許嫁登場
第21王子として目覚めた俺には 初めから許嫁がいた
そして気づけばメイドや侍女たちからも次々と好意を寄せられ 嫉妬の嵐が吹き荒れることに
今回からは本格的に修羅場スタート
目が覚めたら豪奢な天蓋付きベッドに横たわっていた
鏡に映ったのは金髪碧眼の少年――どう見ても俺じゃない
「お目覚めですか、第21王子殿下」
横にはメイド服姿の美少女が控えていた
第21王子 殿下? いやいや俺はただの平凡な大学生で彼女いない歴=年齢の冴えないモテない男だぞ
「な 何かの間違いでは」
「間違いなどございません 本日は許嫁様がお見えになりますのでご準備を」
……許嫁?
前世で一度も告白されたことのない俺に 初っ端から婚約者がいるらしい
嬉しいような怖いような とにかく王族ってだけで人生イージーモードか?と思った矢先――
◇◇◇
謁見の間に通されると長い金髪をなびかせた少女が現れた
紫のドレスに身を包み 凛とした雰囲気 俺より年上に見えるが目の奥に知性と誇りが宿っている
「……この方が わたくしの婚約者 第21王子殿下?」
彼女の名はリシェル 侯爵家の令嬢で 幼いころから俺との婚約が決まっていたらしい
だが その視線は冷たかった
「わたくし 婚約は父の命ゆえに従うつもりです けれど――」
「けれど?」
「……末席の王子と結ばれることに 価値を見いだせるかは これから次第ですわ」
要するに 期待してないと遠回しに言っている
普通なら心が折れるところだが 前世で散々スルーされ続けた俺にとっては日常茶飯事
むしろ 美少女と会話できただけで緊張している自分が情けない
◇◇◇
ところが その日の午後
「殿下 髪に花びらがついております お取りしますね」
「殿下 食事の前に手を拭いて差し上げます!」
「殿下 こちらのお茶を……」
メイドや侍女たちが なぜか次々と俺に張り付いてくる
おいおい 前世では空気扱いだった俺が 今や王子補正で大人気!?
リシェルの眉がピクリと動いた
「……随分と 殿下はご婦人方に囲まれていらっしゃいますのね」
その声音は氷のように冷たい
あ これ絶対に嫉妬してる
第21王子の俺 モテすぎて早速トラブル発生の予感――
嫉妬の始まり
許嫁リシェルの視線は鋭く 俺は背筋を凍らせていた
メイドたちがキャッキャと世話を焼いてくれるのはありがたい だがそれが婚約者の逆鱗に触れるとは想像もしていなかった
「殿下 そちらのお皿 重いでしょう 私がお持ちします」
「いいえ 私が……!」
テーブルの上のスープ皿を奪い合う侍女二人
結果 スープは俺の膝に盛大にこぼれる
「あちちち!」
「何をしているのですかあなたたち!」
リシェルの怒声が響く
「殿下はわたくしの婚約者です 軽々しく触れるなど許されません!」
空気が一瞬で凍った
メイドたちは顔を青ざめ 俺は慌てて間に入る
「い いや みんな悪気はないんだ 落ち着いて――」
「殿下は黙っていてください!」
リシェルの瞳に燃えるような感情が宿っていた
嫉妬――前世では一度も向けられたことのない感情だ
けれど 今は俺を中心に女たちが火花を散らし合っている
王子って こんなに胃が痛い職業だったのか
その夜 ベッドの上で天井を見つめながら俺は決意した
――しばらく部屋に籠ってやり過ごそう
ついに許嫁リシェルの嫉妬が爆発しました
前世モテなかった主人公にとっては これが初めての修羅場体験
次回はいよいよ「引きこもり生活編」が始まります




