ガキ三匹と自称ガキ
「あ? カースト上位?」
なんだそれ。
心底。心の底から、理解不能という文字を顔に浮かべて言う翔。
「一軍とか知らねぇの」
「知らねぇな」
ふーん。
言い換えた言葉すら知らないという翔は、そのうえ野球の用語かとすら言ってくる。
そんな翔に呆れ交じりにおざなりに意味を教えれば、それならと顔を明るくし。
「あ、一匹狼なら知ってる。利久が言われてるやつ」
「はあ?」
聞いた事もない話に驚いていれば
「何なに~?」
面白そうな話してるでしょうと、目を輝かせながら達哉がやってきて。
「うちの学校で呼ばれてる利久の二つ名」
「えぇ、何それ」
「他にも孤高の狼とか」
俺を差し置いて腹を抑えて笑う達哉は、それを言うなら
「孤独のチワワでしょ」
「お、ま、えっ!」
狼なんてかっこいい者ではないから、自分でも一瞬言いえて妙とすら思ってしまうも。不名誉なのは違いない。声高らかに文句を言い返そうとすると、
「ぷっ」
こらえきれなかった笑い声が横にいる翔から漏れてきた。
「ほらほら、そんな様子がまさしくチワワでしょ? キャンキャン騒いでる」
「~~!!」
ご丁寧に講釈さえたらしてくれる達哉に、それを否定もせずに更に苦しそうに肩を揺らし笑う翔。
二人の様子に悔しさが湧くも返す言葉もなく、ぎゅっと拳を握り耐える。
達哉の口のうまさは身に染みているから。変に下手な事言ってもやり込められるだけだと、唇をかんで翔とは違う思いで肩を震わせてると。
そっと背後からやって来た人物に、ぽんぽと、頭をたたかれ慰められた。
「お前らからかいすぎだ」
振り返れば、なんとも頼もしい姿がそこに。
一連の流れも聞いていただろうに、隆志は笑いもせずに俺の味方に回り。
「好きな子虐めるガキか」
なおかつ達哉と翔に対して呆れた表情さえ向けてくれるも、そんな隆志の言葉に翔は恥ずかしげもなく胸を張る。
「おう、高校生になったガキだ!」
「威張んな」
「やーい、ガキぃ」
「利久もね」
わいわいと、低レベルの会話を続ける俺達に。
「まあ男はいくつになってもガキか」
「? 隆志もか?」
ため息ついて吐かれた言葉。素直に疑問を持ち。
俺の言葉に目を開いて驚く隆志は、次の瞬間ふっと笑い肯定してきたけど。
どこがだよと、そんな仕草を見てさらに思う。
「隆志は出来た男だよ」
「ありがとな」
ほらな。
自分で納得いってない事でも、否定せずに黙って受け取ってくれるそんなとこ。
くだらない事で騒ぐ俺達よりも、一歩も二歩も先を言ってる大人だ。




