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ライラック  作者: さだ 藤
おまけ
25/27

ガキ三匹と自称ガキ

「あ? カースト上位?」


 なんだそれ。

 心底。心の底から、理解不能という文字を顔に浮かべて言う翔。


「一軍とか知らねぇの」

「知らねぇな」


 ふーん。

 言い換えた言葉すら知らないという翔は、そのうえ野球の用語かとすら言ってくる。

 そんな翔に呆れ交じりにおざなりに意味を教えれば、それならと顔を明るくし。


「あ、一匹狼なら知ってる。利久が言われてるやつ」

「はあ?」


 聞いた事もない話に驚いていれば


「何なに~?」


 面白そうな話してるでしょうと、目を輝かせながら達哉がやってきて。

 

「うちの学校で呼ばれてる利久の二つ名」

「えぇ、何それ」

「他にも孤高の狼とか」


 俺を差し置いて腹を抑えて笑う達哉は、それを言うなら


「孤独のチワワでしょ」

「お、ま、えっ!」


 狼なんてかっこいい者ではないから、自分でも一瞬言いえて妙とすら思ってしまうも。不名誉なのは違いない。声高らかに文句を言い返そうとすると、


「ぷっ」


 こらえきれなかった笑い声が横にいる翔から漏れてきた。


「ほらほら、そんな様子がまさしくチワワでしょ? キャンキャン騒いでる」

「~~!!」


 ご丁寧に講釈さえたらしてくれる達哉に、それを否定もせずに更に苦しそうに肩を揺らし笑う翔。

 二人の様子に悔しさが湧くも返す言葉もなく、ぎゅっと拳を握り耐える。


 達哉の口のうまさは身に染みているから。変に下手な事言ってもやり込められるだけだと、唇をかんで翔とは違う思いで肩を震わせてると。


 そっと背後からやって来た人物に、ぽんぽと、頭をたたかれ慰められた。


「お前らからかいすぎだ」


 振り返れば、なんとも頼もしい姿がそこに。

 一連の流れも聞いていただろうに、隆志は笑いもせずに俺の味方に回り。


「好きな子虐めるガキか」


 なおかつ達哉と翔に対して呆れた表情さえ向けてくれるも、そんな隆志の言葉に翔は恥ずかしげもなく胸を張る。


「おう、高校生になったガキだ!」

「威張んな」

「やーい、ガキぃ」

「利久もね」


 わいわいと、低レベルの会話を続ける俺達に。


「まあ男はいくつになってもガキか」

「? 隆志もか?」


 ため息ついて吐かれた言葉。素直に疑問を持ち。

 俺の言葉に目を開いて驚く隆志は、次の瞬間ふっと笑い肯定してきたけど。


 どこがだよと、そんな仕草を見てさらに思う。


「隆志は出来た男だよ」

「ありがとな」


 ほらな。

 自分で納得いってない事でも、否定せずに黙って受け取ってくれるそんなとこ。


 くだらない事で騒ぐ俺達よりも、一歩も二歩も先を言ってる大人だ。


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