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妹の告白

♢♢♢


 そうして王都に戻ってきたわたしは、今庭園で妹のローズマリーと対峙している。と言うのは大袈裟かも知れないけれど、二人で向かい合って座っている状態だ。


 二人の間には、美しく彩られたテーブルが置かれ、その上には紅茶やらお菓子が並んでいる。


 端から見れば、単なる姉妹の楽しいお茶会だ。まあ、それが姉の表情は真顔で、妹に至ってはこわばり震えている状態でも良いのであれば、だけれど。


 そんなことを思いながら、わたしは目の前のローズマリーに声をかけた。


「少し寒くないかしら。大丈夫?」


 わたしの声に、ローズマリーはびくっと肩を揺らし、かなりの動揺を見せた。引きつった笑みを浮かべて、大丈夫と答えてくれる。けれど・・・。


(わたし、そんなに警戒されるようなこと、したかしら?)


 実のところ、ローズマリーの方が『した』のだけれど、というのは知る由では無いだろう。


「そう。それなら良いのだけれど。それで、お話って何かしら?」

「っ、お姉様。わたくし、お姉様に謝らなくてはいけないことがあります」


 ローズマリーの言い草に、すぐ王太子関連のことだと分かった。この子は分かりやすすぎる。


 そんなことをポツリと思いながらも、優しく声をかけてあげた。幾ら酷いことをされたとは言え、血のつながったたった一人の妹なのだから。


「そう・・・。何かしら?」

「わたくし、お姉様のことをたくさん傷つけてしまいました。ごめんなさい。王太子殿下を誑かすようにしたのはわたくしです。でも、それはわざとで。お姉様に王太子は釣り合わないと思ったんです。だから、わたくしは王太子からお姉様に婚約破棄を突きつけるようにしました」


 その事実にえっ、と息をのむ。


(どういうこと!? ローズマリーが殿下に近寄っていたのは、わたしのため・・・ということ?)


 思考を纏めると、信じられないと言う思いが勝り、彼女をじっと見つめてしまう。その視線を受け止めたローズマリーはそっとばつが悪そうに身じろぎした。


「ごめんなさい・・・。お姉様が傷つくのは分かっておりました。でも、シューティエ様が助けてくださるから大丈夫だと————」

「えっ、ちょっと待って? セドリック様は、『貴女が王太子殿下をわざと誘惑していたのを知っていたの?』」


 わたしの言葉に、ローズマリーが項垂れるようにして頷いた。


 その仕草を見て、嘘でしょうと目を見開く。まさか、彼は知っていたのか。


「そ、それはなぜご存知だったのかしら」

「わたくしがお話し致しました。シューティエ様は、以前からお姉様を好いているようでしたから、この方ならばお姉様との身分も釣り合うし、お姉様を幸せにしてくださるのではないかと思ったからです」

「う、嘘・・・」


 では、セドリックのあの『待ってくれ』というのは、計算され尽くしたものだった・・・?


 その思考に辿り着いたとき、そっとわたしは青ざめた。


「せ、セドリック様・・・」

「ごめんなさい! お姉様、でもシューティエ様は悪くありません! わたくしが頼んだのです。わたくしがこんな計画をたてたために、シューティエ様は! そもそも、わたくしが言っていなくとも、自然とそうなっていたのではないかと—————」


 何やらまくしたてているローズマリーの言葉は、わたしの耳には入ってこなかった。


(セドリック様は・・・わたくしを『あの酷い状況』から、わたくしを救おうとしてくださったのね。なんてお優しい方なのかしら)


 わたしは、まだ何か言っていたローズマリーの手を握った。へ? と目が丸くなるローズマリー。その瞳を見つめて、わたしはそっと微笑んだ。


「ローズマリー。わたくしを救ってくれてありがとう。今まで誤解していてごめんなさい」


「え?! いえ、お姉様。わたくしが自分でやったことですから! 気になさらないでくださいませ。むしろ、謝らなければならないのはわたくしの方で・・・!」


「そんなことは無いわ。わたくしをあの状況から救ってくれたのだもの。お礼を言わなければならないわ。ありがとう、ローズマリー」


「え? あの状況って、どの状況?—————」


「さあ、こうしてはいられないわ。セドリック様の元へ行って、お礼を言わなくては」


「いや、お姉様? 聞いてます?」


「誰か、セドリック様の元へ先触れを出してくれないかしら?」


「お姉様? ねえったら」


「何かお礼の品も持っていかなければならないのだけれど、何が良いかしらね?」


「え、それはお姉様手作りのパイとかじゃないですか?」


「あら、そんなもので良いのかしら。ならば、それを持っていきましょう。でも、あまりに粗末じゃないかしらね」


「いや、そんなことは無いと・・・ってお姉様っ!」


 何か後ろの方でローズマリーの叫び声が聞こえていたような気もするけれど、わたしは気にせず支度を整えることにした。


 すぐに、セドリックの元へお礼に行かなければ、という使命感がわたしを突き動かしていた。

すみません、主人公の名前を変更致します。

突然ですが、お許しください。。。


クラリスとなりました。

失敗だらけの作者ではありますが、温かい目で見守ってくださると幸いです。


そして、次回が最終話となります!!!!

あとがきにお知らせもつけますので、読んでくださると嬉しいです。


いつも読んでくださり、ありがとうございます。

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