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ライラック  作者: さだ 藤
おまけ
17/27

ちなみに、2


「うわ、だっせ」


 一しきり笑い終えた高野は黙りこみ、零した言葉は自分のものだ。


 馬鹿馬鹿しくて、こんな事達哉ですら思いつかなかっただろう。

 てか、誰にも言いたくないし知られたくない。


 ただのプレッシャーに負けたのかという事実に。


 部活始めてから散々言われて来ていて、人にも言ってた今更な言葉だったのに。

 取り立てて特別な意味もない、軽い言葉だったはずなのに。


 特別な、大きな大会何てものではない学校の部活中の練習場で、急に飛べなくなったのは。


 頑張れっていう言葉を向けられての、プレッシャー?

 

 なかなかに衝撃を受けつつ、何とか立ち直ってきたと思えたころに浮かぶのは達哉の顔。


 原因が知られれば笑われるだろうと、簡単に予想が出来て。


「達哉には内緒で……」


 と、口止めをしようとすれば既に高野は携帯片手にメッセージを開いてる。

 その画面は、達哉との個人トーク画面で。


「おい、ちょっと待て!」

「えー、どうしよっかなぁ」


 余裕綽々優位に立った高野の悪魔にも見えるその笑顔に、顔はひきつり。


「……何が、欲しんだよ」


 いやいやと、交換条件をだす俺に満更でもなく笑う高野。

 ぱっと見いつもの爽やかな笑顔にさえ見えるけれど、その内側は黒く見えて仕方がない。


「そうだなぁ」

「…………」


 何が出るのかと、唇をぎゅっと噛みしめ沙汰を待つ。


「俺達、友達だよな」

「そうデスネ」


 弱みを握られた俺に、否定の選択肢はない。


「なら、翔って呼んで」

「へ?」

「かっちゃんでもいいけど」

「いやいや、」


 高校生になってそれはない。

 本人からの希望をもとに、たっちゃん呼びしてる高野にいう事ではないけれど。


 分かったと、頷き了承した俺にどこかわくわくとした顔を向けてくる高野。


「……翔」

「おう」


 本人が喜んでいるのだからこれでいい。 

 口止め料の対価がこんなもので済んだ事に、安堵の息を吐く。


 後日ちょっと、は待ったとやけに爽やかな笑顔を向けられることも知らずに。


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