番外編 2 :ローズマリー視点
後日。
「お待たせ致しまして、申し訳ありません。お姉様のドレスを一緒に選んでおりましたら、遅れてしまいましたの。ごめんあそばせ」
ローズマリーのちっとも悪びれていない態度。そして、クラリスのドレスを一緒に選んでいたの、良いでしょう?という陰ながらの自慢に、シューティエは少しだけ眉をぴくりと動かしたが、にこやかに立ち上がり、ローズマリーの椅子をひいてくれる。
「あら、ありがとう存じますわ」
お礼を言って、シューティエが席に着くのを見届けてから、ローズマリーは口火を切った。
「さて、今日は例の契約書を持って参りましたわ。どうぞ、お読みくださいませ」
「ああ、ありがとうございます」
シューティエはにっこりと微笑みながらも、その分厚い契約書に目を通していく。どうしたら、こんなに分厚くなるのかと突っ込みたいけれど、つくったのは自分だ。姉を守るために、と意気込んでいたらいつの間にかこんな分厚さになってしまったのだから、仕方あるまい。
ローズマリーたちは、カフェにいた。貴族達もよく使うところで、個室をシューティエがとってくれたのだ。
頼んでおいたチョコレートを一粒いただく。チョコレートの芳醇な香りを楽しみつつ、ちらりと目の前の男を窺う。
彼は、真剣に一つ一つの項目に目を通しているようだ。ローズマリーは、姉にふさわしいかを判断しつつ、もう一つチョコレートを口に放り込む。
「んん〜っ!これぞ、至福ね」
うふふっ、と上機嫌で呟く。そのあとも、一人で紅茶を堪能し続け、彼を待つこと三十分。
書類を読むのは早い方であるはずのシューティエが三十分強もかけて読むほどの分厚さ。ローズマリーの執念をお分かりいただけるだろうか。
「・・・読み終わりました」
「あら、良かったわ。これ以上長ければ、わたくし暇で暇で仕方がないので、ジュエリーショップでも見に行こうかと思っていたところですもの」
ふふん、とローズマリーのわざとらしい笑い方にシューティエは苦笑した。
「ローズマリー嬢。貴女、性格そんな感じなんですね?社交界の美姫姉妹について噂されているのをよく聞きますが、もっと可愛らしくって、庇護欲がそそられるような性格だと」
「まあ、心外ですこと。わたくし、可愛らしい性格をしておりますでしょう?箱入り娘で世間を知らない姉を気遣う妹・・・。なんて素敵なご令嬢かしら。————ってなるものですわよ、シューティエ騎士団長様。全く、わたくしのことを悪く言うだなんて、姉に嫌われても知りませんわよ。姉はわたくしのことを可愛がってくださっていますからね」
ローズマリーが良いでしょう!と胸を張ると、シューティエは柔らかく微笑んだ。
「そうですね。羨ましいですよ。私も、早く彼女のそんな存在になれたら嬉しいなあ。」
「おこがましいですわ。まだ、わたくしは貴方のことを認めていませんことよ。それに、お姉様に認められるとも思われないでくださいませ!」
ぴしゃりとやっつけると、シューティエははい、と神妙な顔をして頷いた。
お待たせ致しました。
ローズマリーの強かな『快進劇』(?)いかがでしょうか笑
快進撃ならぬ快進劇。姉は婚約破棄劇でしたし、劇がお好きな姉妹です。。。←?




