表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/37

あなたはいない

暗がりの中を歩いていく


耳をすませても

足音は私だけのもの

今はひとつひとつきり

ゆっくりと踏みしめる石畳

うつろにかつりかつりと音を鳴らして


握りしめたカンテラの

歩みにあわせて揺れる明かりも

今はひとつひとつきり

ゆっくりと進んでいく

ぽつりとひとつ足元を照らしながら


あの時のように

吹く風が全てを撫でていくように

ふわりと私の髪を揺らして

さやさやと草木を揺らして……


同じようだけれど同じじゃない

違っているのは

隣にあなたはいないこと──


目をあげると

夜の空には月が青白く強く光る

遠く星達は煌めき

あの時のような満月の夜


足を止めてカンテラをおいて

見つめる目の前の湖面

想い出の場所


ふたりで見にきた時のように

暗い湖は満月の輝く光を受けて

風が波紋を奏でて

揺らめく湖の月光がまるで呼ぶように

長く伸びて


──この光の道を

歩いていければ

あなたの元に

たどりつけるのかな?


途切れ途切れの囁きに答える声はない


そっと抱きしめてくれた

あのぬくもりはもう今はない


あなたはいない

どこを見ても

あなたはいない

どうしていないの

ねぇ……どうして……

会いたいの

抱きしめて欲しいのに……


繰り返し繰り返し思う想いがこだまして

わかっていることなのに 

それでも心は止めることが出来なくて

あふれそうになっていた涙がこぼれ落ちる


ふわりと髪が揺れる

さやさやと樹々が音をたてる

撫でていくような風がただ吹き抜けていた

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] カンテラの明かりを手に、ひとりゆっくりと進む夜の道。青白く光る月と、遠き星達の煌めき。そして、見つめる瞳に映る静かな湖面。 その水面に、風があやなす光の波紋は、月へと続く道のように。浮か…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ