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異世界転生したら第21王子だったけど、許嫁も侍女も姫も俺に夢中で嫉妬の嵐 モテすぎて部屋に引きこもってます  作者: マーたん


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女神の干渉と歪められた試練

前回までの王子は?

― 女神の干渉と歪められた試練


洞窟の奥で、群れをまとめつつあった俺の前に、不意に光が差し込んだ。

緑色に染まった自分の腕を眺めていたその瞬間、空気が裂けるように震えたのだ。


――女神。


黄金の光に包まれた姿。

前世で俺を翻弄し、王子誕生さえも盤上の駒のように弄んだ存在。

彼女が、このゴブリンの巣にまで姿を現すとは思いもしなかった。


「……お前がここに来るということは、やはりこの転生もお前の仕業か」

俺は唸るように声を上げる。低く濁ったゴブリンの喉では言葉すら怪しいが、それでも意志は伝わった。


女神は口元を歪めて笑った。

「面白いわ。人として王国を背負ったお前が、今はただの魔物。その矛盾、滑稽でしょう?」


「……これは試練の一環だとでも言うつもりか?」


「いいえ」

女神は白い指をひらひらと動かす。光が洞窟の壁をなめ、同胞のゴブリンたちが怯えて後退った。

「本来の試練はもっと単純だった。けれど、私は退屈なの。だから……少し遊びを加えることにしたの」


彼女は俺の記憶を覗き込むように、冷たい瞳で見据えてきた。

リディアの顔。王国の瓦礫。前世で交わした誓い――それらをあざ笑うように。


「お前が誓いを貫けるか。あるいは、魔物として堕ちるか。

私はただ、観客として楽しませてもらうわ」


その言葉とともに、洞窟が震えた。

次の瞬間、外の森に異変が起こる。

女神は試練の枠を壊し、この世界に本来存在しない魔獣を呼び込んだのだ。


――試練は試練ではなくなった。

女神の気まぐれによって、舞台は歪められ、ルールは無視される。


俺は、牙を食いしばった。

「……女神、覚えておけ。お前がどれほど試練を乱そうと、俺は抗う。たとえこの姿がゴブリンであろうとも――誓いは奪えん!」


光が消え、静寂が戻る。だが次の瞬間、洞窟の外から異様な咆哮が轟いた。

それは、女神が呼び込んだ異形の魔獣の声。


――試練は、もはや遊戯ではない。

血と復讐と、誓いを賭けた戦場へと変貌していた。


― 女神の干渉と歪められた試練


洞窟の奥は湿っていた。苔むした岩肌からは水滴が絶えず落ち、かすかな響きが耳を満たしている。

俺――いや、今は「かしん」と呼ばれる存在は、群れの中心に座し、緑色の粗末な腕を見つめていた。


(人だった頃には考えもしなかった。王子として、剣を握り、誇りを胸に戦ったあの日々……それが、今は醜いゴブリンの体だとはな)


ふと、群れの仲間たちの視線が集まる。彼らは俺に従っている。

粗暴で本能に任せて生きるはずのゴブリンたちが、俺の命令に耳を貸し、秩序を形作り始めている。

それは前世での「王」としての記憶が、無意識に滲み出している証なのかもしれなかった。


だが、その静かな支配は、一瞬で破られる。


――光。


黄金の光が洞窟を照らし、仲間たちが一斉に膝を折る。

俺は知っている。この感覚、この冷たい気配。


「……女神」


現れたのは、白い衣をまとった女神。

前世で王国を操り、俺を弄んだ存在。その冷たい微笑みを忘れたことはなかった。


「面白いわね。あなたがここまで群れをまとめるとは、想定外だった」

女神の声は透き通り、しかし残酷に響く。


俺は低く唸りながら問う。

「これはお前が仕掛けた試練か。人から魔物に落とすなど、何を企んでいる」


女神は首を傾げる。

「企み? そうね……正直に言えば退屈だったの。あなたが王子として立ち上がり、国を救い、家族を築く。それも良い劇だったけれど、終わってしまえばただの物語。そこで私は考えたの。次は、別の舞台で見せてもらおう、と」


「……ふざけるな。俺の人生も、魂も、お前に弄ばれるためにあるわけじゃない」


女神はくすりと笑う。

「でも抗うでしょう? あなたは、そういう存在だから」


その瞬間、彼女は手を掲げた。

洞窟の外が震え、空気がねじれる。

――女神が、本来この世界には存在しない魔獣を呼び込んだのだ。


咆哮が轟く。

それは竜とも獅子ともつかぬ、異形の魔獣の声。

洞窟の奥まで響き渡り、仲間のゴブリンたちが恐怖に震え上がる。


女神は囁いた。

「これは試練じゃない。ただの戯れ。あなたが誓いを守り通すか、それとも魔物として同胞を見捨てるか。私はその結末を楽しませてもらう」


光が消え、女神は去った。

残されたのは、不安に怯える群れと、迫りくる異形の咆哮。


俺は拳を握った。

(この体がどうであろうと関係ない。誓いは奪わせん。リィアナ、子ら、そして王国……すべてを背負った誓いは、この血と肉の奥に刻まれている)


ゴブリンの仲間たちに目を向ける。

「怯えるな! 俺に続け!」


粗末な武器を握り、仲間たちが震える声を上げる。

彼らは理解していないかもしれない。ただ俺が吠えるから従うだけかもしれない。

だが、それでいい。


俺たちは、女神が歪めた舞台に抗うために立ち上がる。


異形の影が、森の木々を薙ぎ倒して迫ってくる。

地響きとともに、その怪物の赤い目が闇を裂いた。


――試練はもはや遊戯ではない。

血と誓いを懸けた、生存の戦いが始まろうとしていた。


――女神の声が、風のようにかしんの頭の中を満たした。


「愚かなゴブリンよ……。力だけで仲間を守れると思ったか? 心を惑わせる誘惑に、お前はどう抗う?」


次の瞬間、試練の場は歪み、漆黒の霧が立ち込めた。そこに現れたのは、かしんと共に旅してきたはずのゴブリン仲間たち。しかし彼らの瞳は、まるで宝石のように妖しく輝き、女神の甘い囁きに縛られていた。


「かしん……もう疲れたろう?」

「女神さまに従えば、俺たちは“上位種”にしてもらえる。こんな惨めなゴブリンで終わらなくて済むんだ」


仲間の一人がそう告げ、手にした棍棒をゆっくりとかしんに向ける。その背後で、別の仲間が黄金の果実を両手で抱きしめ、狂ったように笑った。


「見ろ! 女神さまが与えてくださった力だ! これを食えば俺は……オークをも屠る王になれる!」


かしんは咄嗟に叫んだ。

「目を覚ませ! それは罠だ! お前たちを操っているだけだ!」


しかし、その叫びは虚しく霧の中に吸い込まれる。仲間たちは耳を塞ぎ、女神の幻影に跪くばかり。


女神の声が甘く響いた。

「さあ、裏切りは始まった。お前は一人で抗えるのか? それとも絶望に沈み、仲間に殺されるのを待つのか?」


仲間の一人がかしんに飛びかかった。爪が顔をかすめ、血が飛ぶ。もう一人は背後から棍棒を振り上げた。信じてきた同胞の裏切りが、かしんの胸を鋭く抉った。


だが、彼の足は止まらなかった。

「……たとえお前たちが女神に堕とされても、俺は――お前たちを守る!」


その叫びと共に、かしんは逆に拳を握りしめ、仲間を気絶させる覚悟で立ち向かう。血の絆か、それとも裏切りか。試練はますます残酷さを増していった。


――女神は楽しげに微笑み、さらに奥底の罠を仕掛けようと手をかざす。

次回も楽しみに

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