動揺を招く贈り物
すみません、短いです!
♢♢♢
「如何なさいましたか? やはり、お疲れでしょうから、今日はもうお休みになられた方が・・・」
給仕をしてくれていた使用人が、言葉を濁してすすめてくれる。わたしは、ワインをゆっくりと飲み、微笑んだ。
「いいえ、大丈夫よ。今日はもう少し、ゆっくりしたいの。貴方たちは下がってもらって大丈夫よ」
「そういうわけでは」
下がりたいのなら、下がりなさいという暗の指示に、彼がかぶりを振る。その姿を見て、心配をかけては駄目ね、と思う。
「お嬢様」
ヴィクトリーがわたしに声をかけてくる。流石にきつかったかしら、と振り返ると、彼は優しげな瞳を更に優しく細めた。
「お嬢様に贈り物が届いております」
「贈り物・・・?」
思っていた言葉と違い、きょとんとしてしまう。
「どなたから?」
「シューティエ公爵家の次男であらせられる、セドリック様からです」
思いがけない名前に、えっと小さく叫ぶ。
「セドリック様が? わざわざ贈ってくださったの? カントリーハウスに?」
ヴィクトリーがにやり、と笑った。
「おや、お嬢様。シューティエ様とそのようなご関係に? もうお名前までお呼びになる仲でいらしたとは、これは知りませんでした。お嬢様も、隅に置けませんね」
「んんっ・・・!」
鋭くつかれて、どきっとしてしまう。ワインを吹きそうになり、慌てて呑み込んだら、咽せてしまった。
「ごほっ、ごほっ、こほっ・・・!」
「ああ、大丈夫ですか? 誰か、お水を」
「どうぞ!」
元気なメイドに差し出された水を、ごくごくと飲み干す。ワインばかり飲んでいたら、喉が渇いていたようだ。すっかりと一杯分飲み干してしまった。
「も、もうっ! ヴィクトリーったら!」
「ははっ、すみません。ですが、そんなに動揺なさるとは思いませんでしたので」
またにやっ、と笑われ、もうっ! と怒ってみせるけれど、次第に自分自身に笑えてきてしまった。本当にその通りだ。動揺するべきではない、自分は公爵令嬢なのだから。
(だけど。こんなに動揺できてしまう自分も、実は好き、かも)
そう思えたわたしは、そっと微笑みを浮かべるのだった。
セドリック、健気ですね・・・。




