オペラのお誘い
ひゃー、一週間ぶりでございます・・・!!
すみません、遅くなりました・・・!
いつもお読みいただき、本当にありがとうございます。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
帰ると、執事が出迎えてくれる。わたしは、微笑みながらも、手みやげに渡されたものを預けながら、自室に戻った。すると、机の上に何やら手紙が置いてある。
「まあ。これは何かしら?」
ポツリと呟くと、メイドが律儀に答えてくれた。
「そちらは、シューティエ卿からのお手紙と伺っておりますよ。奥様がにこやかに置いていかれました」
うふふ、と自身もにこやかに笑いながら、話してくれるメイド。わたしは、そうありがとう、とお礼を告げ、しばらくの間人払いをしてもらうように頼んだ。
かさり、と手紙を中から出すと、男らしいが案外流麗な文字で内容が綴ってある。そっ、と広げながら読み進めていく。
『クラリス嬢へ
この間は、ありがとうございました。とても、楽しい時間を過ごせたこと、感謝致しております。
さて、先日申し上げました通り、お出かけに誘いたく存じます。
私が考えていたプランは、オペラを観に行くことですが、如何ですか。日程は、今度の公休日にさせていただきたいですが、ご都合が悪ければ、仰ってください。良い返事を期待しています。
セドリック』
すぐに執事に予定を確認してもらう。
「今度の公休日ですか?ええ、お嬢様はその日一日中なにもないですね」
「そう、分かったわ。その日は、恐らく出かけてくるから、予定はあけておいてくれるかしら?」
「かしこまりました」
執事は、一瞬にやっとすると、一礼した。
多分、完璧に悟られている。
♢♢♢
「クラリス嬢、お久しぶりですね」
そういって、爽やかな笑顔とともにやってきた彼は、今日は白色の貴族らしい服装だった。タキシードのような服に、ライラック色のハンカチをあわせている。銀色の飾りボタンもあって、それらは完全にわたしの色を意識していることが察せられた。
そういう私も、今日は少し控えめだけれど、ドレスだ。紺色のドレスに銀色のクラッチバッグを手にしている。わたしも、彼の色を纏っているのだ。
夜の七時。彼は、指定した時間ぴったりにきてくれた。
「お久しぶりですわ。本日は、オペラに連れて行ってくださるのだと聞いて、楽しみにしておりましたの」
「そうですか。それは良かったです」
彼が優しく微笑む。それから、わたしに向かって肘を差し出す。そっ、と腕をかけると、柔らかい笑みを向けられた。手から伝わる感触が完全にセドリックを男性で、しかも騎士団長であることを思い出した。そうっ、と気づかれないように息をつく。何だか、そわそわする。今のわたしは、どう見られているだろうか。どきどき、と高鳴る胸をクラッチバッグごと押さえ、セドリックを見上げた。
「参りましょう。まず、ディナーをとりたいのですが。今日の公演は夜遅くなのですよ」
「まあ、そうなのですね。喜んで」
にっこりと笑えば、彼も微笑み返してくれる。
ふと、彼は滅多に笑わないことでも有名だったわね、と思い出した。今はこんなに微笑んでいると言うのに。
馬車に乗り込むと、同じ公爵家でも大分中のつくりが違うことが分かった。しげしげと観察しながら、車内に二人きりだということを紛らわせる。
「そういえば」
セドリックが急に声を上げたのに驚きながらも、彼の方へと視線を滑らせる。
「妹君のローズマリー嬢はお元気でしょうか?」
「え?ローズマリー、ですか?」
ローズマリーの名前を聞いた瞬間、自分の表情が曇っていくのを感じた。ローズマリーとは、あの婚約破棄された夜会以来、実は会っていない。邸内ですれ違うことはあったものの、直接話すことはなかった。
「ローズマリーとは、最近話していないのです」
簡潔にそう答えれば、セドリックはやや不可思議そうに眉を寄せた。それから、何やらぶつぶつと呟く。
「おかしいな・・・。彼女なら、絶対に事情を説明するはずなのに・・・」
「?どうかなさったのですか?」
尋ねるとセドリックは、はっとしたようにわたしを見て、何でもありませんと首を振って笑った。
「そう、ですか」
ぼんやりと返し、窓の外の景色を眺める。ぽつぽつと明かりが灯っているのがやけに幻想的だなと思う。
(もしかして・・・シューティエ様も、わたしではなくって、ローズマリーの方がよろしいのかしら。王太子殿下のときもそうだったものね————)
ぐるぐるとその思考が頭を占める。考えても無駄だ、彼の思いは彼にしか分からないのだから、と自分の逸る気持ちをなだめ、そっと息をついた。
実は、風邪でダウンしておりました、葵生です。。。
皆さまも、風邪やコロナ、インフルエンザなどには充分お気をつけ下さいませ。
皆さまのご健康を心より、お祈り申し上げます!!




