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ライラック  作者: さだ 藤
本編
9/27

だから誰

隆志......りゅうし


 思い返せば高野相手に過剰な反応をして、八つ当たりめいた態度をとってしまったと。何だか勝手に気まずささえ感じる俺を尻目に、高野は変わらずだった。

 そもそも接点がないといえば、その通りだけど。


 出来たやつ。

 変に騒がずに、俺にどうされたと友達にチクるでもない。

 どこか大人びた余裕めいたものさえ持ち合わせ、笑い方さえ年頃の男子らしい馬鹿笑いをするではなく、明るいながらも静かにくっくっと笑う感じの奴で。


 けれどどんな馬鹿をする友達がいても否定することはなく、ノリ良く受け止める。

 そのスマートさは男から見て憧れすら感じるかっこ良さ。


 俺個人的な意見では、遠くから見るくらいの距離感は欲しいけれど。


 そりゃ女子にもモテるよな。


 誰とも群れずに一人過ごしている俺でさえ、女子の反応は知っている。

 何なら、誰かと話すわけでもないから色んな声が良く聞こえてくるわけで。


 今もまた、教室の片隅で高野達のグループを遠巻きにしてはしゃいでいる女子達もいて。 


 自席で弁当を食べ終えて、余った時間に動く気にもなれず。

相変わらず外を見ながら、見るとはなしに中庭で遊ぶ知りもしない生徒を視界にいれ、勝手に入って来る雑多な声の飛び交いにそんな事を思う。


 とりとめもなく聞こえてくる雑音に疲れを感じ、少し寝るかと腕を組んで顔を伏せた。


+++


 少しだるさの残る起き抜けに、休みが終わる前にとトイレへ向かい。

 いつの間にか、場所を教室から廊下に移し別のクラスの友達等と話す高野とすれ違う。


 用を足してもまだそこにいた高野に、友達との会話の切れ目か今度は声をかけられた。


「萩原」

「何?」


 いつも通りの爽やかさで呼ばれ、この前の続きかと若干警戒しながら今日はちゃんと返事を返す。

 けれど笑う高野は、何とも予想だにしていない言葉を投げてきた。


「明後日遊びたいとこある?」

「は?」


 寝耳に水、いきなり飛んできた言葉は本当に理解できなくて。

 目を見開いて、高野の言葉だけが通り過ぎていき。驚いて目を見開く俺に、高野の方も驚いた。


「達哉から聞いてないか? 明後日の放課後四人で遊ぼうって」

「四人、で」

「俺とお前と達哉と隆志で」


 隆志って誰だよ。

 寝耳に水とはこういう事かと身をもって理解した。


「……聞いてない」

「マジか」


 おっと、と珍しく戸惑った顔をあらわにする高野に、横から手は伸びて。

 高野の友人が、肩に腕を回しながら人懐っこい笑顔で俺の顔を見てくる。


「友達?」

「そう」


 友人の言葉に、はっきりと迷いなく高野は答えたけれど。


 え、俺たち友達だったけ?


 更に加わった新たな情報に、純粋に疑問を抱く俺を置いて。類友な高野の友人はよろしくーと何がよろしくは分からない挨拶をし、高野に別の話を振っていた。


 友達の友達は友達タイプか、お前ら。

 コミュ障の俺には到底理解できない思考にビビりながら。


 俺はその隙に高野のそばを離れて、教室に入り席に向かいながら速攻で達哉にメッセージを飛ばす。


  ちょい、聞いてないんだけど、

 何が?

  明後日の放課後って何!

 あ、言ってなかったっけ?

  聞いてないんですけどぉ!?

 でもどうせ暇でしょ?

  うっせ!

 ってことで、明後日の放課後駅集合で


 よろしく、とお茶目な顔したスタンプまで飛ばされて。


 事実暇を持て余す俺は、コイツめと憎しみを抱くしか出来なかった。


 ……てか、だから隆志って誰だよ。

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