表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/37

線香花火

花咲くように丸く赤い火の玉の周りに

繊細な光の線が生まれては弾けて消える

ぱちぱちと音を立てて


冷たい夜の暗がりの中

立ち昇る白い煙と火薬の匂い

細やかな光の線は四方にはじけて

闇に咲き誇る優美な牡丹のように

火の花は音を立てて

そこに乱れ咲く


季節外れの花火

浮かぶ遠い記憶

繊細に火花は弾ける


その火の舞いは現れては消え

消えては現れる

ぱちぱちと音を立てて


音もなく記憶は

闇の中で密度を増して


赤い火の玉に集う火花は次第に

花の終わりを告げるかのように

ぱちぱちと音を立てながら

小さくなってゆく


落とさないように

落ちてしまわないように


消さないように

消えてしまわないように


そんな思いなどかき消すように

火の玉がどんどん小さくなってゆく

闇にか細く光を落としながら

闇に浮かぶ記憶は次第に重さを増して


ふっと冷えた風が吹きつけた

そっと灯る赤い命を

揺り落とそうとするかのように


悪戯な風のせいか

その命の終わりなのか

ぽとりと地に赤い火の玉は落ちた──

2021年10月に書いたものに手を加えたものでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ