side 利久パパ
「おかえりなさ~い」
「ただいま」
「お疲れ様です」
玄関を開ければ、歓迎してくれる妻に自然と笑顔は浮かび。
そんな僕に対しても、何やらふくふくといつもよりも上機嫌で妻は笑っている。
「おや、何か言いたい事がありそうなお顔してますね」
「ふふっ。お先にお風呂どうぞ」
「何かなー。嬉しそう」
「ふふー」
両手を差し出して、持ちますよという妻に鞄を預け、彼女の勧めに従いお風呂へと向かいつつ思考を巡らせた。
さて、彼女にどんな良い事があったのだろうかと。
お風呂から上がり軽く髪を乾かしてから、美味しそうな夕食が並べられた席に着く。
「どうぞ」
「いただきます」
「召し上がれ」
「(もぐもぐ)それで?」
「ふふーん」
見た目に違わず、がっちりと胃袋を掴まれている妻の手料理に舌鼓を打ちながら。
何があったのかと水を向ければ、妻は自分の横に伏せていた携帯の画面を僕に見せつけて自慢してきた。
「見てみて―。たっちゃんとアドレス交換しちゃった」
「あー! いいなー」
表示されていたのは、メッセージのたっちゃんという友達画面。
それは、予想外!
「えー、僕も交換してほしい」
「聞いてみましょうか」
「んー、自分で聞いてみたい。この年になると自分から友達づくりしないから」
久しぶりにそういうドキドキも、偶にはしたくなる。
相手は小さな頃から知っている、息子の友達だとしても。
いや、だからこそかな。
年の離れたおじさんなんて相手にしてくれるだろうかと、自虐めいた思いを抱きながら。
タイミング悪く入った仕事のせいで会えなかったから、次こそはの決意も抱いて。
次に来る日を教えてと、それだけを聞いてもらう事にした。
*++*++*
リビングでの両親のやり取りをなんともなしに聞きつつ。ソファに横になりながら、ちょうどメッセージのやり取りをしていた達哉に思わず飛ばす。
人気者め
え、何が?
顔文字付きで即座に返ってきた返事に、ブスくれながら両親の会話に割り込んだ。
「友達って、俺の友達なんですけど」
「利久の友達であっても、僕の友達になってもいいじゃん」
「お母さんの友達でもいいじゃない」
間髪入れず返ってきた父の言葉と、母の追撃に黙りこむしか道はなく。
「……(えー……)」
大人気か
だから何が?
思わず続けて達哉に言葉を飛ばし、自然と目を丸くした後笑う達哉の顔が頭に浮かんで、思わず拳が出てしまう。




