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アクセサリーショップ

いつも、読んでくださり、本当に誠に感謝しております!

ありがとうございます!!

「いらっしゃいませぇ」


 店員のややおざなりなかけ声に迎えられながら、店内に入る。落ち着いた雰囲気かと思いきや、若い女性客が多かった。その付き添いなのか、男性客もそれなりにいるが、圧倒的に女性客の方が多い。


「すごい!本物の宝石も、それなりに使われているようですのね」


 わたしが驚いて、セドリックにささやくと、彼は頷いた。そして、わたしの耳にその形のいい唇を近づける。


「実はここ、貴族のお忍びで来る人が他の店に比べてとても多いんです。だから、品物も良いんですよ。店員も、平民相手にしているような接客にして、ばれないようにしているんだと聞きました」


 ぞわり、と耳に息を吹きかけられることに対して、びくっとなってしまいそうになる。なんとか、平常心を保った。


「そうなんですね。では、値段も安価なものと高価なものがあるのかしら」


 ぽつり、と後半は半ば本気で呟くと、セドリックは一瞬その銀色の瞳を見開いて、それから少し笑った。


「そうですね。よく気がつかれましたね」


「!・・・ありがとう存じます」


 思わず、照れ笑いをする。まさか、褒められるとは思わなかった。


 滅多に褒めることのない教師に、褒められた気分だ。


「あ、これ素敵ですわね」


 わたしがふと目に留まったのは、紫色の宝石でつくられたネックレスだ。恐らく、これも本物の宝石だろう。


 セドリックが、ん?というようにわたしの肩越しにそれを眺める。自然と二人の距離は近くなって、どきっと心臓が跳ね、頬が火照っていくのを感じる。


 どきどきばくばく、という心音を聞きながら、じっと耐えていると。


「貴女の瞳と同じ色ですね」


 嬉しそうにそう言われ、さらにまた、火照りのボルテージが一気に上がってしまった。どきっ、どきっ、と心音がこれまで以上に大きく響く。


「そ、そうですね」


 首肯しつつ、ネックレスから視線をはずし、次いでセドリックからじりじりと距離をとる。


 わたしの心臓のためにも、一定の距離が欲しい。


「でも、クラリス嬢の瞳の方が綺麗な色ですね」


「!?」


 いきなり、顔を瞳を覗き込まれた。


 きらり、と輝く銀色の瞳がこちらをまっすぐに射貫いているのに気づき、目がそらせない。真っ白になった頭をなんとか、回転させて、ありがとう存じます・・・と絞り出した。


 セドリックは、少し悪戯っぽく微笑み、すっと顔をはなした。


(はっ・・・!ばくばくした。どきどきした。どうしよう、わたし、メイクとれてないかしら!?どっ、どうしよう!!)


 相変わらず、パニック状態のわたしに気づかないセドリックは、店内を見始めた。


 動揺しまくりのわたしは、そっと胸を押さえた。動悸が激しい。


「あ、見てください。あれなんか綺麗ですよ」


 そういって、セドリックが非常に美しい笑顔でこちらを振り返ってきたときには、びくっとしたけれど、いつもの微笑みを浮かべることができた。


 セドリックが示していたのは、きらめいた銀色の光を放つ宝石だった。


「本当ですね。まるで、シューティエ様の瞳みたいですものね」


 うふふ、と微笑んでから、セドリックを見遣る。すると、そこには頬を赤く染め、呆然とこちらを見るセドリックの姿があった。


 そんな反応をしているとは思わず、え、と目を見開く。


「し、シューティエ様?」


「っ・・・!な、何でもありません。すみません———」


「いえ。大丈夫ですわ。気になさることはないと思いますけれど、如何なさったのですか?」


 もしかして、頬を赤く染めているのは、熱のせいだろうかと体調不良を疑う。


 わたしの問いに、セドリックはふるふると首を振って何でもありません、といって答えてくれなかった。


「いらっしゃいませぇ。あ、お客様、よろしければペアのジュエリーもおつくりできますよー。二人だけのペアですから、皆さまに人気の商品になっているんですー」


 微妙に語尾を伸ばしながらも、接客を始めてくれた店員。


 そうなのですね、と平然を装うも、どうしても内容に興味を持ってしまう。いや、別にセドリックとつくりたいわけではないけれど!会って間もないし、別に惹かれ始めているとか言うわけではないけれど!


 わたしが心の中で言い訳をしていると、セドリックが話に食いついた。


「へえ、ペアで?それって、婚約指輪とかもつくれます?」


「はい!もちろんですー。良ければ、詳しい説明もさせていただきますが」


 店員も、少し嬉しそうに微笑む。今までは、明らかに愛想笑いだったのが、可愛らしい本物の笑みに変わる。


 その変化を見て、セドリックはわたしを見た。


「どうでしょうか。話を聞いてみませんか?」


「あ、お時間はそういりませんよー」


 迷っているわたしの心中を押し出すように、店員がタイミングよく笑った。


 うっ、と内心、唸ってから、わたしは普段の笑顔をつくりあげた。


「では、わたくしもお聞きしたいです。シューティエ様、よろしいのですか?」


「もちろんです。私の方がお願いしたいくらいですから」


 にっこりと如才なく笑うセドリックに、負けたと直感で悟り、わたしは内心がっくりとうなだれたのだった。

引き続き、物語を楽しんでくださるととおっても嬉しいです!

ありがとうございます。

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