婚約破棄
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少し動けば、ふんわりと広がる裾は、金糸の刺繍が刺してある。布地の色は神々しさを感じさせる高貴な水色。オフショルダーのそのドレスは、父に仕立ててもらった最高級品の品である。
それを纏い、優美に微笑みを絶やさずに人びとの挨拶を受けているのは、わたし、クラリス・ファルーネ・ヴィシェロエだ。
ヴィシェロエ公爵家は、クラーツ王国の筆頭公爵家である。その長女として、社交界の薔薇と君臨するのが一応わたしだ。
しかし、わたしよりも可愛らしく愛らしい容姿と、明るく人との社交を得意とするわたしの妹、ローズマリーがいた。
彼女がほんのりと笑えば、大概の男性は気を良くする。あら、まあ!という鈴を転がしたような声を聞けば、大概の男性は頬を赤らめる。少女じゃあるまいに。そして、極めつけは彼女が上目遣いで男性を見上げれば、大概の男性は彼女に恋をする。
ローズマリーの可愛らしさとは反対に、わたしにはそう言った取り柄はない。だから、影で妹に比べて、姉は・・・という噂をされているのは予想できるし、そうだろうなと思ってしまうのも仕方がないのだ。
「お姉様!」
友人たちが華やかな会話を交わしているのを微笑みながら、聞いている振りをしていると、後ろから可憐な声が聞こえた。
くるっと振り返ると、ローズマリーが愛らしい笑みを浮かべていた。
「あら。ローズマリー、どうかなさって?」
わたしは社交界の薔薇。自分に言い聞かせ、できるだけ、優雅に落ち着いて話しかける。
ローズマリーは、ニッコリと微笑むと、くるりと振り返った。つられて、視線をやると、そこには金髪に水色の瞳の王太子殿下ベルートがいた。
「王太子殿下」
呼びかけ、慌てることなくすっとカーテシーをする。
「我が国の輝く星であらせられる王太子殿下にご挨拶申し上げますわ」
先ほどまで話していた友人たちも、ならってわたしの後ろでカーテシーをしているはずだ。
「ありがとう。皆、顔を上げてくれ。さて、我が婚約者殿。話がある」
王太子ベルートはわたしの婚約者でもあった。わたしは、微笑みを浮かべたままに小首を傾げ、少しだけ悩む。それから、小さく頷いてみせた。
「何でしょうか?」
王太子は、すうっと息を思いっきり吸うと。
「あなたとの婚約を破棄させていただく。クラリス・ファルーネ・ヴィシェロエ公爵令嬢」
引き続き、読んでくださり、ありがとうございます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶
まだ、続きます!
投稿は不定期に行いますが、頑張るので、読んでくださると嬉しいですᕦ(ò_óˇ)ᕤ
短編版はこちら↓
『社交界の薔薇』は妹に婚約者をとられたのち、騎士団長に求婚されまして 〜滅多に笑わないはずの彼、何で笑ってるんですか!?〜
https://ncode.syosetu.com/n0324kw/
他にも投稿しておりますので、そちらも読んでいただければ幸いです!!
彼とわたしの穏やかな婚約生活が、始まります
https://ncode.syosetu.com/n7754kq/




