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ライラック  作者: さだ 藤
本編
10/27

いい奴!

高橋.....たかはし


 迎えた当日、合流場所を聞いていたので友達と話していた高野を置いて一人向かい。合流する前から背の高い人がいると思いながら近づけば、その人の隣には見慣れた達哉の姿が未だ見慣れぬ制服で立っていて。

 それが隆志だった。


 高野と一緒に来なかったんだ、と言う達哉にまぁなと返事をしつつ、見知らぬ相手に釘付けになる俺に達哉は隆志を紹介してくれる。


 高野とは同じ中学出身の友達で、達哉とは同じ高校で出会い友達になったらしい。

 それでこの前高野と家の近所で会った時に、二人話していた共通の知り合いがこの隆志で、盛りに盛り上がって今日に至る、と。

 そんな達哉の経緯を聞きながら、俺は隆志を仰ぎ見る。


「同じクラスで仲良くなった、高橋隆志くん」

「でこっちが、幼馴染の萩原利久」


 それぞれよろしくと軽く頭を下げて挨拶を交わし、隆志で良いという声の低さにも驚きつつ、俺も利久でいいと返してから思わず敬語になりながら問いかける。


「何センチですか?」

「183」

「すげぇ」


 隆志は高野よりも背の高く、がっちりした体つきで、高野とはまた違った大人を感じさせるタイプだった。

 はっきりと見上げる程の身長差に、これには悔しさは微塵もなく純粋な憧れすら抱いてしまい。

 そんな目で見られるのが居心地悪いのか、隆志は自分の頬をかいて目を逸らした。


 なんかごめん。


 ついでに高野を待ちつつ、ちらちらと視線を送ってしまうのも許してほしい。


「利久ってば隆志の事見すぎ」

「だって、普通に憧れる」

「分かるけど」

「いーや、お前は最近裏切ってる」

「羨ましいか」

「言ってろ」


 ついに達哉から注意を受けるも、素直に気持ちを吐き出せば達哉も理解を示す。

 けれど瞬時に否定させてもらう。この前母さんからも言われていただろう! と。

 開き直って胸をはる達哉に、しらけて目を逸らす。


「隆志ほどの高さなら羨ましいけど、達哉ほどなら別に憧れねぇよ」


 素直にきっぱりと断りを入れれば、そこでふいに小さな吹き出しが聞こえ。思わず隆志を見れば手を当て口元を隠して、目線をそらしている。


「わるい」


 肩を震わせ笑いをこらえる隆志に、一気に親近感が湧きつつも達哉を指さしながら聞いてみる。


「こいつ、おちゃらけてません?」

「どちらかと言えば、気の利いた奴だと俺は思う」


 自分で貶しておきながら、達哉の事を好評する隆志の意見に否やもなく頷いた。

 ここで俺の言葉に乗って頷く奴なら、友達関係を解消させようかと思ったと素直に試した事を悪いと謝れば、隆志はふっと柔らかに笑ってすんなり許してくれた。


 この前のおちゃらけた達哉とは比べ物にならない、本物の立派さを肌に感じて。


「めちゃくちゃいい奴」

「僕の友達ですから」


 思わず零した言葉は、どこかで聞いた言葉に似通っているけれど。

 俺と違って達哉は当たり前でしょうと胸を張る。


「つまり俺もいい奴って事だな」

「いや、僕がいい奴って事」

「はぁ?」

「おーう?」


 やんのかこらとじゃれ合う俺達に、隆志は俺達の頭に手を置いて宥めてくる。


 うむ。悪くない。


 そんなこんなと時間を過ごしている事数分遅れで高野は合流して。


「置いてくなって」


 と俺に言ってくる。

 特に約束をした覚えもなかったし、するつもりもなかったから、はあと返させてもらうけれど。


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