利久との出会い side高野
「なぁ、隆志」
「何だ?」
「高跳びって、棒使うんじゃなかったっけ」
「……それは棒高跳び」
「これは?」
「走り高跳び」
「おぉ。高跳び違いか」
「学校でやらなかったか?」
「これ?」
高野の言葉に、ただ頷き返す隆志を横目に考えてみる。
「……やった、か?」
「俺の所はゴムだった」
「ゴム……」
遠くもない過去を振り返れば、かすみながら過る記憶。
深堀していくと、こんなご立派なものではなく薄っぺらいマットに向かった断片的なものが浮かんで消える。
「! やってる」
「そうか」
「へー、だいぶ違うな。マットの厚みとか」
「さすがにな」
自分の出番が終わり、応援に来ていた俺の元に来た隆志をおつかれとねぎらって。
ふいに湧いてぶつけた疑問の答えにおーと感心しながら、惰性で見流していた先。
――、――っ!
見流していた選手らの、知り合いでもなんでもないその人々の集合体。
それまでの選手達との違いなんて分からずに、ただ一人の走りと飛んだ姿に目が奪われる。
走って飛んでと繰り返されたそれは、どれも同じ行為だったはずなのに。
具体的にどこがどう他に比べて凄かったなんて、ほんの一瞬の出来事に言える目も知識もないけれど。
綺麗だと、ただ感じた。
「すっげぇ」
固まり、思わず漏らした俺の言葉に、隆志はどこどこ中の萩原とすぐに調べて教えてくれ。
俺は耳に入った情報を、口で繰り返す。
「はぎわら」
「中学二年」
「同い年かぁ」
やばい、すごい、綺麗だ、と
残された残像を脳裏で追いかけながら、ガキのような思いだけの言葉が頭に浮かぶ。
すでに自分の番を終え待機場所へと行かれ、ろくに覚えていない顔の記憶だと萩原がどれかも分からないけれど。
また見たいと、思いを抱く。




