じて。


 やがて訪れる運命の地、

 “虚界のアビスゲート”。

 そこに待ち受けるは、異世界の新たな侵略者にして、全ての輪廻を操る存在――“時喰らいの王”。


 血に濡れた剣を掲げ、リィナは叫ぶ。

 「この世界を――二度と奪わせはしない!」


リィナ・クロニクル ― 未来を継ぐ者 ―


運命の再起動リスタート


 夜の王都は、月光に照らされて白銀のように輝いていた。

 その塔の最上階に立つ少女、リィナ・エル=ヴァルシアは、静かに風を受けながら瞳を閉じる。

 ――あの戦争から十年。

 父が命を賭して守ったこの国は、ようやく復興の兆しを見せていた。

 けれど、彼女の胸には未だに消えない傷があった。

 それは、父の最期の言葉だった。


 『――リィナ、世界は終わらない。だが“未来”は誰かが継がねばならぬ。』


 あの時の涙と誓いを忘れまいと、リィナは今日も剣を手に取る。

 彼女はもはやただの少女ではなかった。王国最年少の“戦術師”として、魔獣討伐隊の指揮を担っている。


 その夜、王城に緊急の鐘が鳴り響いた。

 「北の辺境に、異界の門が出現しました!」

 兵士の叫びが響く。

 リィナの心臓が跳ねた。

 “異界の門”――それは、かつて父が封印したはずの、世界と世界を繋ぐ災厄の穴。


 「……やはり、来たのね。」

 月光に照らされた彼女の頬を、冷たい風が撫でる。

 遠くで、空が裂けた。赤い稲妻が地を走り、重力そのものが歪んでいく。

 “何か”が、来る。


 リィナは剣を抜いた。

 父の形見、“黎明のドーンエッジ”。

 刃先に宿る青白い光が、まるで意志を持つように脈打った。

 「お父様……あなたが守ったこの国、今度は私が――」

 その瞬間、空間がねじれた。

 光の粒が人の形を成し、黒い鎧に身を包んだ騎士が姿を現す。

 異世界勢力の新たなる将――“虚界騎士グラド=ヴェルス”。


 「我らの王が問う。人の子よ――この世界はまだ価値があるのか?」

 低く、冷たい声。

 その問いは、まるで神の審判のようだった。


 リィナは剣を構え、静かに答えた。

 「ええ、価値はある。あなたたちのような者に壊されるまでは。」


 次の瞬間、戦端が開かれた。

 紅蓮の魔力が夜空を裂き、王都を覆う。

 リィナの身体は宙に投げ出され、瓦礫の中を転がりながら立ち上がる。

 その瞳には恐怖も迷いもなかった。

 ただ――父から受け継いだ覚悟だけがあった。


継がれる意志、目覚める力


 戦いの翌日、王都は混乱に包まれていた。

 虚界から現れた兵士たちは、街の一角を支配し、空間を歪ませて消えていった。

 しかし、その痕跡――“虚界結晶”だけが残り、王立魔導士団を悩ませていた。


 「リィナ様、この結晶……生きているようです。」

 魔導士リードが恐る恐る報告する。

 リィナは結晶に手をかざし、指先に走る魔力の脈動を感じた。

 (……これは、父の魔力に似てる?)

 だが、その奥に潜む“異質な気配”が、リィナの直感を刺した。


 夜――彼女の夢の中に、青い炎が現れた。

 “リィナ……お前が見る未来を、選べ……”

 声の主は、もうこの世にはいない父。

 そして、炎の中に立つ黒い影。

 それは、彼女自身に酷似していた。


 「……私?」

 影は笑う。

 『そう、私はお前。だが“虚界に堕ちたお前”だ。未来の先にある絶望を、私は知っている。』


 目を覚ますと、掌に“刻印”が浮かんでいた。

 古代文字で刻まれたそれは、かつて王家に伝わる“未来視”の印。

 ――運命が、再び彼女を選んだ。


父の幻影、そして新たなる旅立ち


 王城の最上階、風の流れる礼拝堂。

 リィナは父の墓前に膝をついた。

 「お父様……この世界を守るのは、もう私たちの世代です。

 だけど、あなたが残した“選択の記録”が……まだ終わっていない。」


 彼女は剣を掲げた。

 その瞬間、剣の刃が淡く光り、父の幻影が浮かび上がる。

 『リィナ、運命は輪のように回る。だが、輪を断ち切るのは“意志”だ。』


 「意志……」

 涙を拭い、リィナは振り返る。

 仲間たち――王子部隊の新世代が待っていた。

 彼らの背後には、再び広がる戦火の気配。

 遠く北方の空が、不気味に赤く染まっている。


 「行こう。父の時代を終わらせ、新しい時代を――私たちで始める。」


 夜明けの風が吹き抜け、黎明の鐘が鳴る。

 リィナの髪が光を帯び、剣の刃が朝日を映す。

 こうして、未来を継ぐ戦いが再び始まった。

 『リィナ・クロニクル ― 未来を継ぐ者 ―』は、かつての英雄譚の延長ではない。

 それは、“継ぐ者たち”が歩む新しい時代の記録である。

 父の犠牲、母の祈り、仲間たちの誓い――それらは決して過去ではなく、今を生きる力へと変わっていく。

 そしてリィナは知るだろう。

 “未来”とは与えられるものではなく、自らの手で掴み取るものだと。

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